日本から"廃墟都市"見学をするなら 中国・天津の浜海新区へ [橘玲の世界投資見聞録]

 さらに2002年、同市出身の温家宝が首相(国務院総理)に就任すると天津の都市開発は加速する。2006年、天津市は「東洋のマンハッタン」を生み出すべく600億元(約1兆円)を投資し、新たなビジネス特区の建設に着手したのだ。

 このビジネス特区は、駅でいうと泰達から2つ先の会展中心站の海側にあたる。実際に訪れてみると、こんな感じだ。

 ご覧のように、ほとんどのビルが骨組みの状態で工事が止まっている。クレーンもすべて撤去されており、中断というより放置に近い。

 いちばん驚いたのは下のビルだ。全体を黒のガラスで覆うはずだったのが、外装がほぼできた段階で工事が中止され、いまでは外壁が剥落しはじめている。まさに鬼城そのものだ。


 この超巨大なゴーストタウンが生まれたいきさつは、ヘンリー・サンダースン、マイケル・フォーサイスの『チャイナズ・スーパーバンク』(原書房)で描かれている。

 2003年、天津市は国家開発銀行(中国開銀)と、当時は中国で最大といわれた500億元(約8000億円)の不動産担保融資契約を結んだ。都市開発を行なったのち、15年間の土地使用権の売却収入で融資を返済するという契約で、中国開銀はリスクヘッジのため、万が一土地売却が不調だったときは天津市が予算措置を講じて返済する、という約束も取りつけた。すなわち、最後は市民の税金でツケを払うのだ。

 天津市は当初、土地使用権の売却収入は年10%ずつ上昇すると見込んでいた。だが実際には、2004年の売却収入24億元に対して2006年には103億元と、2年間で4倍超になった。さらに驚くべきことに、この売却収入は2009年に732億元と、3年間で7倍に上昇したのだ。このとてつもない不動産バブルが、「東洋のマンハッタン」をつくるという野望に火をつけた。


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2014年9月28日の経済記事

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