肉用牛の生産効率や質の向上、牧場経営の安定化を支援し、次世代畜産業創出への貢献を目指していくという。
近畿大学生物理工学部の松本研究室は、約20年間にわたり畜産業界の肉用牛に関する研究を行ってきた実績をもつ。2022年には松本和也教授のもと「AIビーフ技術」を開発、このほど事業化を進めるためビーフソムリエの設立に至った。
「AIビーフ技術」は、肥育中の牛からごくわずかな量の血液を採取しさえすれば、その血液中の135種類にも及ぶたんぱく質情報をAIで分析、出荷時期におけるサシの状態や枝肉の重量、その肉の口溶けや風味に影響するオレイン酸含有量などを速やかに予測できるというもの。出荷の1年以上前にこうした肉の形質予測が可能となるとされる。
さらに、肉用牛特有の成長のばらつきが個体差としてあるため、同じようにコストと手間をかけた牛でも、出荷時の単価に大きな違いが出ることが少なくなく、こうした点も経営圧迫の要因になっているという。
そこでビーフソムリエでは、この成長のばらつきを均一化させるため、将来の肥育状態を分子レベルで計測・可視化し、アドバイスが行える「AIビーフ技術」を活かしたサービスを提供することとした。
生産者は出荷の1年以上前から将来の枝肉形質を調べられるため、効率的な牛群管理が可能となり、生産性向上や経営の安定化を図りやすくなる。
ブランド牛の特徴をデータで可視化することも可能となるため、他のブランド牛との差別化も図りやすく、品評会などに出品する個体選択にも活きるという。
さらに飼料会社が、新たな飼料開発や開発済み飼料の販売促進データとして利活用することも視野に入れるほか、獣医師が科学的根拠として用い、牧場コンサルティングを実施していくといった用途でも使えるとされる。
食肉卸では、仕入れ予測から仕入れ値や量の最適化が図れ、食品小売は肉のデータに基づいたブランド戦略やマーケティングも実施できるようになる。銀行など金融機関は、子牛の融資モデルに活用することも可能だ。
このように、様々なセクションで活用できる肉用牛の枝肉形質における生態予測診断プラットフォームサービスとして提供し、次世代畜産業の発展を支援していきたいとする。
なお、ビーフソムリエは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)プロジェクト推進型起業実証支援を経て、JSTのSTART事業で事業プロモーターを務めた元インキュベイトファンド株式会社の仁木隆大氏が代表パートナーを務める、Abelia Capitalからシードラウンドの資金調達を実施していることも明らかにされた。
(画像はプレスリリースより)











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