―リチウムイオン電池の回収・リサイクルにも対応 独自の吸熱・セラミック化技術でLIBの延焼を物理的に遮断―

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:池田尚志)は、リチウムイオン電池(LIB)の熱暴走*¹による発火の延焼リスクに対応する延焼防止吸熱パッド「GELRAMIC™(ゲラミック)」を開発しました。本製品は、発火に至る熱暴走時に発生する高温を強力に吸収(吸熱)する特殊ゲルを内包し、熱エネルギーを効率的に制御することで温度上昇を抑制、LIB外部への延焼を防止します。
さらに、高温下でゲルがセラミック化することで、断熱性・耐破片性を発揮し、延焼と熱伝播を物理的に遮断します。現在、複数の顧客・パートナーと評価を進めており、短期的には使用済みLIBの回収・リサイクル分野(LIB回収ボックスなど)への導入を、中長期的には電動アシスト自転車や電気自動車(EV)など車載用LIBへの展開を視野に入れています。2030年までに約10億円の売上を目指します。
*¹ 熱暴走とは、LIBなどが過熱や内部短絡(ショート)をきっかけに発熱し、発火・爆発に至る連鎖反応のこと


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延焼防止吸熱パッド「GELRAMIC™(ゲラミック)」


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使用済みLIB回収ボックス(ペール缶)での使用例


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使用済みLIB回収ボックス(ペール缶)での使用例


近年、モバイルバッテリーやEVなどLIB搭載製品の急速な普及に伴い、バッテリーの過熱・発火事故が深刻な社会課題となっています。環境省の報告によると、2023年度には廃棄物処理施設やごみ収集車などでLIBに起因する火災が全国で約8,500件*²発生しており、その多くが不適切な廃棄が原因とされています。また、電動アシスト自転車やEVでは、LIBを原因とした火災事故が相次ぎ、安全対策の強化が課題となっています。こうした状況を受け、環境省は2025年4月、家庭から出される不要になったLIBを全国の市区町村による回収を求める方針を通知しました。さらに、経済産業省は2026年4月から、モバイルバッテリーなどの回収・リサイクルを事業者に義務付ける方針を決定しています。現在、分別・リサイクルのための回収ボックスの設置が全国で進められていますが、回収ボックス内でLIBが発火した場合の延焼リスクを最小化する対策も重要な課題となっています。

*² 出典元:環境省発行「市区町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に 関する方針と対策集」


当社はこれらの課題に対応すべく、独自技術によりLIBの異常発熱時に熱を吸収し、発火に至る熱暴走時の延焼リスクを大幅に低減する吸熱パッド「GELRAMIC」を開発しました。通常時は柔軟で取り付けが容易な吸熱パッドが、熱暴走時には吸熱・セラミック化し、断熱性と耐破片性を発現します。この作用により、LIBのセル間での熱暴走の拡大(連爆)や周囲への損傷を防ぎます。


UL2596*³BETR試験では、多数のセルが入ったボックス内で熱暴走を起こしたときの状態とその温度変化について検証し、LIB内部温度が最大1369.2℃まで上昇し、火の噴出を伴う熱暴走を起こしても、吸熱パッド(厚さ5.0mm)を用いることで、アルミ板外面温度は90.4℃以下を保持しました。

*³ UL2596とは、電気自動車(EV)用バッテリー モジュール・パックに使用される材料の評価試験のこと


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リチウムイオン電池(LIB)ボックスの熱暴走実験時の温度変化


製品の形状は、柔軟性とクッション性を兼ね備え、曲面への貼付も容易で、幅広い用途に対応可能です。使用例としては、使用済みLIB回収ボックス、電動アシスト自転車、EV車載バッテリーなどが想定されています。

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<使用例イメージ>電動アシスト自転車のバッテリー


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EVなど車載用バッテリー


なお、本製品は2025年9月17日(水)~19日(金)に幕張メッセで開催される「BATTERY JAPAN 二次電池展」にて初出展予定です(小間番号:E2ー12)。

DICグループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」に基づき、社会課題や社会変革に対応した新事業の創出を基本戦略とし、サステナブルエネルギー領域における次世代二次電池用の機能性材料の事業化を掲げています。今後も、社会変革に対応した省エネルギーや環境への負荷低減に貢献する製品の開発を通じて、持続可能な社会の実現に寄与してまいります。


以上


-DIC株式会社について
DICは日本で有数のファインケミカルメーカーです。DICを中心に世界全体でSun Chemical Corporationを含む約170の子会社によってグループが構成され、60を超える国と地域で事業を展開しています。グループ全体として、人々の生活に欠かせない包装材料、テレビやPC等のディスプレイに代表される表示材料、スマートフォンなどのデジタル機器や自動車に使用される高機能材料を提供するグローバルリーディングカンパニーと認知されています。これらの製品を通じて、社会に安全・安心、彩り、快適を提供しています。DICグループは持続可能な社会を実現するため、社会変革に対応した製品や社会課題の解決に貢献する製品の開発にグループ一丸で取り組んでいます。連結売上高は1兆円を超え、世界全体で21,000名以上の従業員を有するなか、DICグループはグローバルで様々なお客様に寄り添っていきます。

詳しい情報は、https://www.dic-global.com/
 をご覧下さい。


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本件に関するお問合わせ先
【報道機関からのお問い合わせ】 
DIC株式会社 コーポレートコミュニケーション部
 TEL:03-6733-3033  MAIL:dic-press@ma.dic.co.jp

【お客様からのお問い合わせ】 
DIC株式会社 新事業統括本部 インキュベーション推進ユニット
 MAIL:gelramic@ma.dic.co.jp
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