THA、DeNA AI Linkと協業で「リーダーズAI」を来春提供予定

AIとITの力を融合させた革新的ソリューションを提案するスタートアップの株式会社THA（以下、THA）は28日、株式会社ディー・エヌ・エー（以下、DeNA）の子会社である株式会社DeNA AI Link（以下、DAL）と、エンタープライズ向けAIサービス「リーダーズAI」を共同で開発・提供することを目指し、取り組みを進めていく基本合意書の締結を行ったと発表した。

企業のリーダーにおける思考や判断基準をAI化し、組織全体で活用できる環境を整えることを目指すもので、企業理念や文化を反映したアドバイスをタイムリーに提供、迅速かつ質の高い意思決定を支援していく。提供開始は2026年春を予定する。

AIブームともいえる中、多くの企業が生成AIの導入を進めているものの、現場での利用が進まない、出力される回答が自社文脈に合わない、平準化された回答になりがちで実務利用に試行錯誤が必要といった課題に直面しているともされる。

真にAIが組織の生産性を高めるには、単なる情報検索や文章生成を超えて、その企業戦略や文化背景を踏まえた判断、自社ならではの視点でアドバイスを提供することができなくてはならない。

とくに大手企業ではビジネスが多岐にわたる中で、企業理念や中長期戦略、組織文化といった全社レベルの指針と、事業・部門ごとの方針や戦略を踏まえたビジネスリーダーの思考や判断基準を組織全体に浸透させること、活用できる環境を整備することが必要となる。

こうした現況を受け、中小企業向けに「AI社長」サービスを提供し経営者個人の志向・判断基準・企業らしさをAI化するコア技術を培ってきたTHAと、DeNAグループの規模感を活かしDALが蓄積してきた大規模サービスの開発・運営力を融合させ、「リーダーズAI」の開発を進めることが決まった。

「リーダーズAI」は、経営層に加え、企業内の事業リーダー、営業・企画・販売・開発などの各部門において牽引役を担っているリーダーの思考をAI化、理想のリーダーを創り、育て、活用を深めていくAIサービスとして開発される。

このAIリーダーは、企業理念やIR情報、組織文化といった全社レベルの情報、部門ごとに蓄積された戦略やマニュアル、さらにリーダー本人への深いインタビューを通じて構築される。

社員は日常的に用いている使い慣れたビジネスチャットツールから、思いついたときにいつでもこのAIのリーダーに相談することができる。企画立ち上げ時や作業途中で迷い手が止まったときなど、これまでであれば上司の時間を気にして相談を躊躇していた場面でも、気軽に問いかけられるようになる。

相談を受けたリーダーのAIは、企業の価値観やビジョン、ミッション、そのリーダーらしい視点に基づき、具体的なアドバイスや判断の軸、思考を深めるための問いかけなどを返す。社員はこのAIと対話しながら仕事を進められ、効率良く、より精度の高い企画立案や迅速な問題解決で作業を前へ進めるといったことが可能になる。

営業部門ならばトップ営業の思考が組織全体に展開され、営業実績の底上げにつながることが期待され、企画部門ならば企画の質と量の向上が、人事などでは事業リーダーの視点や観点を1on1や社内評価、面接評価などに活用することでマネジメント精度の向上が見込まれる。全体として従業員が日常業務においても、その企業の理念や戦略を深い意味で理解し、実践していくことも可能になるだろう。

今回の共同開発においては、「AI社長」のノウハウがあるTHAがインタビューやプロンプト、RAG技術などAI構築のコア技術を提供、DALは事業主体としてサービスの提供、運営、開発推進に当たる。

なお、企業文化やリーダー思考を深く理解し、質の高いAIとして構築するため、導入までには約3カ月の期間を要するという。

THAの「AI社長」は、その会社らしさや社長らしさを反映させた企業オリジナルAIを生み出す伴走支援型のサービス。2023年8月のリリース以来、50社超の企業で導入され、中小企業を中心に理念浸透や業務効率化をサポートしてきた。

抽象的な企業理念を日々の業務における具体的な判断基準に変換したり、RAG技術による社内知識の検索活用と徹底的なヒアリングで言語化された企業の価値観の統合でその会社らしい回答を実現させたりできる点が強みとなっており、理想的な上司への24時間対応バーチャル相談窓口を設置したような効果が得られる。社員の働きがいや心の支えとしても機能し、持続的成長を支援する点も特徴とされる。

（画像はプレスリリースより）

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