1.市場概況
2025年のAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)/AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)世界市場規模(メーカー出荷台数ベース)は、前年比117.7%の286,235台の見込みである。
世界各国で自動車や半導体関連の製造業への設備投資が拡大している。さらに、少子高齢化による人手不足や人件費上昇、作業の安全性及び効率性向上へのニーズを背景に、スマートファクトリー化が加速している。こうした状況の中、物流自動化を支えるツールとしてAGVやAMRの導入が増加している。
また、カーボンニュートラルやESG(Environment、Social、Governance)に対する投資が重要視され、フォークリフトも内燃機関式よりも電動式を採用する方向に進むなど、産業現場の自動化や環境対応はトレンドとなっており、世界各国で着実に物流自動化が進展している。
導入業界別にAGV/AMRの需要動向をみると、製造業では安全面などからAMRよりもAGV、標準品よりもカスタマイズのニーズが多く、食品工場などでは冷凍冷蔵庫仕様や防水仕様、半導体メーカーではクリーンルーム仕様、自動車工場などでは重量物対応仕様やマルチ誘導方式、屋外仕様などのニーズが増えている。一方で、物流業ではパレットや棚の配置などが変わるなど走行環境の変化が大きいことから、フレキシブルに活用可能なAMRが好まれるケースが増えている。
市場に占める需要分野別の割合は製造業が約80%、物流業が約20%程度を占めると推計した。そのため、AGV/AMRメーカーの大半は、製造業を主要ターゲットとして製品・サービスを提供している。製造業においては、主に資金力のある大手及び中堅規模の自動車関連業界やエレクトロニクス業界を中心に導入が進んでいる。一方、物流業では、EC企業やアパレル業界、食品業界などの物流倉庫での導入が拡大している。その他、近年では、建設などのインフラ産業、空港や港湾における貨物コンテナ搬送、駐車場管理など様々な分野での活用事例も増加している。
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2.注目トピック~世界主要国の産業現場において、生産・物流スマート化が加速~
近年、日本や中国、欧州、北米を中心に自動車および半導体関連の製造業では、製造プロセスの高度化や生産能力の増強を目的とした設備投資が進展している。製造業の生産現場においては少子高齢化による人手不足や人件費上昇、作業の安全性および効率化向上へのニーズを背景に、自動化需要が拡大している。
さらに、世界的に電子商取引(EC)量が増加しており、EC企業では国境を超えて物流倉庫の構築を進めている。EC企業では、競争力強化に向けて消費者への迅速な配送のため、物流自動化などを通じた倉庫の内部作業効率化はこれまで以上に重要になっており、AGV/AMRの需要拡大を牽引している。
また、ロボットなどの導入による自動化構築に対する各国政府の支援制度も強化されており、大企業だけではなく中堅・中小企業においてもAGV/AMRなどの導入による、生産・物流のスマート化が加速している。
3.将来展望
物流自動化の流れは大企業だけでなく中堅・中小企業にも広がっており、2030年のAGV/AMR世界市場規模(メーカー出荷台数ベース)は1,381,088台まで成長を予測する。
背景には、企業のDX推進やEC市場の成長、労働力不足への対応、カーボンニュートラルやESG投資の潮流がある。産業現場の自動化や効率化は世界的に加速する見通しである。
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調査要綱
1.調査期間: 2025年8月~11月
2.調査対象: 日本及び海外のAGV/AMRメーカー、周辺機器及び部品メーカー、SI企業、Raas(Retail as a Service)企業、AGV/AMRを導入するユーザー企業、政府機関、大学・研究所、業界団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2025年11月28日
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