はんだ印刷工程の要を担う3D検査技術
SMT SPI(ソルダペースト検査)装置は、ステンシル印刷工程においてプリント基板上に塗布されたはんだペーストを検査するための装置である。レーザーや構造化光を用いた3Dイメージング技術により、はんだの体積、高さ、面積を精密に測定することができ、印刷のばらつきや欠陥を早期に発見し、後工程の不良を未然に防ぐ役割を果たす。
高度な定量評価に基づくこの検査は、製造ライン全体の品質を左右する重要なプロセスである。

LP Information調査チームの最新レポートである「グローバルSMT SPI検査装置市場の成長2025-2031」によると、2025年から2031年の予測期間中のCAGRが8.3%で、2031年までにグローバルSMT SPI検査装置市場規模は5.6億米ドルに達すると予測されている。

印刷工程の品質がすべてを左右する時代へ
高密度実装が主流となる中、プリント基板製造における最も初期の工程であるはんだ印刷の品質が、製品全体の信頼性を決定づける要因となっている。SMT SPI(ソルダペースト検査)装置は、ステンシル印刷直後の段階で、はんだペーストの体積、厚み、面積といった三次元情報を正確に測定し、印刷不良の即時検出を可能にする。目視や2D検査では捉えきれない微細な変形や塗布ムラを可視化し、後工程に重大な影響を及ぼす欠陥の発生を未然に防ぐ。いまやSPIは「品質保証の起点」として、製造現場における戦略的設備となっている。

市場は高度化と差別化のフェーズへ突入している
2025年LP Informationの最新レポートが示す通り、グローバルSPI市場では、装置の精度やスピードに加えて、解析能力やAIによる自己学習機能、さらには他工程とのデータ連携といった「統合型インテリジェンス」の競争が始まっている。韓国や中国の先進的EMS企業では、SPIデータをAOI・リフロー後の結果と統合し、全体最適のプロセス管理に活用する動きが広がっており、検査装置は単体評価からシステム価値へと視点がシフトしている。一方で新興市場では、使いやすさや導入コストの最適化を重視した製品群へのニーズも根強く、多様な製造環境に対応するための製品戦略が求められている。

図. SMT SPI検査装置世界総市場規模

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図. 世界のSMT SPI検査装置市場におけるトップ20企業のランキングと市場シェア(2024年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)

LP Informationのトップ企業研究センターによると、SMT SPI検査装置の世界的な主要製造業者には、Koh Young、Test Research, Inc (TRI)、Sinic-Tek Vision Technology、CKD Corporation、Nordson Corporation、MIRTEC CO., LTD.、Pemtron、Viscom AG、Yamaha、ViTroxなどが含まれている。2024年、世界のトップ10企業は売上の観点から約68.0%の市場シェアを持っていた。

なぜ今、SPI装置への投資が加速しているのか?
SPI導入の動機は単なる不良率の低減ではなく、「工程制御」の強化にある。
はんだ印刷は変動要因が多く、温湿度やスクリーン摩耗など微細な条件変化が品質に直結する。このため、リアルタイムで量的な情報を取得し、統計管理やフィードバック制御を実現するSPI装置は、生産の安定性確保に不可欠な存在となっている。また、自動車や医療機器など高信頼性が要求される分野では、部品実装の前段階で不具合を遮断することが必須であり、SPIは品質保証体制の中心的役割を果たしている。さらに、少量多品種の短納期生産では、初回印刷から最適状態を維持するためにも、SPIの即時検知力が強力な武器となる。

差別化は「データ活用力」にある
企業が今後SPI市場で競争優位を築く上で鍵となるのは、単なるハード性能ではなく、収集された検査データの「価値化」である。はんだ量の変化パターンや位置ズレ傾向をもとに工程を最適化したり、不具合の予兆をAIが学習・通知したりするような機能が、各社の検査戦略を次のステージへと導いている。さらに、他の検査装置やマウンター、リフロー炉と連携し、製造ライン全体を俯瞰的に管理するスマートファクトリー構想が現実のものとなりつつある。こうしたデータ連携・解析を中心に据えたビジネスモデルへの進化こそ、成熟市場における持続的な差別化要因である。

グローバル化と現地適応を両立させる柔軟性が求められる
今後の企業成長には、海外市場への柔軟な対応力と、現地ニーズに合致した製品設計の両立が必要不可欠である。先進国では生産の完全自動化とトレーサビリティへの要求が高まっており、クラウドベースの分析機能や遠隔監視ツールとの親和性が重視される傾向が強い。一方、成長著しいアジアや中東・南米などでは、基本機能に絞りつつも精度・安定性を維持した製品が選ばれる。このように、各地域ごとの製造事情・規制・人材環境を正確に読み取り、最適な技術提案を行うための「マーケットイン設計」が、SPI事業におけるグローバル展開の成否を左右する。
製品力、対応力、そして提案力の三位一体で市場を拓く姿勢が、これからの企業の競争力となる。

レポート概要
タイプ別セグメント:
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用途別セグメント:
Consumer Electronics
Telecommunications Equipment
Automotive
Others

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