■チャットモンチーの求愛ツアー (ハート) 2015
2015.07.01(WED) at Zepp Tokyo
(※画像24点)

求愛する先輩と夢の共鳴を果たした夜

「ヤバい。起きとるのに夢みたいにぼんやりしてる」

橋本がMCでふともらした一言が、この日のライブを最も的確に表しているだろう。
全国7ヶ所をまわったチャットモンチーの対バンツアー【求愛ツアー(ハート)2015】。ファイナルの地であるZepp Tokyoに迎えた先輩アーティストは、橋本が「小学生の頃に聞いてた思い出を引き連れて頑張りたい」と意気込み、福岡は「JIRO さんに褒めていただいた時から、いつか対バンできる日を夢見ていた」と語っていたGLAYである。GLAYは今年5月にもZepp Tokyoのステージに立っているが、デビュー20周年を記念した東京ドームライブの前夜祭として企画されたもの。福岡が「普通、出てくれないじゃないですか。きっとデビュー10周年のお祝いとして出てくれたと思う」と話していた通り、彼らのツアーといえば、通常はアリーナやスタジアムクラスでの開催が普通である。ライブハウスに立つことは稀であり、しかも、チャットモンチーとの対バンとなれば、白昼夢に誘われたと感じても不思議はない。10周年を迎えた今だからこそ実現した、奇跡的な対バンだと言える。

しかも、夢の中身も充実していた。先陣を切ったGLAYは、「口唇」「誘惑」「HOWEVER」と誰もが知っているミリオンヒットナンバーを惜しげもなく連発。ロックバンドとしてのダイナミズムにあふれた、パワフルかつエモーショナルなステージングで観客を熱狂させ、圧倒した。中盤では、チャットの「真夜中遊園地」をよりパンク色を強めてカバーし、ボーカルのTERUはチャットに対し、「同じ時代に同じシーンで頑張って戦ってる戦友として選ばれたことが嬉しい」というメッセージを残した。

後攻のチャットは、男陣と乙女団をミックスした6人編成で挑んだ。
橋本と福岡による<変身しよう~>という歌声はやがて<求愛しよう>に変わり、GLAYファンも含めた観客全員による<共鳴しよう~>の合唱になったところで、ライブはスタート。動きがシンクロした二人のドラマーによってダイナミックなグルーヴが生み出された「変身」からはじまり、「シャングリラ」で会場を沸かせ、男陣のみの4ピースによる「いたちごっこ」と「東京ハチミツオーケストラ」では、東京という街に対する心の距離感の変化を浮き上がらせてみせた。

福岡に「えりこのヤバすぎるスキルを聴け!」と紹介された「ぜんぶカン」ではフリースタイルのラップも披露し、続く「最後の果実」では、ワンピース姿にハットをかぶった謎のアイドル、橋本聖子が登場。乙女団の4ピースになった「ときめき」「隣の女」「Last Love Letter」では、男陣のアグレッシヴで激しく、エネルギッシュなパフォーマンスとは異なる、表情の多彩さや個性の際立ちがあり、聴き手を楽曲の中に惹きこんでいく吸引力の強さを見せつけた。橋本がアコギを抱え、一人で「例えば、」を歌い出したところで、男陣がステージに戻り、最後は再び6人でプレイ。厚みのあるグルーヴにフィットした橋本のボーカル力は凄まじく、常に全力でシャウトする先輩から受けた刺激もあり、近年では最高のパフォーマンスとなっていた。

アンコールでは、ステージにTERUを呼び込み、GLAYの「グロリアス」をカバー。橋本の歌い出しから、サビで共鳴したツインボーカルまで、鳥肌が立ったままで収まらなかった人も多かっただろう。TERUは求愛ツアーTシャツを身につけ、ほかのメンバーは、アンコールが終わるまで、2階席で観覧していた。本来であれば、ただ演奏して帰るだけでも十分であるが、彼らはその立ち振る舞いで、この日の対バンを、共演ではなく共鳴を、心から楽しんでいることを教えてくれた。その姿勢は、チャットにも、観客にも伝わっており、だからこそ、彼らは数多くのバンドに尊敬され、愛されているのだろう。

ここから10年。
チャットも後輩アーティストに敬愛され、求愛されるバンドになれるだろうか。その第一歩として、11月にはデビュー10周年を記念し7年ぶりの日本武道館ライブが待っている。6人で演奏したラストナンバー「ドライブ」には<まっすぐに突き抜けよう/その先になにがあっても/その先になにがなくても/手を繋いでいよう/約束をのせてドライブ>というフレーズがある。約束をのせたドライブはまだはじまったばかり。武道館では<ドラ~イブ>と観客全員で声を合わせ、共鳴したいと思う。
(取材・文/永堀アツオ)

≪セットリスト≫
●GLAY
1. 口唇
2. ROCK'N'ROLL SWINDLE
3. 誘惑
4. SOUL LOVE
5. HOWEVER
6. 真夜中遊園地(チャットモンチー Cover)
7. 百花繚乱
8. 微熱(A)girlサマー
9. 彼女の“Modern…”
10. SHUTTER SPEEDSのテーマ
11. HEROES
●チャットモンチー
1. 変身
2. きみがその気なら
3. シャングリラ
4. こころとあたま
5. いたちごっこ
6. 東京ハチミツオーケストラ
7. 私が証
8. ぜんぶカン
9. 最後の果実
10. ときめき
11. 隣の女
12. Last Love Letter
13. 例えば、
<アンコール>
1. グロリアス (GLAY Cover)
2. ドライブ

≪リリース情報≫
チャットモンチー
Album
『共鳴』
2015.05.13リリース

【初回生産限定盤】(CD+DVD)
KSCL-2610~11 / ¥3,400(税抜)
【通常盤】(CD)
KSCL-2612 / ¥2,900(税抜)

≪ライブ情報≫
【秋のワンマン公演 男女6人6ヶ所巡り】
公演日:2015/10/02(金)
地域:岡山県
会場:CRAZYMAMA KINGDOM
開場:18:00
開演:18:30
問い合わせ先:YUMEBANCHI(岡山) 086-231-3531

公演日:2015/10/03(土)
地域:兵庫県
会場:神戸SLOPE
開場:18:00
開演:18:30
問い合わせ先:キョードーインフォメーション 0570-200-888

公演日:2015/10/06(火)
地域:高知県
会場:高知X-pt.
開場:18:30
開演:19:00
問い合わせ先:デューク高知 088-822-4488

公演日:2015/10/07(水)
地域:徳島県
会場:club GRINDHOUSE
開場:18:30
開演:19:00
問い合わせ先:デューク高松 087-822-2520

公演日:2015/10/23(金)
地域:岩手県
会場:盛岡club change wave
開場:18:00
開演:18:30
問い合わせ先:ニュース・プロモーション 022-266-7555

公演日:2015/10/30(金)
地域:石川県
会場:金沢EIGHT HALL
開場:18:15
開演:19:00
問い合わせ先:キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100

【チャットモンチーのすごい10周年 in 日本武道館!!!!】
公演日:2015/11/11(水)
地域:東京都
会場:日本武道館
開場:17:30
開演:18:30
料金(税込):一般チケット ¥6,700 (税込)

【チャットモンチーの徳島こなそんそんフェス2016~みな、おいでなしてよ!~】
日程:2016/02/27(土)、2/28(日)
場所:アスティとくしま
時間:※後日発表
チケット代:※後日発表
出演者:※後日発表

≪関連リンク≫
チャットモンチー オフィシャルサイト
チャットモンチー レーベルサイト
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