
■New Single『くちづけDiamond』インタビュー
昨年、約半年間にわたってイギリスのロンドンにメンバー全員で留学をしていたWEAVER。帰国後、留学中にリリースされたベスト・アルバム『ID』を引っ提げたツアーでもその変化の一端を見せていた彼らが、本格的に音源という形でその変化を見せることになったシングル『くちづけDiamond』。突き抜けたポップサウンドの表題曲を筆頭に、さまざまなチャレンジが見える4曲(初回盤)が収録された。ただ、それらは意識してチャレンジしたのではなく、自然とそういう方向に出来るにようになったのだという。ロンドン留学を経て、より自分たちの思いに素直な表現を実現していっているWEAVERの3人に、今作について1曲1曲じっくりと語ってもらった。
(取材・文/瀧本幸恵)
WEAVERの核となる部分を伝えられる曲
――約1年ぶりのCDリリースとなる『くちづけDiamond』は、昨年、メンバー全員でロンドン留学をして、その帰国後の第1弾リリースともなりました。今回、4曲収録(初回盤)されていますが、これらは帰国後に制作したものですか?
杉本:曲によりさまざまなんですけど、「くちづけDiamond」はロンドンに行く前に、「自分たちがロンドンでどんなことをしたいか」というのをイメージしながら作った曲です。だから原曲は今とは雰囲気が違っていて、もっとUKだったり、北欧のサウンド感がありました。サビも無かったですし。でも、帰国後に今回のアニメのタイアップ(TVアニメ『山田くんと7人の魔女』オープニングテーマ)のお話を頂いて、そこから原作の漫画を読ませて頂いて、物語や画からイメージするものだったり、今、日本でリリースするならどんなサウンドが受け入れられるかとか、そういうことを考えてアレンジをして行きました。イントロのリフ感だったり、疾走感だったりは、もともと印象的な部分としてあったところですけど。
――そうだったんですね。弾む感じのポップな曲調だなと感じたのですが、それはアニメの世界観を意識したことも大きかったんでしょうか?
杉本:そうですね。特にサビのメロディがこれまでの曲と比べて飛び抜けてポップだと思うし、そこがこの曲の方向性を決めたと思います。
――アニメのタイアップが付くということは、今までWEAVERの曲を聴いたことの無い層にも届く可能性がありますよね。その辺りでWEAVERとははこんなサウンドなんだよ、というのを意識したりはありましたか?
杉本:アニメということで、さっき言ったポップさだったり、サウンドのきらびやかさっていう部分は少し気にしましたけど、WEAVERらしさみたいなものはそこまで意識してないですね。でも、ロンドンから帰ってきて、自分たちの芯となる部分は強くなっていて、それをシンプルに出せるようになってきていたので、自然とWEAVERの核となる部分を伝えられる曲になっていったんじゃないかとは思いますね。
――歌詞はこれまでになく、大人っぽいというか。
河邉:そうですね。今までそういう世界を書いてこなかったんですけど、ちょっと大人びたものをそろそろ年齢的にも書いても許されるんじゃないかなと思って。他人には言えない関係性の男女がいて、だから二人は写真を取ったり、指輪を渡したりとか形に残るものは避けているんですけど、そんな中でダイアモンド指輪の代わりに指にくちづけをして…そういう切ない、ずるさもある歌詞になってますね。いつかはこういう…なんて言ったらいいんですかね、叶わぬ恋を書く機会を探っていたんですけど、今回こういうことが書けたのでよかったなと思って(笑)。
――少し話がずれますが、留学から帰って来てから曲作りを始めるに当たって、皆さんで今後の方向性とかについて話し合いをされたりはしたんですか?
杉本:特に話し合うみたいなことはしてないですね。
河邉:留学から帰って来たからこういう音楽をしようとか、そういう決め付けるようなことはしてないです。みんなが期待しているものを作ろうとか、イギリスっぽいものにしようとか、そういう感じではなかった。ただ、経験したものを出せば、それはたぶん自然と変わっていくだろうし…ということですかね。
――帰国されてからそろそろ1年が経ちますが、今、振り返って、あの留学が自分たちに残してくれたものってなんだったと思いますか?
杉本:留学する前から素直に自分たちの音楽を鳴らすことで、それに付いてきてくれる人がいるという考え方はあったんですけど、ロンドンに行って、それがより素直に考えられるようになったというのがあって。向こうのアーティストって商業的なことだったり、リスナーのことってそこまで意識してないんですよね。自分が鳴らしたい音楽を作ろうという考えが根本にある。日本ってそういうアーティストが向こうに比べると少ないと思うんです。特に自分たちはリスナーのことを意識し過ぎて、どこか親切にし過ぎていた部分があったように思って。今はインディーズの頃のようにがむしゃらに、自分たちがカッコいいと思うものを突き詰めたらきっとそれに付いてきてくれる人はいるっていう。そんなふうに、思考回路がシンプルになってます。曲作りもそうですし、ステージの立ち振る舞いなども、今はその考えにつながっていますね。
河邉:向こうでは自分が思うがままにならないこと、不自由なことがたくさんあったので、日本で自分たちがすごく恵まれた環境にいるんだということにより気づくことが出来るようになりましたね。向こうでの日々があったから、今すごく感謝出来ることもあるし。あと、単純に英語も勉強しに行ったわけですから、英語の歌詞も以前より素直に自分の思うことを表せるようになりましたね。
奥野:僕は行く前と行った後を比べると、自由を得たなと思いますね。向こうのミュージシャンって、自分たちが良いと思うことをやるのがミュージシャンで、それをリスペクトするのがオーディエンスという考え方で、ミュージシャン側から「こっちだよ」って手招きをしてあげるスタイルでは無いんですね。それが正解だとは思わないですけど、日本のお客さんに優しいエンターテインメント性の高い音楽を経験していて、そうでないものも自分たちの目で見て感じることができたというのは、すごく自分たちの音楽キャパシティを広げてくれたと思います。「どっちでもいいんだ」という自由な考え方を自然な形で得ることができた。だから、今後自分たちはどういう音楽にしていこうという話をしなかったし、帰ってきてこういう音楽をしなければいけないというような縛られることもなくて、単純に自分たちが今やりたい音楽をやって行こうって中でこういう曲が出てきたんですね。だから、自由を得るための半年間だったんだなって今、すごく思いますね。

「ここで変わらなかったら君たち終わりだよ」
――技術的なこと以上に音楽に対する姿勢や考え方に大きな影響があったんですね。話を楽曲のことに戻しますが、「くちづけDiamond」は原曲はあったけど、完成させたのは帰国後ということでしたが、他の曲はどのタイミングで出来たものだったんですか?
