PSCD業界は当初、気候変動対策の一環として政府主導の規制や補助金によって発展してきたが、近年では明確な技術優位性と収益性が認識されつつあり、政策主導から技術主導への転換が進行している。特にエネルギーコストや回収効率の面でブレークスルーが起きたことで、導入の経済合理性が向上し、産業界側からの自発的な投資も増加している。また、用途別・規模別に多様な機器設計が可能となり、フレキシブルなソリューション提案が実現している。結果として、従来は一部の大規模施設に限定されていたPSCDの導入範囲が、中小規模の排出源にも広がっており、市場全体の裾野が拡大している。
PSCDの市場成長を支えるもう一つの特徴は、他の脱炭素技術との統合的な展開である。例えば、再生可能エネルギー由来の水素製造と組み合わせたCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)や、バイオマス発電との併用による負の排出(ネガティブエミッション)の実現など、多様な技術とのハイブリッド構成が進んでいる。また、回収したCO?の利活用先として、合成燃料(e-fuel)、建材、農業用途などへの転用が研究されており、PSCDは単なる「排出削減装置」ではなく、「炭素資源循環システム」の中核として再定義されつつある。このように、点と点ではなく、技術と産業を面でつなぐ基盤装置としての役割が強まっている。
LP Information調査チームの最新レポートである「グローバル点源炭素回収装置(PSCD)市場の成長2025-2031」によると、2025年から2031年の予測期間中のCAGRが14.4%で、2031年までにグローバル点源炭素回収装置(PSCD)市場規模は126.7億米ドルに達すると予測されている。
図. 点源炭素回収装置(PSCD)世界総市場規模
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図. 世界の点源炭素回収装置(PSCD)市場におけるトップ17企業のランキングと市場シェア(2024年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)
LP Informationのトップ企業研究センターによると、点源炭素回収装置(PSCD)の世界的な主要製造業者には、Exxon Mobil、Aker Solutions (SLB)、Mitsubishi、BASF、General Electric、Siemens AG、Linde PLC、Equinor、Huaneng、Halliburtonなどが含まれている。2024年、世界のトップ10企業は売上の観点から約51.0%の市場シェアを持っていた。
PSCD市場の成長を牽引する要因は多岐にわたるが、最も大きな背景は、グローバルレベルでのカーボンニュートラル宣言と、それに伴う排出量取引や炭素税の制度化である。これにより、炭素排出をコストと捉える企業が増加し、PSCDは「投資によるリスク低減装置」としての位置づけを確立している。また、今後の展望として、技術革新により設置コストがさらに低下し、オペレーション自動化や遠隔監視の導入が進むことで、より多くの業種・地域での導入が現実味を帯びてくる。加えて、炭素回収と同時にエネルギー効率や排ガス中の他の有害物質の除去効果を兼ね備える複合機能化も期待されており、PSCDは今後、環境装置市場の中で多機能型中核技術としての地位を確立すると見込まれる。
レポート概要
タイプ別セグメント:
Pre-Combustion Carbon Capture
Oxy-Combustion Carbon Capture
Post-Combustion Carbon Capture
用途別セグメント:
Oil & Gas
Power Generation
Others
会社概要
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