岩波家当主の思いから、大学がかかわることに
下諏訪本陣は江戸時代、多くの皇族や大名が宿泊したことで知られ、築約220年という建物は長野県の「県宝」にも指定されています。そして、この本陣岩波家に伝わる江戸時代の献立書に、日本全国を測量した伊能忠敬が宿泊した際の献立が記されていたことが一昨年わかりました。下諏訪宿本陣28代当主・岩波太左衛門尚宏氏は、献立の再現に強い思いを抱き、親交のあった本学の元教授・大久保洋子氏を通して、生活科学部の佐藤幸子教授に依頼しました。昨年2月、佐藤教授は献立書の一部の「24日御着、27日本膳」について再現レシピを発表。さらに、食文化の視点からこれをSDGsの取り組みへと進化させ、自身が率いる調理学第2研究室で献立書に書かれた弁当の食材のみを使った「26日御弁当」を再現し、2024年7月、本陣 岩波家にて報告会を開きました。
文献に当たり、当時の食材を当時の料理法で
今年度はこのプロジェクトをもう一段階発展させ、献立書に書かれた食材すべてを使用すると共に長野県の特産品も加え、さらに、岩波氏の「観光で訪れた人たちに食べていただきたい」という思いをくみ、観光客向けに提供できる弁当の開発をゴールに設定して、取り組みました。
調理学第2研究室の2人のゼミ生は、卒論のテーマにすることを決め、今年4月に、レシピの開発に着手しました。献立書には、当時の地域食材や流通していた保存食品など私たちにも見慣れた食材もあれば、山菜や山鳥などその当時の狩猟採集生活が垣間見れる食材などサスティナブルな食生活を想像できる食材もありました。ただ、献立書には料理名や調理法は記載されず、食材のみが記されていました。このため、学生たちは、室町時代から江戸時代の料理文献を19巻にまとめ集大成した料理書翻刻(ほんこく)本『日本料理秘伝集成』(1985年 同朋社出版)から「新撰(せん)料理献立部類集」、「豆腐百珍」といった江戸の料理書などに当たり、当時の調理法を推測して、どんな料理を作ることができるのかを考察。さらに、季節や彩りにも気を配り、レシピを考案しました。
ウナギ、アワビ詰めた豪華版に。下諏訪宿本陣で観光資源の目玉として提供へ
下諏訪宿本陣岩波家は、江戸五街道のうちの中山道と甲州街道が合流する下諏訪町にあり、中山道随一の温泉宿場町。一方、実践女子大学は、江戸時代に甲州街道の宿場町として栄えた日野市にキャンパスを構えています。偶然にも、伊能忠敬が食べたであろう弁当を再現するプロジェクトに携わった両者は、旧街道でつながっていることも何かご縁を感じるところです。『下諏訪宿本陣EDO BENTO』は今後、下諏訪町の観光資源として、伊能忠敬測量隊の功績とともに、地域創成に一役買っていきます。
※1お披露目会には、下諏訪宿本陣28代当主・岩波太左衛門尚宏氏、「二十四節氣 神楽」(和食店)料理長の武居章彦氏、和食文化の権威で本学の元教授・大久保洋子氏が出席し、「下諏訪宿本陣EDO BENTO」にかけた思いや弁当の販売についての考えを披露します。
※2伊能忠敬は1800年に幕府の命を受け、17年にもおよび日本全国の測量を行い、亡きあと弟子たちが遺志を受け継いで『大日本沿海輿地全図』を完成させ、国土の正確な姿を明らかにした人物です。
お品書き構成
お披露目会では、11品の料理を組み合わせ、御弁当を構成しました。
御弁当には飲み物代わりに汁物を同時に配置することを予定しています。
また、食後には抹茶&御菓子を提供する予定です。
『下諏訪宿本陣EDO BENTO』
主菜4品:出し巻き卵、鶏の炭焼き、鰻の蒲焼き、鮑の蒸し煮
御菜6品:突き蒟蒻の吹き寄せ、干瓢の胡麻酢和え、栗の浅茅田楽、長芋の出し炊き、
椎茸・人参の甘煮、野沢菜
抹茶&御菓子:抹茶&白餡の水羊羹
開催日時:10月8日(水)12時30分~15時30分 (開場12時)
開催場所:下諏訪宿本陣岩波家 玉座の間&泉水石組(長野県宝指定)
問い合わせ:岩波家本陣HP https://iwanamike-honjin.com/informationhttps:
Tel&Fax 0266-28-7055
※なお、当日取材にお越しの際は、10月6日まで、下諏訪宿本陣岩波家に連絡をお願いします。
▼本件に関する問い合わせ先
実践女子学園
経営企画部広報課
住所:東京都日野市大坂上4-1-1
TEL:042-585-8804
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