小学生の頃、友人のお兄ちゃんに読ませてもらった『コロコロコミック』のマンガに、異常に怖い作品があった。

覚えているのは、「まさる」という少年とその友達が出てくること。
崖から落ちそうになった友達を助けようとした「まさる」が、成績優秀な友達に対する嫉妬心から、手を放してしまい、友達を崖から落として殺してしまうこと。その後の展開もとにかく恐ろしく、あまりの興奮に、毎日このマンガについて友人たちと熱く語り合ったものだった。
さらに、それだけでは飽き足らず、神社の急降すべり台を使って、スベリ落ちそうになる役と、手を放す「裏切り者・まさる」の役を交代交代で演じる「まさるごっこ」なる不謹慎かつ悪趣味な遊びも、友人内で一時大流行した。

だが、幼いときに出合った、このトラウマとも言える恐怖マンガのことを、忘れることはなくとも、タイトルも作者もわからない。
その後、「もう一度読みたい」と思い、てんとう虫コミックスで探してみたり、自分が小学校低~中学年くらいに読んだ記憶から、1996年から20年間の名作・ 傑作を厳選収録した『熱血!! コロコロ伝説』のうち1980年前後に掲載された巻をチェックしてみたりしたが、見つけることはできなかった。

ネット上でも調べてみたのだが、覚えているのは、掲載誌『コロコロコミック』とだいたいの掲載時期、「まさる」と「崖」「友達」というワードくらい。
このうろ覚えの情報で調べていくと、実はこれ、「題名・作者がわからない恐怖系作品」の質問としてよく挙がるもののようで、『呪い猫の恐怖』(かたおか徹治/コロコロコミック1982年8月号)という作品らしいことがわかった。

記憶していた「まさる」は、正確には「勝」で、死んでしまった友達の飼い猫が「呪い猫」として復讐するというものだった。
そういえば、私たちの熱中した悪趣味な「まさるごっこ」には、ちゃんと「呪い猫」役もあったっけ……。

さらに驚いたのは、あれだけのインパクトだったのに、連載ではなく、読み切り作品だったということ! 道理で単行本をチェックしても、見つからなかったわけだ。

だが、当時のコロコロコミックにはこうした恐怖系マンガが充実していて、それらを集めた『熱血!!コロコロ伝説 テーマ別アンソロジー第2弾 [驚愕!!トラウマまんが傑作選] (My First BIG Special コロコロ30周年シリーズ) 』なるものが、2008年7月に発売されていたよう。
なんとか古本で入手することができたが、第3弾まで出ているコロコロテーマ別アンソロジーの中で、このトラウマまんが傑作選のみが高額になっていた。


ちなみに、他には『蛙少年ガマのたたり』(よしかわ進)や、今回特別収録となった、怪奇現象も呪いも出てこない絶望的結末のスポーツ異色作『実録!! サッカー戦士』(小林辰禎)も収録されている。

大人になった今読んでも、やっぱり悪い夢を見そうなトラウママンガの数々。小学生の我が子も夢中で読んでいたし、現在のコロコロコミックに収録してもきっとウケるのになあ……などと思います。
(田幸和歌子)
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