シニア婚活で問題なのが、籍を入れるかどうか。遺産が目減りすることに子どもが反対したり、世間体を考えたりして、籍を入れない事実婚を選ぶカップルも少なくない。
「70歳を過ぎた父親が、いい年なのに再婚すると言いだして困っている。だまされているに違いない。結婚させない方法はないでしょうか」
最近、こんな相談が舞い込むようになってきた、と武内優宏弁護士は話す。子どもは親の再婚によって遺産の取り分が少なくなることを危惧しているのだ。
こうした相談に対して、武内弁護士が「生前に相続放棄はできず、現時点で法的に後妻へ遺産がいかないようにするのは難しい。そもそも、あなたは父親とのコミュニケーションを取っていましたか。たまに実家に遊びに行くなど、信頼関係を築くのが先ではないですか」と諭すと、その多くは無言で帰っていくという。
昨年、俳優の宇津井健が亡くなる日に再婚し、後妻は遺産が目当てではないかと報じられた。真相は分からないが、こうした晩年の再婚は、子どもを中心とした家族から反対を受けやすい。図のように、子どもは遺産が半分に目減りするだけでなく、後妻と養子縁組をしておかなければ、後妻の亡くなった後に遺産を回収できないからだ。〝エゴ〟と言えば簡単だが、実の子どもなので簡単に切り捨てられない。
また、年頃の子どもがいたり、親の介護中であったりすると、簡単には結婚に踏み切れない。
そこで最近目立ってきたのが、籍を入れない「事実婚」だ。通い婚の場合もある。下図のように、籍を入れなければパートナーに相続権は発生せず、子どもの同意も得やすい。
遺言を書くのがお勧め公正証書遺言を選択すべき
子どもの同意を得て籍を入れる場合も、相続でもめないような工夫が必要だ。何といっても遺言を書いておくのがいい。
遺言は、夫が死亡した場合、法定相続分通りに遺産を分けるような内容はお勧めできない。妻の法定相続分は2分の1と多く、子どもから「後妻がおいしいところだけ持っていくな」と反発を受ける。遺産にもよるが、子どもに譲歩した内容が望ましい。
さらに遺言分割とは別に、子どもへのメッセージも残しておくのがベター。「今の奥さんと再婚して報われた」という気持ちを素直に書くことで、子どもたちが納得しやすい。
実際に遺言を書くときは、家族間の紛争防止を考えるのであれば弁護士、相続税対策であれば税理士・会計士に聞いた方がいい。
その際、「公正証書遺言」を選択することが重要だ。自筆遺言は家族が勝手に破棄したり、書き直したりする可能性があり、もめることがある。公正証書遺言ならば公証役場で保管されるので、トラブルは起きにくい。
ただ、遺言を書く人は少ない。子どもの“エゴ”を責めるのもいいが、自ら遺言を書く姿勢も必要だ。

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