フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者の ためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのマニラレポート。

日本でも、子どもたちに大人気のふりかけ。ごはんにソースやポン酢をかけておかずにしてしまうというフィリピンの子どもたちも、例外ではない。フィリピンではまだ少し高値だが、味の素のように定番食品になれるか!?

 我が家の日本食を保管するキャビネットは、ややもすると長いこと放置され、せっかくの食材が賞味期限切れになっていることが多発する。なにしろ炊事役のヤヤ(メイド)はそれが何であるかわからないから、私自身が食卓に引っ張り出さないことには日の目を見ることがないのだ。

キャビネットに眠っていた子ども用ふりかけが大人気!

 先日、たまたま日本食キャビネットを開けてみると、2、3年前にしまったまま湿気ってしまった海苔が大量に出てきた。賞味期限切れどころか腐敗しているおそれもあるので廃棄したが、そのとき発見したのがディズニーのキャラを使った永谷園の子ども用のふりかけだ。

 誰かにいただいたものだが、封も開けずに放置されていた。賞味期限は若干過ぎていたが、乾物であるし二重に封もしてあるので、よろしかろうと子どもたちに振舞った。そうしたら、「おいしい」と皆が目を丸くしていたのだ。

 ふりかけがフィリピン人の好物だということは以前から認識していたものの、すっかり失念していた。魚や卵、海苔やゴマなどを原料としてできているのだから健康に悪いはずはない。野菜嫌いの子どもたちには絶好の栄養補給になりそうだ。

 そもそもフィリピンの子どもたちは、ご飯が主食であり副食でもある。ご飯におかずのソースをかけて味をつけて食べるのが普通で、 他にはなにもいらないくらいだ。KIAN(仕事の相棒ジェーンの息子で今年幼稚園入学)もご飯にポン酢をかけて食べるのが定番で、おかずがなくてもケ チャップや醤油があれば何とかなってしまう。そんな食習慣にふりかけはぴったりで、醤油に比べればよほどましだ。

食卓の定番になるには、低価格と小口販売がカギ!?

 翌日、すでに20袋入りのパックがなくなっていた。これはあまりにと思ったら、一緒に住んでいる子どもが学校に持っていって、皆に自慢をしたらしい。友だちも喜んで食べていたとのこと。

  これはいけると思って、さっそく日本食材店で探してみた。そうしたら丸美屋と永谷園のふりかけが置いてあった。20袋入りで150ペソ(約340円)、1 袋7.5ペソ(17円)は高い。日本で買えば150円、フィリピンでつくれば50円くらいまで値段は下がるだろう。そうしたら庶民の食卓の定番となるのは 間違いない。

 そんなわけで、海苔とふりかけが毎回、我が家の食卓を飾ることになった。朝食は納豆と地鶏の生卵とご飯が半カップ、それにわかめと豆腐の味噌汁、たくあんと梅干少々、という私のメニューにも色を添えることになった。

 その影響でKIANの食事も味噌汁と納豆にご飯、それにふりかけと海苔という、まるで日本の子どものようになっている。まあ、普段はホットドッグにご飯だけという食事をしているので、それよりは大分ましだろう。

 一方、すでにフィリピン庶民に定着しているのが、日本であまり見られなくなったお椀のマークの味の素だ。フィリピンでは欠かせない調味料となっている。はじめはビン入りだったが、あまり売れないので小口のパックにしてみたところ飛ぶように売れ出した。小が5ペソ(約12.5円)、大が10ペソ(約 25円)。1回の料理に必要な分だけ入っているので、その日暮らしの庶民の味方となり、塩、胡椒、砂糖、調理オイルなどとともにサリサリ(街の小売店)の 定番商品になっている。

 ふりかけも、1袋ずつ小口で売ることが成功の秘訣だろう。

参考記事:すでに定番! フィリピンで人気の日本の商品

(文/志賀和民

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