1.市場概況
ポリエチレン(以下、PE)市場は2020年の新型コロナウイルス禍における経済活動停滞による需要低迷以降、2021年には前年の反動から持ち直しの動きが見られた。
セグメント別に2024年の内訳を見ると、各樹脂の出荷量はHDPEが63万9,000t(前年比96.5%)、LDPEが56万6,000t(同98.4%)、L-LDPEが64万1,000t(同96.0%)、EVAが14万5,000t(同83.7%)となった。このうち、EVAは輸出の大部分を占める中国向けの太陽電池封止材用途において、2024年春頃より中国EVAメーカーの採用が進んだことで、日系EVAメーカーの出荷量は激減した。この影響を受けたことで、他樹脂に比べて大きな減少幅となった。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000328424&id=bodyimage1】
2.注目トピック~サステナブルPEにおける独自の取り組みが活発化
足元のサステナブルPE※1市場はごく僅かである。PEと並ぶ汎用樹脂の一つで、国内需要量のトレンドが類似するポリプロピレン(PP)においてもサステナブル化は進んでいないものの、自動車におけるリサイクル樹脂の使用割合が義務付けられた欧州ELV規則の施行を見据え、リサイクル樹脂のニーズは高まりつつある。一方で、PEの主要用途である食品包装材料や産業資材向けなどでは、一部を除き、サステナブル材料の使用割合を規定する法規制等がないことなどからサステナブル化は出遅れている。
足元のサステナブルPE市場は立ち上がっていないため、各社のサステナブル製品の販売量に大きな差は見られない。しかしながら今後は、MR(マテリアルリサイクル)、CR(ケミカルリサイクル)、バイオといった様々なオプションの中で、各社のこれまでのサステナブルPEに対する取り組み、事業の進め方による得意不得意が際立ってくることが見込まれる。例えば、MRであれば銘柄設計技術・コンパウンド処方技術、リサイクル材の改質技術などのほか、高品質なリサイクル材の調達スキームや、有力リサイクル事業者との提携力を持つところが優位に立つ。CRやバイオはマスバランス方式※2によるクレジットの割り当てとなるため品質や価格面での差別化は難しいが、ブランド化による認知向上など、自社の製品を選んでもらうための取り組みが必要と考える。
PEメーカー各社では、サステナブル製品のブランド化による認知向上に加え、MR-PEの品質保証や改質などの付加価値により既存のリサイクル事業者との差別化を図るほか、バイオエタノールからの基礎化学品製造技術開発を進め技術ライセンスを行うなど、他社とは異なる独自の展開での差別化を進める動きが出てきている。
※1.本調査におけるサステナブルPEとは、MR(マテリアルリサイクル)、CR(ケミカルリサイクル)、バイオマス原料を利用したバイオPEを対象とした。
※2.マスバランス方式とは、異なる特性を持つ原料(バイオマス・リサイクル原料や石油由来原料)を混合して製品を製造する際に、それぞれの原料の投入量に応じて、生産された製品の一部にその特性を割り当てる手法である。
3.将来展望
2025年のPE出荷量(メーカー出荷量ベース、輸出分含む)は前年比100.9%の200万9,000tになる見込みである。
汎用品分野における海外品の流入や、物価高による食料品等の消費抑制の影響は解消されていないものの、ここ数年間に発生した大幅な需要減少については落ち着いたと見る向きが多く、前年比で横ばいから微増程度の出荷量を見込む。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3900
調査要綱
1.調査期間: 2025年5月~7月
2.調査対象: ポリエチレンメーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2025年7月31日
お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
配信元企業:株式会社矢野経済研究所
プレスリリース詳細へ
ドリームニューストップへ