川崎重工は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の令和6年度「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」(以下、AMED事業)に対して、デジタル技術を活用した「介護テクノロジーの定量的改善および投資効果を提示する機能を有する介護DXパッケージモデルの開発」の提案を行い、採択されました。
日本の高齢化率は、世界に先駆け急速に上昇しており、介護需要の増加に伴う介護現場の人材不足が深刻な社会問題となっています。
このような介護施設における課題を踏まえ、AMED事業では、現場で使用される様々な機器やシステムなどのテクノロジーを組み合わせて、介護施設が使いやすい型にパッケージモデル化を行うとともに、パッケージモデル導入による効果検証を実施することを目的としています。
当社は、今回のAMED事業の採択を受け、一般社団法人日本ノーリフト協会(以下、日本ノーリフト協会)とともに、介護施設、介護機器メーカー、介護機器の貸与事業者が参画するコンソーシアムにて介護DXパッケージモデルの検証を行います。
具体的には、介護現場における「課題調査・分析」「課題抽出」「機器の選定・導入」「活用・定着の支援」「改善効果・投資効果の明示」までの一貫した伴走支援を含んだ介護DXパッケージモデルの有用性を、全国各地の様々なタイプの介護施設で検証を実施します。
「課題調査・分析」や「改善効果・投資効果の明示」のプロセスでは、当社が有するデジタル技術である屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki™※1」を活用した介護行動計測※2により、効率的かつ定量的に評価可能な手法を確立し、従来の属人化したコンサルティング手法のデジタル化に取り組みます。
これらの新しい仕組みとコンソーシアムの連携を通じて、介護現場の課題に則した介護テクノロジーによる定量的な改善効果および投資効果の見える化により、納得感が伴った成功体験を介護現場の職員が得ることで、既存機器の活用のみならず、新たな介護テクノロジーの導入・定着を促進します。また、職員が利用者への直接的なケアに携わる時間を創出し、利用者と職員のコミュニケーションの時間が増加することで、利用者やその家族の満足度や介護の質の向上につなげていきます。
当社は、超高齢化社会の到来を見据え、2024年8月に介護現場への機器やロボット導入を支援する「介護業務支援サービス事業」に参入しました。今回のAMED事業での採択を機会に、日本ノーリフト協会や介護施設、機器メーカー等とのコンソーシアムで、全国各地の介護施設に展開可能なパッケージモデルを構築し、2030年度までに全国の数百施設への展開を目指します。さらには、介護テクノロジーの導入・活用・定着による人と機器のワークシェアを実現し、介護施設の利用者だけではなく、その家族や職員なども含めた介護に関わる全ての方々をケアするサステイナブルな社会の実現に貢献していきます。
【本事業で検証する「介護DXパッケージモデル」フローのイメージ】
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2716/114937/600_225_202507292119536888bc6940af7.jpg
<AMED事業概要>
1)事業名:令和6年度「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」
2)採択された研究開発課題(計2件)
①「介護テクノロジーの定量的改善および投資効果を提示する機能を有する介護DXパッケージモデルの開発 ―愛知県・福岡県・東京都・北海道―」
②「介護テクノロジーの定量的改善および投資効果を提示する機能を有する介護DXパッケージモデルの開発 ―兵庫県・大分県・高知県・岡山県―」
3)事業メンバー:川崎重工、日本ノーリフト協会、介護施設、介護機器メーカー、介護機器貸与事業者
4)事業期間:①・②ともに2025年8月~2026年3月予定
5)検証を行う施設種類:
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、介護老人保健施設
※1 川崎重工が提供するWi-Fi電波環境を活用した「屋内」での位置情報とGPSなどで取得する「屋外」の位置情報と地図情報を併せて屋内外空間でシームレスな位置情報を提供するサービス
https://www.khi.co.jp/groupvision2030/mapxus.html
※2 「介護現場への機器やロボット導入を支援する介護業務支援サービス事業に参入」(2024年8月7日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20240807_1.html
※3 厚生労働省「第9 期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」
以 上