2015.02.01(SUN)at 国立代々木競技場第一体育館
(※画像11点)
ドームツアーを終えて間もないBIGBANGの一員、D-LITE。2014年にはソロツアー【D-LITE DLive 2014 in Japan ~D'slove~】で全国を沸かせた彼が、そのアンコールツアー【Encore!!3D Tour[D-LITE DLive D’slove]】を開催。
2月1日(日)、開演時間の15時を過ぎて客電が消えると、スクリーンには、ホームパーティーで【D-LITE DLive 2014 in Japan ~D'slove~】の映像をバンド・メンバーと共に鑑賞するD-LITE、といったドラマ仕立てのVTRが映し出される。「(アンコールツアーを)やっちゃいましょう!」(D-LITE)という言葉を合図に、まずはバンド・メンバーがステージに登場、次々と音を鳴らし始める。ステージに設置されている階段の上から遂にD-LITEが姿を現すと、中央に設置されたドラムセットに着席、バンド・セッションに加わった。スティックを大きく振り上げ、身体全体でリズムを繰り出すD-LITE。やがてハンドマイクを握って前方に歩み出ると、「SHUT UP」を熱唱。「Encore!! 3D Tourへようこそ!」と挨拶した後、「皆さんの力でまたアンコールツアーができて本当にうれしいです。ありがとうございます!」と感謝を述べた。
腹の底から発せられる深い歌声が響き渡った「Rainy Rainy」、腰を低く落として目を閉じ、複雑な音程を持つ美しいメロディーを完璧に表現した「Dress」、オレンジのライティングや、雪が舞い落ちるように見える映像効果に彩られながら、真っ直ぐな歌を届けた「想い募って」。アルバム『D'slove』からのバラード曲を続けて披露すると、早くも、首筋には汗が光る。そのズバ抜けた歌唱力にはただただ唸るしかない。前日公演を振り返り、「今の日本語ではT.O.P(BIGBANG)と同じレベルじゃない?と反省しました(笑)」と冗談めかして語る。
続く「二人?一人!!」「醒めて、眠れ」では、男女ダンサーを交えて華やかなステージングを展開。バンドジャムを挟んで、腕や背中にゴージャスなフリンジをあしらった衣装に着替えたD-LITEが再登場すると、スモークがステージに漂う幻想的なムードの中、「歌うたいのバラッド」を披露。それは、会場中の耳と心をグッと鷲掴みにするハイライトだった。ピアノイントロに合わせた静かな歌い出しから、全身に宿る想いを残らず振り絞るようにして歌うサビまで、どの断片を切り取っても光るD-LITEらしさ。圧巻のヴォーカルだ。続く「BABY DON'T CRY」は、今回のアンコールツアー用に、「新しい雰囲気を伝えたくて」(D-LITE)新たなアレンジを施したバージョンで歌唱。スモークが雲海のように広がる中、まるで今にも泣き出しそうな感情の高ぶりを感じさせる歌声で圧倒した。ヴォーカリストとしての才で存分に惹き付けた後のMCでは、ひょうきんな一面を発揮。BIGBANGのメンバーを身体に当てはめて表現したのだが(頭:T.O.P、上半身:G-DRAGONとSOL、腰:D-LITE、脚:V.I.)、「腰が痛かったら何ができますか? 何もできな~い」と自身の果たす役割の重大さをユーモラスにアピール。とはいえ、BIGBANGとしての活動では、メンバー5人で作り上げて行く。
この日は、大きなサプライズが用意されていた。「どうにもとまらない」の1コーラスをD-LITEが歌い終えると、ステージ後方から、オリジナル歌手である山本リンダが登場したのだ。白いロングブーツに包んだ美脚でステージを闊歩し、2コーラス目をダイナミックに歌唱。D-LITEと背中合わせになって歌う場面ではひときわ大きな歓声が湧く。3コーラス目ではデュエットも実現、歌詞に合わせてD-LITEが山本リンダを指さすジェスチャーをすると、歓声が会場に轟いた。「D-LITEさんがカッコいいから、“リンダ困っちゃう!”」と一世を風靡したフレーズを山本リンダが繰り出すと、「僕も困っちゃう!」とD-LITEは応酬。湧きに湧いたゴージャスな夢の競演、最後はハグでお互いを讃えていた。
