レクサスは3月12日、BEV(バッテリーEV)専用モデル「RZ」の新型モデルを世界初公開した。注目は、BEVシステムの全面刷新とステアバイワイヤシステムの導入だ。
2025年秋以降、順次グローバルでの販売を予定している。「RZ」新型モデルのおもな特徴は下記のとおり。

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①BEVシステムを全面刷新

バッテリーセルの改良と搭載セル数の増加で出力特性をアップした新開発の大容量リチウムイオン電池を採用。また、新たに高出力モーターも搭載し、インバーターの効率が向上した新型eアクスルを前後ともに搭載することで駆動モーターの高出力化(フロント/リヤともに167kW)とユニットの大幅な損失低減を実現。加えてバッテリーの大容量化とバッテリーパック構造の最適化などを施し、航続距離の伸長と充電時間の短縮をはたしている。

モーター出力は、165kW(FWDモデル)、230kW、250kW、280kW、300kW(いずれもAWDモデル。地域によって異なる)と幅広いラインアップにも注目だ。航続距離はFWDモデルで575kmと約20%、AWDモデルで500kmと約14%、それぞれ伸長。充電時間は最大30分以上の短縮が図られているという。特に低温環境下においては、新たに設定した「電池プレコンディション機能」を使うことで、充電開始前からあらかじめ電池温度が最適な状態に調整され、充電時間の遅延を解消できる。 ※航続距離は欧州WLTP(プロトタイプ値)

②レクサス初となる「ステアバイワイヤ」

ステアリングホイールとタイヤを機械的に接続せず、電気信号でタイヤ角を制御する「ステアバイワイヤ」。レクサス初採用となるそれは、中立位置から左右約200度の範囲でステアリング操作が可能となり、ステアリングホイールを大きく回転させる必要がなく快適で楽な運転を体感できる。
車速に応じたステアリングギア比の制御により、低速運転時の取り回し性だけでなく、ワインディングでの軽快な走行が可能に。また高速道路などの走行時も高い安定性を提供するという。機械的な締結がないため、路面から伝わる振動も効果的に抑制。同時に、路面の状態をセンシングして運転に必要な情報のみをドライバーに伝達するため、快適性にも寄与する。もちろん、ステアリングは操縦桿のような独自デザインを採用する。

④四駆システム「DIRECT4」の進化

「DIRECT4」の駆動力配分制御を見直し、さらに優れたトラクション性能と操縦安定性を実現。発進時、直進加速時は車両のピッチングを抑え、ダイレクトな加速感が得られるよう前輪:後輪=60:40~0:100で最適に制御。ターンインではクルマがすっきりと曲がれるよう、フロント寄りの駆動力へ配分される。さらにコーナー脱出時は乱れなく加速できるよう、各輪の接地荷重に応じたトルク配分制御とすることで、気持ちのいい旋回フィーリングやライントレース性を実現するという。また、「統合車両姿勢安定制御システム(VDIM)との連携と合わせ、フラットな乗り心地と優れた操縦安定性、さらに緊急時の危険回避性能を高い次元で確保した。

⑤インタラクティブマニュアルドライブの設定

パドルシフトを使用してマニュアルトランスミッションを操作するような感覚で駆動力を操作する機能「インタラクティブマニュアルドライブ」をレクサスで初採用。このシステムは8速の仮想有段ギヤを持ち、アクセル開度と車速に応じて算出した仮想パワーソーストルクに、パドルシフトで選択した仮想ギヤ段のギヤ比を乗じて駆動力を出力する。
ドライバーは最適なタイミングでシフト操作でき、アクセルを踏んだときの高揚感を体感できる。

また、エンジンが搭載されているようなサウンド演出にもこだわり、視覚的にもシフトアップ/ダウンが判断できるよう専用のシフトガイドメーターが採用されている。

⑥シャシー&ボディ関連の進化

新開発のリチウムイオン電池や新型eアクスルの搭載に伴い、サスペンションの特性を見直し。フロントサスペンションは低周波側のアブソーバー減衰力を上げることでよりフラットな乗り心地を追求した。リヤサスペンションでは、アブソーバーの可変幅を拡大し、低周波と高周波の減衰力を最適化することで、優れた操縦安定性の確保と乗り心地の向上を図っている。

また、ラジエターサポートまわりとリヤボディ後端の剛性向上を実施。フロントのラジエターサポートまわりの板圧、接合の強化を施し、リヤへはブレースを追加することで局所的なねじり変形を抑え、ステアリング操作に対するすっきりとリニアな反応を実現する。

さらに後席下にリヤフロアサイレンサーを設定し、ノイズの侵入を抑制。またドアトリム、シートサイドガーニッシュ、バックドアトリムの防音材を高性能化し、シートサイドガーニッシュの範囲を拡大。防音性能を持つトノカバーの採用や、トリムアッパー、デッキボックスに防音材を追加するな徹底した取り組みで、ロードノイズ、風切音への対策を施した。振動対策においても、ボディフロアパネルに高減衰接着剤を採用し、不快な振動を抑えて質感の高い乗り心地に貢献している。

⑦新たに「RZ550e Fスポーツ」をラインアップ

最大システム出力300kW(407ps)を発生させる「RZ550e Fスポーツ」を設定。
フロントロアバンパーモール、ブレーキダクト、リヤスポイラー、リヤバンパーロア、20インチエアロホイールなどの採用により、優れた空力性能・操縦安定性を実現。

20インチエアロホイールは、骨格となるアルミホイールに空力デバイスとしてのエアロカバーを設定することで、軽量化と空力による電費性能向上を図っている。

ボディカラーには硬質なソリッドのライトグレーにハイライトでメタリックをほのかに感じさせる新色「ニュートリノグレー」をFスポーツに設定。ブラックのFスポーツ独自アイテムとライトグレーのコントラストで、駆け抜ける力強さ”タフ&スポーティ”を表現している。

Fスポーツ用のインテリアカラーは「ブラック×ダークグレー」とし、ステッチはブルー。オーナメントパネル「マイクロジオメトリックパターンフィルム」をはじめ、表皮一体の発泡工法を用いたフロントシート、「F SPORT」ロゴ入りのフロントスカッフプレート、ステアリングホイールには「F SPORT」エンブレム、さらにアルミペダル&フットレスも設定。

なお、ステアバイワイヤとインタラクティブマニュアルドライブはFスポーツに設定される。

⑧インテリはクリーンで開放的に

前席上部から後部座席の乗員頭部まで設けた調光機能付きパノラマルーフの機能を向上。調光機能ON時にはパノラマルーフの鮮明度をアップさせて開放的に。また調光機能OFF時の遮光性も向上させ、直射日光や紫外線が厳しい環境下での快適性を高めた。また電子インナーミラーへの映り込みも低減させたことで、調光パノラマルーフと電子インナーミラーの同時装着が可能となっている。

ドアトリム表皮には、約30%が植物由来原料のウルトラスエードにレーザー加工によるグラフィックを施した。
シームレスでシンプル、先進的かつプレミアム感のある緻密なグラフィック表現はレクサス初の手法だ。

また従来の陰影イルミネーションの華やかさに、光の模様が揺らぐような動きを追加したレクサス初となるダイナミック陰影イルミネーション(マルチカラー)を設定した。

〈文=ドライバーWeb編集部〉
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