杉本:帰ってきてからは「くちづけDiamond 」「Beloved」で、「Inception」「Time Piece」はロンドンに行っている間に作った曲です。「Inception」はロンドンで最初に作った曲なんですけど、向こうに行ったばかりのころは音楽ができない時間が続いて、不安だったり、焦りが自分の中で強くあって。ロンドンに行ったこと、行かせてもらったイコール、「ここで変わらなかったら君たち終わりだよ」みたいな、そんな感覚に僕は思っていたので(笑)。だからここでどういう音楽を持って帰るのかとか、そういうのにずっと向き合っている中で音楽ができない時間が1ヶ月ぐらいあって、「ホンマにやばい」って気持ちになっていたときに、イントロのリフがパッと出て来て、そこからあっという間に書けた曲ですね。
――当たり前かも知れませんが、そんな焦りは曲からは感じられないですよね(笑)。逆に歌詞が英語だったり、間奏のアレンジの仕方だったり、いろんなことを楽しんでいる感じというか、新しく取り入れたことが活かされている楽曲という印象を持ちました。
奥野:この曲は前のツアー(【WEAVER “ID” TOUR 2014 「Leading Ship」】)でもやったんですけど、その時、僕がベースではなくて、シンセを弾いたんですね。これも向こうで感じたことなんですけど、そういう演奏に関してもUKの音楽って縛られていなくって。この曲が僕たちが今後やっていきたい音楽の中で「こういうやり方もあるんだよ」って示してくれる1曲になったんじゃないかと思います。
――歌詞を英語にしたのは?
河邉:曲を聴いて英語が合うなと思ったし、もともと英語の歌詞にしたいという話もあったので。Aメロとかは日本語だと埋まらないメロディーだし。
――苦労した部分はありましたか?
河邉:まだ日本語で書くほどナチュラルには書けないので、どんなことを書いたらいいんだろうというはすごく考えましたね。日本語だったらこう書くかな?でも英語だとこう言うかな?とか。サビだけは日本語と同じように音からイメージする言葉をそのまま書きたいと思ったので、メロディーを何度も聴いて出てきた英語を使いました。逆にAメロは日本語で意味がこうだったらいいな思ったものを英語で探したりしました。
――内容はどういうことを意識して書いたのですか?
河邉:ファンタジーというか、現実的じゃない世界のことを書いているんですけど、「自分が今見ている世界は本当に信じていいのか」とか。フィロソフィカルみたいなものを書きたくて。だからそういうフレーズを散りばめて世界を構築していくことを意識しました。
――インタビュー2へ
≪動画コメント≫
≪リリース情報≫
New Single
『くちづけDiamond』
2015.05.20リリース
【初回盤】(CD+DVD)
AZZS-34 / ¥1,700(税抜)
【通常盤】(CD)
AZCS-2042 / ¥1,200(税抜)
<CD>
1.くちづけDiamond
2.Beloved
3.Inception
4.Time Piece ※初回盤のみ収録
<DVD> ※初回盤のみ収録
●WEAVER Special Live 2015「Guess What!? We Have A Guest!! WEAVER × ゲスの極み乙女。」at 恵比寿LIQUIDROOM LIVE映像
1.夢じゃないこの世界
2.Shall we dance
3.君と僕のテーマソング
4.2次元銀河
5.Beloved
●「くちづけDiamond」Music Video
≪ツアー情報≫
【WEAVER HALL TOUR 2015】
10月24日(土) [大阪] オリックス劇場
OPEN 16:15 / START 17:00
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
10月31日(土) [福岡] 福岡国際会議場メインホール
OPEN 16:30 / START 17:00
(問)BEA 092-712-4221
11月2日(月) [広島] JMSアステールプラザ 中ホール
OPEN 18:00 / START 18:30
(問)夢番地(広島) 082-249-3571
11月4日(水) [横浜] 関内ホール
OPEN 18:00/ START 18:30
(問)キョードー横浜 045-671-9911
11月6日(金) [高松] アルファあなぶき小ホール
OPEN 18:00 / START 18:30
(問)デューク高松 087-822-2520
11月7日(土) [名古屋] 愛知県芸術劇場 大ホール
OPEN 16:15 / START 17:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
11月13日(金) [札幌] 道新ホール
OPEN 18:00 / START 18:30
(問)マウントアライブ 011-623-5555
11月14日(土) [仙台] 若林区文化センター
OPEN 17:30 / START 18:00
(問)GIP 022-222-9999
11月22日(日) [新潟] りゅーとぴあ・劇場
OPEN 16:30 / START 17:00
(問)キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
11月28日(土) [東京] NHKホール
OPEN 16:00 / START 17:00
(問)ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999
※料金 ¥4,500(税込)
※入場制限 4歳以上チケット必要。3歳以下入場不可。
≪関連リンク≫
WEAVER オフィシャルサイト