当社はこれらの研究成果を、皮膚科学の専門誌「The Journal of Dermatology」および第33回毛髪科学研究会※1で発表しております。
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図1 休止期脱毛症の病態と研究概要
【研究背景】
身近に起こる「休止期脱毛症」の実態
脱毛症には、壮年性脱毛症や円形脱毛症などがありますが、今回着目した「休止期脱毛症」は、心身に大きなストレスを受けることで、毛髪の成長が止まり(休止期※2の状態)、一時的に抜け毛が増加する脱毛症です。この脱毛症は、心理的プレッシャーや感染症、過激なダイエットなど、心身へのストレスが原因で起こることが知られており、新型コロナウイルス感染症による“コロナ脱毛”も、休止期脱毛症の一種と考えられています1)。この症状は通常3~6か月程度で治まることが多いものの、急激かつ多数の毛が抜けるため患者の精神的ダメージは大きく、生活の質の低下に繋がりかねません。
また、健康な人でも、季節によって抜け毛が増えることがあり、これも休止期脱毛症の一種とされています2)。ある研究では、これから迎える春や夏に毛髪の成長が止まる休止期の毛髪が増え、これらが秋までに抜け毛となると考えられています3)。
このように身近に起きうる「休止期脱毛症」ですが、自然回復が基本とされるなど、その治療選択肢は限られています。
ミノキシジル研究が切り開く休止期脱毛症治療の可能性
発毛成分「ミノキシジル」は、毛髪を休止期から成長期※2に移行させる作用が知られており、一般的には壮年性脱毛症の治療に用いられます。こうした作用から、休止期脱毛症の回復を早めることが期待されますが、これまで休止期脱毛症に対する十分な検討は行われていませんでした。
当社はこのような背景を踏まえ、休止期脱毛症に対するミノキシジルの作用を科学的に検証する必要があると考え、休止期脱毛症を対象とした5%ミノキシジル製剤の外用の有用性を検討する研究に着手し、2つの研究成果を得ました(図1)。
【研究成果】
① 休止期脱毛症を模倣したマウスにおいて、5%ミノキシジル製剤の外用により早期に新たな毛の成長が促進した
② 休止期脱毛症の日本人成人男女において、5%ミノキシジル配合剤の外用による治療早期からの改善傾向を確認した
【研究成果①】
休止期脱毛症を模倣したマウスにおいて、
5%ミノキシジル製剤の外用により早期に新たな毛の成長が促進した
休止期脱毛症の病態の一端を模倣したマウスに、5%ミノキシジル製剤を外用することで、休止期脱毛症に対する有用性を検証しました。その結果、ミノキシジルが入っていない製剤を外用したマウスと比べて、5%ミノキシジル製剤を外用したマウスでは、新たな毛を早期に成長させました(図2)。
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図2 休止期脱毛症の病態を模倣したマウスにおけるミノキシジルの毛成長促進効果
n=18-20.平均値±標準誤差.*p < 0.05,***p < 0.001,vs 健康なマウス.#p < 0.05,##p < 0.01,###p < 0.001,vs ミノキシジルなし.観察日毎にTukey検定,投与後13日のみSteel-Dwassの多重比較.
【研究成果②】
休止期脱毛症の日本人成人男女において、
5%ミノキシジル配合剤の外用による治療早期からの改善傾向を確認した
新型コロナウイルス感染症を含む発熱性疾患、心理的ストレス、盲腸の手術、過激なダイエットを原因とした「休止期脱毛症」と診断された日本人成人男女12名を対象に、5%ミノキシジル配合剤(ミノキシジル、他6種の有効成分配合)1回1mLを1日2回、頭皮全体に24週間塗布する探索的臨床試験(非盲検非対照)を実施しました4)。
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図3 毛髪数の変化
n=10-12. 平均値±標準誤差 (*p < 0.05; 対応のあるt検定). 治療開始時(0週)から24週後まで4週毎に、評価部位1cm2あたりの毛髪数を測定した.
また、全12例の中で、最も総毛髪数の変化量が大きかった下記の症例では、24週間で総毛髪数が24.3本/cm2増加しました。なお、本症例においては、併せて評価している「洗髪1回あたりの抜け毛量」が、試験開始時(0週)では250~300本だったのに対し、24週では150~200本であり、24週間で約50~150本程度の減少が認められました(図4)。
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図4 著効例
なお、今回の試験では副作用として接触皮膚炎が1例1件認められましたが、これは本剤でこれまでに確認されている安全性プロファイルの範囲内の事象でした。
【まとめ】
以上の2つの研究成果より、5%ミノキシジル製剤の外用が休止期脱毛症を早期に改善させる可能性を見出しました。これにより、発毛成分ミノキシジルは壮年性脱毛症だけでなく、休止期脱毛症の治療にも有用となる可能性が示唆されました。今後のさらなる研究によっては、ミノキシジル製剤の外用が休止期脱毛症の治療選択肢の一つになる可能性があり、休止期脱毛症に悩む患者の精神的負担を軽減し、生活の質の向上につながることが期待されます。
当社は毛髪に関わる様々な課題を解決するため、「“生える”を科学する大正製薬のヘアケア研究」をモットーに、毛髪科学に関わる研究活動を継続し、生活者のより豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。
【用語説明】
※1 毛髪科学研究会(The Society for Hair Science Research:SHSR)
毛髪科学研究会は、毛髪及び毛髪疾患の研究を推進させることを目的として1993年に設立され、年に1度、医師や大学・企業の研究者等が集まる学術集会を開催。本研究会は、日本皮膚科学会と連携しながら「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017 年版」の策定に中心的な役割を担うなど、毛髪領域において日本を代表する学術団体の一つです。
※2 休止期・成長期
髪には一定の寿命があり、成長した後自然に抜け、再び同じ毛穴から新しい毛が生えてくる。これをヘアサイクルと呼ぶ。
【出典】
1) 乾重樹. 皮膚の科学. 2023;22(3):264.
2) Headington JT.Arch Dermatol. 1993;129(3):356-363.
3) Kunz M, et al.Dermatology. 2009;219(2):105-110.
4) 2022年3月16日発表リリース:休止期脱毛症を対象としたミノキシジル5%配合外用剤の発毛効果に関する治験を開始(https://www.taisho.co.jp/company/news/2022/20220316000965/
)
【研究成果】
①Tani Y, et al. Minoxidil Promotes Hair Growth in a Mouse Model of Telogen Effluvium Induced by Lipopolysaccharide.J Dermatol. 2025;52(12):1864-1868.
DOI: https://doi.org/10.1111/1346-8138.70062
②Ohyama M, et al. Use of 5% Topical Minoxidil Application for Telogen Effluvium: An Open-Label Single-Arm Clinical Trial.J Dermatol. 2025;52(9):1351-1359.
DOI: https://doi.org/10.1111/1346-8138.17844
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