日本語教師としてインドネシアと出会い、2005年からグローバル人材紹介会社JACリクルートメントで日系企業・日本人求職者のサポートを担当。ジャカルタ在住8年の長野記者が、活気・熱気あふれるメトロポリタン・ジャカルタの今をお伝えします!

 インドネシアの女性は働き者です! 女性で役職についているパーセントは日本よりずっと高く、定年まで仕事をする人も多い。

女性が活躍している国なのです。過去には女性大統領もいましたね。イスラム教徒が多い国で珍しいのではないでしょうか。

 インドネシアでは結婚や出産を理由に退職する人は少なく、産休(通常3カ月)を取った後は必ずと言っていいほど復職します。私の働く会社JACでも社員の約半分は女性、内80%は結婚して子どもがいます。

 子どもの多い国ですから、在職中2~3回産休を取る人がほとんどです。産休の間は給与は100%支払われますし、出産費用についても会社で補助してくれるところが多いようです。妊婦にやさしい国ですね!

 日本では出産や育児に対してさまざまなサポートが用意されているにもかかわらず、残念ながら産休・育児休暇を取りにくい職場環境であったり、保育所が不足していることなどが原因で、仕事を続けたいと思っていても続けられないケースがまだまだ多いと聞きます。

 インドネシアでは政府からの出産・育児に対するサポートも、「育児休業制度」もありません。加えて、他の先進国同様、核家族化が進んでいます。それにもかかわらず、女性が仕事をやめないのは、働きながら子育てできる環境があるということなのですが……。

 今回は働く女性と子育て事情についてお伝えしたいと思います!

女性の社会進出に家政婦・ベビーシッターあり

 インドネシアでは、日本人では想像できないほど家政婦さんやベビーシッターの文化が深く根付いています。

比較的安いコストで雇えるので、特別に裕福な家庭でなくても1~2名の家政婦さん、ベビーシッターさんを雇っているのがふつうで、女性は家事や育児に縛られることなく仕事が続けられるというわけです。

 日本でも家政婦やベビーシッターを雇うことは不可能ではないと思いますが、とても高額であることと、他人にお願いすることに抵抗などがあり、実際雇っている人はかなり少ないのではないかと思います。

 私もジャカルタに来て間もないころは家政婦さん制度に抵抗がありましたが、友人夫婦が日本へ帰国する際に紹介を受けたことをきっかけに、お願いすることにしました。

 仕事で疲れて家に帰り、電気を点けると……あらまあ、キレイ!! 洗濯物も、シンクに山になっていた食器もなくなって、クローゼット・食器棚に収まっている!!

 いつもは、「しなければ、しなければ」と思いながら部屋の隅にある綿ぼこりを見て見ぬ振り……。それで罪悪感やストレスを感じたり、休日は自分のためだけに時間を使いたいと考えていても、掃除・洗濯・アイロンがけ・買出しなどであっという間に終わって何もできなかったり。家事分担が原因で夫婦喧嘩をしたり……。みなさん経験があるのではないかと思います。

 私の個人的な意見ですが、家政婦さんを雇って以来、どっちがお皿を洗うかというつまらない理由で夫と喧嘩をすることもなく、家では快適・リラックスして夫婦・家族と時間を過ごし、休日は趣味に遊びに時間をフルに使えることで充実した休みになり、余計なストレスがないので、平日は仕事に集中できるようになったと思います。

インドネシア人は家事ができない!?

 よいことばかりを書きましたが、家政婦やベビーシッターがべったりいる環境で子育てをする弊害はもちろんあります。たとえば、インドネシア人は男女ともにほとんどの人が家事ができません。

 特に料理。食事をしたあとに自分の皿も洗わず、洗濯も掃除もやったことがないという人はざらです。

ひどいケースでは小学校高学年まで自分でボタンをとめられない、靴紐を結べないという子もいます。泣いたりわがままを言うとすぐにお菓子をあげてしまうため、肥満になってしまうことも。

 両親はまず、雇った家政婦とベビーシッターをしっかり教育しなくてはならないのですが、せっかく教育したと思ったら短い期間で辞めてしまったりと、なかなか思うようにいかないこともあります。

 近所の家政婦・ベビーシッター同士で情報交換をしており、給与がいいところが見つかるとすぐに転職(?)してしまいます。

 最近は内外からの企業進出が相次いでおり、田舎の人も働く場所が増えてきているので、家政婦・ベビーシッターの仕事を好む人が減り(会社や工場などで働いたほうが給与が高く、保険など補償されることが多いため)、慢性的な家政婦・ベビーシッター不足で、経験者を見つけるのが難しくなってきています。

 ちなみに家政婦さんやベビーシッターさんの給与ですが、日本円にして、月5000円から、住み込み・経験者で3万5000円ぐらいが相場(通い・拘束時間・経験などにより異なります)。これを高いと思うか、安いと思うかはそれぞれですが、女性がフルタイムで仕事を続けられ、家事のストレスから開放され、貴重な時間をお金で買えるのであれば、安い?と思う女性も多いのではないでしょうか。

帝王切開が一般的なワケは?

 まったく余談になりますが、インドネシアでは帝王切開での出産が一般的で、通常の出産が可能な人でも帝王切開を希望する人もいます。

 妊婦を見たときの挨拶で「何カ月?」「男? 女?」はふつうですが、インドネシアでは加えて「出産は自然か? 帝王切開か?」が必ずセットです。

 帝王切開が多い理由としては、

・予定通りに産みたい(産休が3カ月と短い、日取りがいいなど)
・太りすぎ、血圧が高い(インドネシアでは妊娠で15~20キロ近く太ってしまう妊婦がほとんど。まだまだ「妊婦=二人分食べろ」という文化なんです)
・痛いのが嫌(最近は無痛・和痛分娩も多くなってきています)
・保険が使える(日本と同じで、自然分娩の場合は保険は適用されません)

と聞いています。お国柄なんでしょうか、面白いですねえ……。

 みなさんもインドネシアで妊婦を見た際には、
「Berapa Bulan(ブラパ ブーラン)」(何カ月?)
「Cewe atau Cowo(チェウェ アタウ チョヲ)」(女の子? 男の子?)
の後に、
「Normal atau Cesar(ノルマル アタウ セサール)」(自然か? 帝王切開か?)
をお忘れなく!

(文・撮影/長野綾子)

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