豪華コラボレーションの熱気が冷めやらぬ中、D-LITEは「一緒にステージに立ったら世界観が…急に色が変わります」と山本リンダのパワーに興奮を隠せない様子。「次の曲も一緒に歌いましょう!」と煽り、続いては、ロックなアレンジでD-LITE色を出した「古い日記」を放った。この曲を特徴づけるあの威勢の良い掛け声では、観客も声を揃え、会場全体の一体感が増して行く。間奏ではクルクルと旋回してみせたD-LITEは、軽やかに音楽を楽しみ、歌の世界に溶け込んでいるように見えた。
続く「じょいふる」ではダンサーが勢揃いし、カラフルなLEDライティングも相まって、ステージはどこを見てよいのか迷うほどの華やぎに満ちていた。D-LITEは、声の強弱・表情の変化をあえて大袈裟に表現してコミカルに、パワフルにパフォーマンスする。記念すべき初のソロ曲「WINGS」の日本語バージョンで締め括ったのだが、途中、メンバー紹介のくだりでは、マーチングドラムに合わせてマスコットのYG BEARが登場し、ステージを賑わす場面も。聴かせて、踊らせて、笑わせて。約2時間の本編は瞬く間に幕を閉じた。
本人登場による凝りに凝ったグッズ紹介映像に続き、アンコールは「今夜はブギー・バック」でスタート。ステージ下から勢いよくポップアップで登場したD-LITEはラフなパーカー姿で、ラップ時にはサングラスを装着。手振り身振りもラッパーになりきって新たな表情を見せていた。アリーナ会場ゆえ、客席との距離が遠いことを残念がりながら、それを埋め合わせるように、サングラスを観客にプレゼントする一幕もあった。日本で言うところの演歌的な伝統歌謡・トロットソング「テバギヤ(A Big Hit!)」「ナルバキスン(Look at me,Gwisun)」はいずれも日本語バージョンで歌唱。これにて全曲終了…かと思いきや、本編中のMCで「名前を呼んでくれたらリアンコールをする」と宣言した通り、「どうにもとまらない」を、今度は一人で、激しく身体を動かしながら歌い踊った。観客にYG BEARをプレゼントして言葉を交わす時間を盛り込みながら、更に、客席からのリクエストの声に応え、本編にはなかった「I LOVE YOU」をアカペラで、ワンコーラス披露。咄嗟の対応力はさすが!の一言。それでも止まない「カン・テソン(D-LITEの本名)!」コールを受けて、「わかりました…今日のお客さん、Sですね(笑)」とD-LITEは笑わせた後、「Dress」を熱唱。予定時間を超過して繰り広げられるステージだが、衰えを感じさせるどころか、歌声の放つパワーは転調後ますます強くなっていき、心を鷲掴みにされた。歌い終えると、「皆さん、満足しましたか? …もう声が出ないんです(笑)」と語り掛けながら、これからもずっと歌い続けることを約束し、「また逢える日まで、もっと強い声・もっと強いD-LITEを準備します」と誓った。
D-LITEの類稀なるヴォーカリストとしての才に感服し、その場その場で生まれる観客の想いを即座にキャッチし、笑いを交えながらも必ず温かく応じる機転・優しさに感動する、ハートウォーミングな3時間のステージだった。
(取材・文/大前多恵)
≪セットリスト≫
1. SHUT UP
2. Rainy Rainy
3. Dress
4. 想い募って
5. 二人?一人!!
6. 醒めて、眠れ
7. 歌うたいのバラッド
8. BABY DON'T CRY
9. どうにもとまらない
10. 古い日記
11. 全力少年
12. じょいふる
13. WINGS
<アンコール>
1. 今夜はブギー・バック
2. テバギヤ (A Big Hit!)
3. ナルバキスン (Look at me, Gwisun)
4. どうにもとまらない
5. 今夜はブギー・バック
6. Dress
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