本日発足した社団法人 農林水産業みらい基金が、農林水産業に貢献するために「農林水産業みらいプロジェクト」をスタートさせる。同プロジェクトに農林中央金庫が200億円もの大金を拠出し、代表理事には経団連の名誉会長でトヨタ自動車の相談役でもある奥田碩氏が就任することが発表されている。
非常に華々しく見えるこのプロジェクトは、何を目的に設立されたものなのだろうか。

農林水産省の統計などでも、年々減少していることが明らかになっている農業などの就業者数だが、農林水産業みらい基金では「我が国には優良な農地・漁場・山林や、安全・安心かつ高品質の農林水産物を有する」としており、まだまだ伸びしろがあると見ている。この資源を生かし農林水産業の更なる成長を支援するために立ち上がったのが、この農林水産業みらいプロジェクトということだ。事業の目的は大きく分けて3つあり、

・農林水産業の持続的発展を支える担い手への支援
・農林水産業の収益力強化に向けた取組みへの支援
・農林水産業を軸とした地域活性化に向けた取組みへの支援

となっている。一言でまとめてしまえば「農林水産業を盛り上げよう!」ということだが、そんな一言で片付けられるほど、簡単な世界ではない。

農林水産業は、他の業界よりも天候や災害の影響をダイレクトに受ける業界であり、従事している人たちが昨年と同じことをして同額以上のお金を得られるという保証はない。地味な印象に見えるかもしれないが、IT技術を導入して大量生産や品質の向上を図ろうとする動きがあるなど、常に進化を続けている業界でもある。
それらを支えているのは、当然のことながら仕事に従事している農家や漁師、林業従事者の人たちであり、彼らを支えられなければ、優良な農地や森林も、高品質の水産物も全て無駄になってしまう。また、若い世代の人たちが都心などへ出向いてしまい、跡継ぎがいないことに頭を抱えている人もいる。そこで新たに誕生したのが「農林水産業みらいプロジェクト」というわけだ。

同プロジェクトが、新たな担い手育成に取り組むことで、農林水産業を持続させ、また6次産業化や輸出拡大などの取り組み支援により、収益力のある産業となる。そして今以上に魅力的な産業になり、また就業者が集まってくる、という好循環が生まれる。
さらに各地での農林水産業が活発になることで、各地域の活性化にも繋がる、まさに一石三鳥である。

来年度から始まるこのプロジェクト。もしかしたらあなたの地域の農林水産業にも、何かしら変化が起きるかもしれない。
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