■UVERworld LIVE HOUSE TOUR 2013
2013.08.24(SAT) at Zepp Sapporo

前回の【UVERworld ARENA LIVE 2013】のファイナルが3月14日。その2日後からバンドは本格的に曲作りを開始。
さらに1週間後から合宿にも入った。それから5ヶ月。UVERworldが待望のライヴハウス・ツアーを開始した。初日は彼らの曲作りの合宿の場である札幌。ファンは本当にこの日を待ちわびていた。ストイックな彼らは、この間もおそらく体を休めることをしていないだろう。24枚目のシングル『Fight For Liberty / Wizard CLUB』のリリースとそれに伴うプロモーションなどの活動、そしてさらなる新曲の制作に、ファンクラブ会員限定ライヴ。UVERworldほど音楽に対して真摯で、ファンに対し誠実なバンドを私はほかに知らない。

Zepp Sapporo――。開場を待つ列に突然のスコール。だが開場直前に一転して快晴に。準備は万端だ。
当サイトでの『Fight For Liberty / Wizard CLUB』のインタビュー時にTAKUYA∞(Vo)は「Wizard CLUB」について、「イントロは真太郎だけで叩いていると思いました? 俺以外の全員なんですよ。彰(Gt)がフロアのようなタイコ、信人(Ba)がコンガとティンバレス、克哉(Gt)が大太鼓。最初は真太郎(Dr)が全部叩いていたけど、グルーヴが良過ぎて、逆におもしろくなかったので。メンバーが参加することでいいバラつきが出て、パーカッション感も強調されて」と語っていた。そのパーカッション類もステージに並んでいる。常に自らに新しい課題を課し、ファンにチャレンジすることの大切さを身をもって示す――それがUVERworldのやり方だ。そんな姿を見せ付けられたら、我々も奮起するほかない。




1曲目は8月14日にリリースしたばかりの新曲「Fight For Liberty」。楽器陣がステージにスタンバイし、イントロを奏でると、TAKUYA∞が勢いよく飛び出してきた。そしてジャンプ台を強く蹴り、高く飛躍。ライヴでの見慣れた光景とはいえ、この日のそれは、まるでツアーのキックオフを高らかに宣言するように見えた。

続いては「Don't Think.Feel」。
<好きなようにやれ そして俺に指図をするな>というフレーズから始まるこの曲は、UVERworldというバンドの誇り高き姿勢をうかがわせる。<紛い物たちよ 真似るがいい 追いつかれない場所で おまえらを誘う/新たなる時代に 足跡つけに行く>と歌う4曲目「NO.1」もそうだ。我々は彼らのこれらの宣言に誇らしい気持ちを抱き、UVERworldが紛れもなくカリスマであることを改めて思うのだ。

「おまえら、ファーストペンギン知らねーだろ? 今、俺ハマってるんだよ」と、フレンドリーにTAKUYA∞がファンに話しかける。なんでも、天敵だらけの海に意を決した一羽のペンギンが飛び込むと、ほかのペンギンもそれに倣うようにどんどん飛び込むあの光景、その勇気ある最初のペンギンのことをファーストペンギンと呼ぶのだそうだ。そして、こう続ける。「おまえらもそんな生き方したくねーか!」。

「Wizard CLUB」では、公言していたメンバーのパーカッションがついに披露された。観客は「ヘイ! ヘイ!」とそれに応える。見た目のインパクトはもちろんだが、『Fight For Liberty / Wizard CLUB』で“新しい”ことがすべてをジャッジする際の判断軸になっていたというように、彼らが常に新しいことを模索し、チャレンジするバンドであることを体言してくれたのが何より誇らしい。




「昔の曲もカッコいいんだぜ!」と「神集め」。彼らはその後の今回のツアーで、ほかにも「CHANCE!」「SHAMROCK」「GO-ON」「儚くも永久のカナシ」といった、久しぶりに披露する曲をプレイしている。
また、TAKUYA∞はツアー初日の地に札幌を選んだ理由とツアーに対する意気込みをこう語った。「北海道での合宿で生まれた楽曲達を、まずこの札幌の地で、みんなの前で披露したかった。ライヴハウス・ツアーは、苦しい環境の中で必死に手を伸ばして、自分たちのメッセージを受け取ろうとしてくれる人がこんなにもいてくれて本当に幸せ。音と言葉のメッセージを全力で届けに全国を駆け回ります」。

今回のツアーではカバーも披露。選曲はアンダーワールドの「Born Slippy」。新しいインストゥルメンタル曲「別世界」が用意されていたのにも驚かされた。まったく、UVERworldというバンドはいつもこう唐突だ。でも、だからこそ面白いし、目が離せない。そして言葉は矛盾するかもしれないが、彼らの“本気の”遊び心にはじつに恐れ入るし、ワクワクさせられっぱなしだ。



5ヶ月ぶりのツアーに対する熱量がすさまじい高さで放出された後半戦。「こんなにカッコいいファンがいるんだから、俺たちが一番ハジける瞬間を見せてやりたいんだよ!」「人生賭けて音楽するってどういうことか、見せてやりてぇんだよ!」「カッコいい生き方で勝負しようぜ!」とTAKUYA∞は感情を爆発させた。
そんな言葉とともに放たれた「23ワード」は会場にいた誰をもの胸を狂おしく締め付けたに違いない。

予定調和のアンコールをやらないUVERworldだが、ツアー初日となったこの日は「たくさんのものをもらった札幌に、まだまだ返しきれてない感じがするんで」と、「GOLD」を本編ラストの「7th Trigger」のあとにプレイ。「人生賭けてライヴやってるのに、(楽器陣のみで演奏されるインスト曲で)後ろ下がったらまだピンピンしてるのが悔しいんだよ!」と自らに鞭打つかのように、すべての体力と気力、情熱を最後のこの曲に注ぎ込む熱いパフォーマンスを見せ、初日の幕を閉じた。
(取材・文/田上知枝)

≪セットリスト≫
SE:THE ONE
1. Fight For Liberty
2. Don't Think.Feel
3. 6つの風
4. NO.1
5. Wizard CLUB
6. KINJITO
7. 神集め
8. ace of ace
9. いつか必ず死ぬことを忘れるな
10. THE OVER
11. Born Slippy(アンダーワールドのカバー)
12. 別世界
13. REVERSI
14. BABY BORN & GO
15. 23ワード
16. LIMITLESS
17. バーベル~皇帝の新しい服ver.~
18. CORE PRIDE
19. 7th Trigger
20. GOLD
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