上海の若者たちのあいだで結婚式用の写真撮影スポットとして大人気なのが松江区のテムズタウン。「中国にロンドンの街並みを再現する」という不動産開発プロジェクトだったが、完成直後からゴーストタウン化し、商業施設からはテナントがほとんど撤退して映画のセットのようになってしまった。開発会社も破綻し、現在は上海市政府の管理下にある。 もっとも松江区自体は発展する上海の再開発エリアで、周辺の高層アパートは次々と売れていく(ただし地価の上昇はほぼ止まった)。テムズタウンが失敗したのは、たんに販売価格が高すぎたからだ。上海市内から地下鉄9号線松江新城站下車、タクシーで5分ほど。
<執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>
作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(以上ダイヤモンド社)などがある。
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