分析は2021年~2025年の各6月時点で登録のあったサイトを対象に、全体の件数推移のほか媒体ジャンル(※)ごとの集計、増減推移などをまとめました。
(※)当社ではサイトを掲載内容から判断した50ジャンルに分類して管理しています
サイト数は2023年をピークに減少 ジャンルごとの増減では明暗も
■総サイト数の推移
2021年4,481件 → 2022年4,658件 → 2023年4,806件 → 2024年4,615件 → 2025年4,437件
2024年に初の減少を記録し、2025年も減少が継続しています。(2024年比:-178サイト、-3.9%)
■「増加したジャンル数」と「減少したジャンル数」の比較
前年比で増加したジャンル数を確認すると、2022年 34件→2023年 28件→2024年 12件→2025年 9件と年々鈍化しています。
また、減少したジャンル数では、2022年12件→2023年17件→2024年33件、2025年33件と2024年から急増し2025年も高止まりしており、2023年から2024年が明確な転換点と考えられます。
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■5年間で伸びたジャンル(2021年比)
地域情報:+195件(+36.9%)
ライフスタイル・暮らし:+34件(+43.0%)
環境・サステナビリティー:+19件(+111.8%)
アート・カルチャー:+15件(+34.1%)
二桁増加となったのは4ジャンルのみで、特に「地域情報」「ライフスタイル・暮らし」「環境・サステナビリティー」の3ジャンルは毎年増加を続けています。
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■5年間で減ったジャンル(2021年比)
その他:-55件(-26.1%)
女性総合:-45件(-24.5%)
IT・コンピュータ:-37件(-21.0%)
医療・医薬:-29件(-21.5%)
一般総合:-25件(-13.5%)
上記含め二桁減少は13ジャンル。「その他」「女性総合」「金融・証券・保険」「医療・医薬」「動画」の5ジャンルは毎年減少を続けました。
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■直近(2025年6月)で増えたジャンル
地域情報(+17件)
ライフスタイル・暮らし(+2件)
環境・サステナビリティー(+2件)
教育(+2件)
鉄道・航空(+2件)
スポーツ(野球)(+2件)
スポーツ(格闘技)(+2件)
広告・出版・マスコミ(+1件)
芸能・エンタメ(+1件)
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「増加の時代」が終わり、選別の時代へ
サイト数の増減は2023年から2024年への移行時に広範囲にブレーキが掛かっています。ジャンルごとの増減では、2022-2023年の前半2年が増、2024-2025年の後半2年が減となっている「++--」のパターンが最多で12ジャンルありました。(例:「経済・ビジネス」「ファッション」「料理」「自動車」「ニュース(海外)」「住宅」「旅行」「アニメ」等)。
サイト数がピークとなっているジャンルの数も2023年が24件で最多となっています。
■生活圏×実用×社会価値の強さ
一方で、「地域情報」「ライフスタイル・暮らし」「環境・サステナビリティー」の3ジャンルが毎年増加しています。コロナ禍で高まったローカルな話題への関心がコロナ収束後も定着し、生活に直結する情報価値の高まりが、サイトジャンルの増減にも反映されていると考えられます。
■カバー領域の広い総合系サイトは相対的に弱含み
「女性総合」「一般総合」「IT・コンピュータ」など、取り扱う話題が広いジャンルでは減少が目立ちました。ただ、これらのジャンルでは専門性の高い特化メディアとライト層に向けたレビューサイトなどへの二極化や棲み分けが進んだ可能性も考えられます。
■全体縮小の中でも一部成長の局面
全体として市場は縮んでいますが、直近でも伸びているジャンル(地域・暮らし・環境・教育・交通など)が確実に存在しており、成長領域を見極めることで効果的な情報流通設計に繋げることができそうです。
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これからのメディア コンテンツの価値とは
■サイト運営に訪れた変化 転載コンテンツの減少
サイト運営においてサーバー費や人件費、品質担保のためのチェック体制など固定費が積み上がる一方で、広告収益は外部要因による変動を受けやすく、多方面のジャンルを扱うサイトでは採算が取りづらくなっています。強い領域に集中してコンテンツの専門性を高めるなど見直しが進み、外部配信においても集約の流れが起こり、転載(複製)コンテンツは相対的に減少しています。
※2024–2025年には、BIGLOBEニュース/gooニュース/So-netニュース/GREE/エンタメウィークなど転載の受け皿となっていたサービスの終了が相次ぎました
■身近な情報を効率よく得たいユーザーニーズ
ニュース消費においては、SNSやショート動画など短時間で要点を得られるフォーマットを好むユーザーも増えています。また、コロナ禍には地域情報ニーズを受けて、Googleニュースによるローカルニュース枠の強化や、Instagramの地図検索機能の追加など、「近くの情報」を発見する導線が拡充されました。
このような「効率よく」「身近な情報」を入手したいというニーズは、伸長が確認できる「地域情報」ジャンルの拡大にも繋がる動きと考えられます。
■生成AIの躍進と収益モデルのシフト
広告の効率低下・配分変化のほか、検索結果におけるAI要約の普及も進み、「アクセス頼み」のサイト運営が難しくなっています。外部提供を受けて記事数を揃える「転載依存型」のサイトより、独自取材・オリジナル記事の価値が相対的に上昇していくことが考えられます。
オリジナル記事は、サイト運営側にとってもニュースを消費するユーザーにとっても、これまで以上の価値を示すことになるはずです。
価値ある情報発信に向けて
■ニュース流通の“経路”まで設計
誰が書いたか(どのメディアが書いたか)/どこへ転載するか(あるいは独占か)を前提に、露出の組み合わせと転載媒体の重複などを把握したうえで、全体のトータルリーチを考慮することが求められます。その際に、オリジナル媒体の選定は不可欠です。
幅広いニュースを取り扱うサイトではリーチ数も取りやすいですが、ターゲット層に届きにくい可能性もあり、専門サイトも並行して選定する必要があります。WEBニュースサイトは全体では縮小傾向に転じていますが、「地域」「環境」「教育」「交通」など伸びているジャンルも確実に存在します。そういったニーズが上昇しているジャンルに向けた切り口で、情報発信を工夫することも有効な手段になり得ます。
■媒体データの蓄積で情報発信を支援
当社ではニュースサイトを継続的に監視し、随時サイトの追加・閉鎖を目視で確認し、ジャンル×運営主体×更新状況を蓄積した独自データベースを保有することで、一次掲載・転載有無・重複度を踏まえ、「どこが書き、どう流通したか」を可視化し、露出の価値を評価するお手伝いをしています。
クリッピングは、単なる記事収集ではなく、サイトやジャンルの増減・推移パターンなどから効果的な掲載獲得へと導く材料になり得ます。調査レポートを仮説設計、プラン設計にご活用頂けるよう、これまで以上にサービスの品質を向上し、広報活動を支援できるよう努めてまいります。
本件に関するお問合わせ先
oyama@naigaipc.co.jp