多摩大学(東京都多摩市、学長 寺島実郎)は、名古屋電機工業株式会社(愛知県あま市、代表取締役社長 服部高明、以下、「名古屋電機工業」)と共同で、混在交通に関わる電動キックボード走行時の人の視覚特性(誘目)に関する実験を行いました。多摩大学と名古屋電機工業は、情報表示装置を活用した電動キックボード利用者の走行ルール遵守に向けた行動の変化を促すための心理的・視覚的要因を考慮した効果的な表示技術およびその評価手法を開発するための共同研究を行っています。



 多摩大学の菅沼睦准教授(知覚心理学)をはじめとする視線計測研究をベースに、名古屋電機工業が有する、道路交通における情報表示装置の表示技術および道路利用者からの表示の見え方などの知見を活かし、今回の実験に至りました。


 本研究は、違反数の多さや事故のインパクトで社会問題化している電動キックボードに焦点を当てています。歩道走行(時速6km)モードへの切り替え忘れや通行区分違反などを防ぐためには、ユーザーへの表示(任意標識など)も重要です。任意標識(表示)の相乗で、電動キックボードを適切な通行場所へ促すことができるのではないかとの趣旨の下で、走行時の視線の動きを計測することで、いかなる表示が誘目性を持つかを考察しました。新興モビリティの一種である電動キックボードを含む、多様なモビリティが混在する現代の道では、「道は誰のものか」という問いに立ち戻る必要があり、そのためには、技術的・心理的にモビリティがいかなる挙動をし、人がどのように行動するかをも把握する必要があります。

 本研究は、多摩大学の樋笠尭士准教授を代表研究者とする「混在交通の占有・優先度についてのELSIの実践的整理と対応方策の創出」(科学技術振興機構・社会技術研究開発事業「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム」2024年度採択課題2024年10月~2028年3月、JPMJRS24J2)の一環で行われました。

 多摩大学からは、樋笠尭士准教授(法学)・杵渕洋美准教授(教育学)・太田哲教授(文化人類学)・新西誠人准教授(技術経営学)・田中友理専任講師(社会心理学)・高橋恭寛准教授(交通史・哲学)・菅沼睦准教授(知覚心理学)の7名と学生特別研究員が参加。電動キックボード・自動運転車・自動配送ロボット・電動車椅子・バイク・自転車・歩行者などの「共存」を目指した「道」の研究を行っています。


 名古屋電機工業は、道路交通だけでなく歩道の安全も守る企業として、どんな表示の仕方をすれば自転車や電動キックボードの行動を変えることができるかという課題に取り組んでいます。

(参考/RISTEXサイト)
・混在交通の占有・優先度についてのELSIの実践的整理と対応方策の創出
 https://www.jst.go.jp/ristex/rinca/projects/jpmjrs24j2.html


▼多摩大学に関する問い合わせ先
 多摩大学 ELSI研究センター 樋笠 尭士
 住所: 東京都多摩市聖ヶ丘4-1-1
 TEL: 042-337-7166
 FAX: 042-337-7103
 E-mail: hikasa@tama.ac.jp

▼名古屋電機工業に関する問い合わせ先
 名古屋電機工業株式会社 経営戦略本部 新事業開発室
 住所: 東京都中央区日本橋小舟町12-6
 TEL: 03-6803-5783
 FAX: 03-6803-5784


▼本件に関する問い合わせ先
学長室
高野 智
住所:東京都多摩市聖ヶ丘4-1-1
TEL:042-337-7300
FAX:042-337-7103
メール:hisho@gr.tama.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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