東京慈恵会医科大学 分子疫学研究室の浦島充佳教授らの研究グループは、消化器がん患者を対象としてビタミンDの効果を検証する臨床試験「AMATERASUランダム化比較試験」の事後解析により、ビタミンDサプリメントによる消化器がんの再発・死亡抑制効果が、患者の血液中のビタミンA濃度によって左右されることを世界で初めて明らかにしました。
本研究の成果は、米国がん学会(AACR)の公式学術誌『Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention』誌に、2026年1月12日に掲載されました。
【ポイント】
ビタミンDが細胞内で働く際に結合する「ビタミンA受容体(RXR)」に着目し、ビタミンAの状態が不適切だとビタミンDサプリメントの再発抑制効果が発揮されないことを突き止めました。
血清ビタミンAが「中~高値」の至適範囲にある患者において、ビタミンDサプリメント摂取による再発・死亡リスクが69%減少するという効果を確認しました。
逆にビタミンA濃度が極端に高かったり低かったりした場合、ビタミンDサプリメントの抗がん効果が十分に発揮されない可能性が示唆されました。
ビタミンDはがんの予後改善に寄与することが多くの研究で示唆されていますが、臨床試験の結果にはばらつきがありました。本研究グループは、細胞内でビタミンD受容体(VDR)が働く際に、ビタミンAの受容体(RXR)と結合して「ヘテロ二量体」を形成する必要があるという生物学的なメカニズムに着目しました。つまり、ビタミンDが十分に働くためには、パートナーであるビタミンAの状態が適切である必要があるという仮説を立て、検証を行いました。
【発表論文】
タイトル: Effect Modification by Serum Vitamin A Levels on the Association Between Vitamin D and Relapse or Death in Patients with Digestive Tract Cancer: A Post Hoc Analysis of the AMATERASU Randomized Clinical Trial
著者: Kohmura T, Ohdaira H, Suzuki Y, Urashima M
掲載誌: Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention (2026)
DOI: 10.1158/1055-9965.EPI-25-1427
現在、消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)に加え、頭頚部癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌の患者さんにご協力いただき、ビタミンDサプリメントのがんの再発抑制効果を厳密に検証する国内最大規模の臨床試験「AMATERASU試験」の第二弾を、慈恵医大附属病院を中心に2022年1月から開始しました。
【AMATERASU試験について】
本研究の基盤となったAMATERASU試験は、がんの再発予防におけるビタミンDサプリメントの効果を厳密に検証した、国内最大規模の臨床試験です。
試験デザイン: 2010年から2018年にかけて実施された、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。
対象: 手術を受けたStage I~IIIの消化器がん(食道から直腸まで)の患者417名(平均年齢66歳)。
方法: 患者をビタミンD3(2,000 IU/日)摂取群とプラセボ群にランダムに割り当て、再発や死亡を長期追跡。
主解析の結果: 世界最高峰の医学雑誌(トップジャーナル)である『JAMA』誌に2019年に掲載されました。
【お問合せ先】
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東京慈恵会医科大学 分子疫学研究室 担当:浦島充佳 電話:03-3433-1111(代)
(取材・報道に関するお問い合わせ)
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