日本語教師としてインドネシアと出会い、2005年からグローバル人材紹介会社JACリクルートメントで日系企業・日本人求職者のサポートを担当。ジャカルタ在住8年の長野さんが、活気・熱気あふれるメトロポリタン・ジャカルタの今をお伝えします!

 インドネシアは80~90%がイスラム教徒(ムスリム)なのですが、比較的戒律にゆるめなので、「ヒジャブ」を着けていない女性は多いです。

また、豚は食べないが酒は飲む、という人もいます(でも酒は飲まないが豚は食べるという人はいません。これも不思議です)。

 ヒジャブHijabとは、イスラム教徒の女性が着用する、頭髪を覆い隠すためのスカーフのような布をいいます。私の会社の女性社員(イスラム教徒)も、つい最近まで、90%はヒジャブを着けていませんでした。

女優からOLまで、街にあふれるヒジャバーズ

 以前、1900年代初頭のジャカルタの様子をビデオで見たときに驚いたのですが、写っている女性たちは膝上のミニスカート、ノースリーブの服を着て、サングラス、ヒジャブを着けている人はほとんどいませんでした(ちょうどミニスカートが流行った時代ではありますが)。

 しかしここ数年、街中でヒジャブ女性を多く見かけるようになってきました! しかも年齢を問わず、みんな「見て見て」と競うようにオシャレなヒジャブを着けています。

 女優や芸能人がこぞってヒジャブを着けてテレビに出演するようになると、あっという間にヒジャブ大ブーム。オシャレなヒジャバーズがあちこちに現れるようになりました。

 ヒジャブの巻き方は数え切れないほどあり、本や雑誌、ネットにも情報があふれています。ヒジャブの柄の流行はファッションの流行とほぼ同じで、小花柄、アニマル柄、蝶や花などの大柄、水玉、エスニック柄など。

 1枚のスカーフで巻くスタイルはちょっと古く、顔に近いところで巻くものと、その上からふわっとかぶせるものの2枚使いが一般的です。2枚の柄や色のコントラストや素材の違いなども楽しんでいる様子です。



 その他、長いスカーフを頭に巻いてその余りで顔の横に花を作ったり、大きなドレープにしてみたり、キラキラしたピンを着けてみたり。素材もシルク、サテン、コットン、レース、しぼりのものなどさまざまです。

 アラブ風・小顔効果を狙って、後頭部に大きな布で作ったコブを着けて、その上からヒジャブを巻くスタイルも流行っています。

 日本でも「盛り」ヘアスタイルが流行ったと思いますが、いつの時代も(ヨーロッパ貴族の女性も競って髪を盛って、美しさを表現していましたしね)、国を問わず、頭に「盛り」があると女性が美しく見えるというのは同じ感覚なんですね。

 本来は肌・髪の露出を控え、夫・家族以外の男性にその姿を見せないようにするためのものなので、あまり派手・オシャレにするものではないと思うのですが、そこがまたインドネシアらしい!


 最近ではジャカルタで、「ミス・ムスリマー」コンテストまで開催されるようになりました(外見の美しさだけでなく、コーランの知識や教養を審査するようですが)。イスラム教徒は女性に優劣をつけることや見た目で競うことについて否定的な人も多く、「ミス」と付くコンテストなどを好ましく思っていないのかと思っていたので、これもかなり衝撃的でした。

 先日、バリ島で開かれた「ミスワールド」も、元々ジャカルタ開催の予定だったのですが、反対する人が出てきたために中止となり、バリ島開催になったという経緯もあります(バリ島はバリ島はヒンドゥ教徒の多い島でイスラム教は10%弱しかいません)。

 若手ムスリムファッションデザイナーも次々に新作を発表。ムスリム服のファッションショーが開かれ話題になりました。

 女性差別の象徴として否定的に見られることもあるヒジャブですが、イスラム教徒の女性だけが楽しめる素敵なファッションでもあり、アイデンティティの主張、悪い虫がつかないようになど、いろいろな意味で、ヒジャブブームはまだまだ続くと思います。

 インドネシア女性が、世界のムスリム女性たちのファッションリーダーになる日も近い!?

(文・撮影/長野綾子)

編集部おすすめ