TXP Medical開発のアプリを導入
札幌市消防局はこのほど、メディカルITベンチャーのTXP Medical株式会社(以下、TXP Medical)が開発した救急隊向けアプリ「NSER mobile」を導入し、デジタル化を進めた。

アプリはClaris International Inc.(以下、Claris)の提供するローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker」を基盤に構築されており、全国の救急医療を支え始めているという。
11月4日、Clarisが発表した。

人口約200万人、年間1,500万人以上の観光客を受け入れる札幌市では、年間およそ12万件の救急出動があるという。高齢化が進む中、救急搬送件数は右肩上がりで上昇しており、現場隊員の疲弊も大きな課題になっている。

こうした背景から、札幌市消防局はTXP Medicalと連携、救急隊の現場で活用できるデジタルソリューションの導入を決めた。

TXP Medicalによる「NSER mobile」は、救急現場でiPadやiPhoneを用い、患者情報の入力や受け入れの可否、搬送先の医療機関情報などをリアルタイムで共有できる仕組みとなっており、これまで電話と紙で行っていた医療機関とのやり取りをデジタル化、救急搬送のスピードと精度を大幅に向上させることができる。

札幌市消防局では、現在市内36救急隊の約350人と66の医療機関でこのアプリを導入、札幌市周辺の恵庭市消防本部、石狩北部地区消防事務組合とも同一プラットフォームとして連携を行っている。

一括送信機能や情報共有機能で高い効果
「NSER mobile」の導入により、従来は1件ずつ電話で医療機関に受け入れ確認を行っていたところを複数の病院へ一括搬送要請送信が行えるようになった。

また搬送時、外傷写真など事前に医療機関へと送付することが可能となり、写真から衝突による衝撃の方向確認など事故現場の状況も分かりやすくなったという。医師側も受け入れ前に損傷を想定しやすくなり、言葉で伝えきれなかった情報も画像を通じ正確に伝わることから、現場で高い評価を得ている。

iPadを用い、免許証や保険証、お薬手帳などを撮影すれば、自動的にOCR処理され、文字データとして病院へ送信されることから、受付準備もスムーズになった。

iPadとアプリの導入により、救急隊員が報告書を作成する事務処理時間も大幅に短縮され、救急隊員の休憩時間確保や後輩の教育など、必要時間を確保しやすくなった点もメリットとして挙げられている。

さらにiPhone、iPadで動作する「NSER mobile」を用いることにより、GPSによる救急車の正確な位置情報の取得が可能となったほか、札幌市以外の周辺地域における消防本部、医療機関とも同一プラットフォーム上で円滑な情報共有が行える体制となり、搬送の効率化と受け入れ体制の強化が同時に実現された。


「Claris FileMaker」は、あらゆる業務で自社課題を解決するカスタムアプリを作成、展開できるローコード開発プラットフォーム。直感的なUIで、あらかじめ用意されたテンプレートや日本語スクリプトを組み合わせれば、独自のアプリを素早く構築できる。

作成したカスタムアプリは、Mac、Windows、iOSといった各種主要OSやWebブラウザ上でシームレスに実行可能で、クラウドやオンプレミスでのリアルタイム共有に対応、オフラインでも利用可能となるなど、あらゆる環境で安全に情報を保存したり共有したりすることができる。

IoTやAIといった先進テクノロジーもカバーしており、多様なアプリやWebサービスとの連携もできるなど、利点が多く、高速開発が可能な点でも評価されている。

(画像はプレスリリースより)

元の記事を読む

編集部おすすめ