AXIとは「自動X線検査(Automated X-ray Inspection)」を意味し、SMT(表面実装技術)の分野において、SMT AXI検査装置とは、実装工程中または実装後に、プリント基板(PCB)上の隠れたはんだ接合部や内部構造をX線画像によって検査する専用機器を指す。目視や光学検査では確認が難しいBGAやCSPなどのパッケージ内部の接合状態を非破壊で確認できることから、高密度実装時代における品質保証の中核技術となっている。
肉眼では見えない不良をどう見抜く?信頼性の核心に迫るAXI技術
SMT工程における実装密度の高度化と製品小型化が進む中、外観検査では捉えきれない内部欠陥への対応が喫緊の課題となっている。そのソリューションとして注目を集めているのが、X線による非破壊検査を自動化した「SMT AXI検査装置」である。BGA、CSP、QFNなどのパッケージにおける内部はんだ接合状態の可視化を可能とし、リワークや製品クレームのリスクを大幅に削減する。とりわけ車載電子機器、航空宇宙、医療機器などの高信頼領域では、AXIの採用が品質保証の要件となりつつある。また、設計段階からAXI適合を想定したDFA(Design for Assembly)との連動も進み、単なる検査装置ではなく、製造工程全体の最適化を担う中核技術として位置づけられている。
市場構造は変革期、技術革新と地域戦略が鍵を握る
2025年現在、SMT AXI検査装置市場は技術革新と地域分散の二軸で大きな転換期を迎えている。LP Informationの最新分析によると、日系および欧州系の老舗メーカーが引き続き精密制御・ソフトウェア統合での優位性を発揮する一方、中国や東南アジアでは、コスト競争力と機動性を武器とする新興企業の存在感が増している。これにより、装置選定における基準も「検出精度」だけでなく、「解析能力」や「データ連携性」など、工程間接続・スマートファクトリー対応まで含めた総合性能が重視されてきている。また、企業年報や政府調達情報からも、電装化の進むEV生産や国家主導のインフラ高度化案件において、AXI装置の需要が明確に拡大していることが読み取れる。こうした背景を受け、企業に求められるのは、単なる検査精度の競争ではなく、「装置×データ×工程設計」の三位一体で価値を創出できる体制である。
LP Information調査チームの最新レポートである「グローバルSMT AXI検査装置市場の成長2025-2031」によると、2025年から2031年の予測期間中のCAGRが5.9%で、2031年までにグローバルSMT AXI検査装置市場規模は2.6億米ドルに達すると予測されている。
図. SMT AXI検査装置世界総市場規模
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図. 世界のSMT AXI検査装置市場におけるトップ9企業のランキングと市場シェア(2024年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)
LP Informationのトップ企業研究センターによると、SMT AXI検査装置の世界的な主要製造業者には、Viscom、Test Research (TRI)、Nordsonなどが含まれている。2024年、世界のトップ3企業は売上の観点から約60.0%の市場シェアを持っていた。
サブミクロン領域への対応が新たな差別化を生む
今後の成長において重要となるのは、解析領域の微細化対応である。先端パッケージの進化により、従来のX線技術では識別困難なサブミクロンレベルのボイドや未接合が致命的な不良原因となり得る。これに対し、高解像度・高フレームX線源や3D CT技術、AIを活用した自動判定機能などを組み込んだ次世代AXI装置が市場投入されつつある。こうした技術革新に追随できるかどうかが、今後の競争優位を左右する。また、検査と並行してトレンドとなっているのが、トレーサビリティ強化である。検査結果をクラウド上でリアルタイムに管理・共有し、工程フィードバックに即時反映させる仕組みを持つかどうかが、装置の価値を大きく引き上げる。
顧客プロセスとの「共創」が競争戦略の要となる
AXI装置の性能だけでは、差別化が難しい時代に突入している。真に選ばれる企業とは、顧客の製造現場に深く入り込み、実装設計や工程条件と一体で装置を最適化できるかどうかにかかっている。例えば、ある半導体企業では、AXI装置の導入によりNG品の流出を95%以上削減しただけでなく、装置メーカーと共同で検査パラメータ最適化のアルゴリズムを構築し、生産歩留まり全体の向上に貢献している。このように、導入後のサポート体制や装置の柔軟なアップデート性、さらには工程シミュレーションまで提供する力が、AXI装置メーカーの価値を左右する指標となってきている。
地政学リスクとESG要請の高まりが戦略選定を左右する
国際情勢やESG(環境・社会・ガバナンス)への対応が製造業全体に影響を及ぼす中、AXI装置メーカーも柔軟な供給体制と持続可能な開発への対応が求められている。とりわけ、特定地域に依存しない部品供給網や、装置の省エネルギー設計、環境対応型材料の採用などが、顧客側から明確に評価されるようになっている。また、政府系プロジェクトや欧州における規制適合要求などにも迅速に対応できる体制が、企業の受注獲得に直結する事例も多い。今後は、単なるハードウェア提供ではなく、「工程品質の可視化+持続可能な装置運用」という二重の価値を提供できる企業こそが、グローバル市場での確固たるポジションを築くことになるであろう。
レポート概要
タイプ別セグメント:
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Consumer Electronics
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Automotive
Others
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