キノコの美味しい季節。
以前、キノコのクリームシチューを作り、さらにそれをパイで包んで焼いた「キノコのポットシチューパイ」を作ってみたところ、悲しい状態になってしまったことがある。

こんがり焼けたパイをサクサク崩しながら食べるのは楽しいが、中のクリームシチューが分離してしまい、失敗・茶碗蒸しみたいになっていたのだ。

こんな話を友人・知人にすると、「キノコを入れたせいでは?」とか「炒めるとき、バターでなくマーガリンを使ったからでは?」とか「牛乳じゃなくて低脂肪乳か加工乳、使わなかった?」など、様々な指摘をされた。
確かにキノコもマーガリンも使ったけれど、この組み合わせはよくやっているし、クリームシチューを作った段階では分離していなかった。ただ、言われてみれば、「種類別・牛乳」でなく「加工乳」だったような気はする……。
もしかして「牛乳」「成分調整牛乳」「加工乳」など、料理のメニューによって向いてるもの・向かないものがあるの?
牛乳や加工乳・成分調整牛乳の違いと、その用途の違いについて、社団法人日本乳業協会・消費者相談室に聞いた。

「『種類別・牛乳』はそのまま搾って殺菌処理したもので、『成分調整牛乳』には低脂肪・無脂肪がありますが、基本的に生乳100%で外から何も加わっていないものを指します。また、『加工乳』は特別な加工を行っているわけではないのですが、乳製品を加えているもので、成分規格などは厚労省の『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』によって決まっているんですよ」
ちなみに、「乳飲料」はフルーツコーヒーやコーヒー牛乳などのほか、カルシウムやビタミン強化など、「原材料に乳製品以外のものを含んでいるもの」を指すのだそうだ。

ところで、料理によって、これらの向き・不向きがあるのかを聞いてみると……。
「向き・不向きといった差はありません。もともと牛乳は、オレンジジュースと混ぜるとトロリとなるように、たんぱく質のカゼインと酸が合わさると固まる性質があります。シチューなどでも、野菜か出る酸と反応しますが、加熱すると反応が促進され、長く煮込むと分離してしまうんです。これは加工乳でもどれでも同じですので、牛乳は最後に入れるのがちょうど良いんですよ」
豆乳で作るシチューなども、やはり煮込みすぎると分離してしまうもの。

シチューを作った段階では分離していなかったのに、ポットパイを焼く際に加熱しすぎてしまったということなのだろうか。

ところで、市販の牛乳で作るデザートには「必ず種類別が『牛乳』と書いてあるものをお使いください。乳飲料・加工乳などでは固まらない場合があります」と書かれているものもある。
これは実際に、種類別「牛乳」以外で作ったときにうまく固まらなかった経験があるから、注意していたけれど……。

クリーム系やシチューの煮込みに使う牛乳は、種類別「牛乳」でも「成分調整牛乳」でも「加工乳」でも問題なく、あくまで煮込みすぎないことが重要ということでした。
(田幸和歌子)
編集部おすすめ