aikoがくれた新たな夏の思い出 3年ぶり野外フリーライブに36000人が集合/ライブレポート
撮影/岡田貴之

■Love Like Aloha vol.5
2015.08.30(SUN) at サザンビーチちがさき
(※画像12点)

「今日のライブのこと、絶対に覚えててほしいなと思います」(aiko)

デビュー17年目のaikoを好きになるきっかけとなった曲は、おそらく、年齢によって違うだろう。30代以上であれば、もはやスタンダードなラブソングとなった「花火」や「カブトムシ」、「ボーイフレンド」だろうし、20代はドラマ『がんばっていきまっしょい』の主題歌「キラキラ」や映画『花より男子F』の主題歌「KissHug」あたりだろうか。


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撮影/岡田貴之

10代であれば、本人出演もあった昨年の秋ドラマ『素敵な選TAXI』の主題歌「あたしの向こう」や最新シングル「夢見る隙間」をテレビの歌番組で歌っている彼女を見て好きになったという人もいるだろう。それらのラブソングはきっと、聴き手それぞれの甘く苦い、切なくて痛い恋の記憶を呼び起こす思い出の曲になっていることだろう。

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撮影/岡田貴之

2015年8月30日(日)。学生にとっては夏休みが終わって新学期を迎える1日前に、aikoは3年ぶりとなるフリーライブ『Love Like Aloha vol.5』(以下LLA)を茅ヶ崎のサザンビーチちがさきで開催した。日中は小雨模様だったが、だんだんと雨脚が弱まり、18時45分にはステージ上のテントが撤去され、客席からは大きな歓声と拍手があがった。

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撮影/岡田貴之

予定時刻より10分押しで勢いよくステージに飛び出したaikoは、台に登って左手を高々と掲げ、「みなさん、こんばんは。aikoでーす」と叫んだ。夢を見る隙間もないくらい“あなた“のことを思ってると歌うスインギンなポップナンバー「夢見る隙間」からバンドサウンドによるハードなロック「Loveletter」を経て、バンジョーが奏でるイントロに大歓声が沸き起こった「ボーイフレンド」では、砂浜上に設置された全長50メートルの花道を猛ダッシュ。

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撮影/岡田貴之

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撮影/岡田貴之

3万6千人の観衆に向けて「今日はしっかり、この会場にいるみなさんに、感謝の気持ちを込めて、お中元をお届けしたいと思います」とあいさつし、「KissHug」を歌う前には、「今日はみんなにいろんな思い出をつくってほしいなと思って、いろんな曲を用意してきました」と、みんなが聴きたい代表曲を惜しげも無く連発したセットリストについて説明した。

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撮影/岡田貴之

「砂浜の大変さをお互いに分かち合いましょう。ここから砂浜に埋まっていく曲をいっぱい歌います。みんな、茅ヶ崎に埋まれる?」という呼びかけではじまったメドレーでは、ライブの定番の盛り上がり曲「beat」やボサノヴァにアレンジされた「恋のスーパーボール」、真っ暗な夏の夜のしじまに響かせた「カブトムシ」、LLA恒例となっているサザンオールスターズのカバー「エロティカ・セブン」などを披露。


aikoがくれた新たな夏の思い出 3年ぶり野外フリーライブに36000人が集合/ライブレポート
撮影/岡田貴之

おなじみの「男子! 女子! そうでない人!」のコール&レスポンスを経て、再び「みんなの心のアルバムに夏の思い出をしっかりと残していただけるように」と語ったあと、後半戦に突入。「be master of life」では、「Oh Yeah!」の大合唱に最初の花火が舞い上がり、観客全員で歌った「鏡」の頃には、また雨が降り始めた。

「ちょっと降ってきてるけど、気にしませんから」と素知らぬ顔をしたaikoは、激しさを増していく雨に濡れながらも、「あたしの向こう」で軽やかなステップをみせ、「いくで。しあわせーー!!」という絶叫とともに、夢を見ながら眠るあなたが隣にいる充足感を描いた「シアワセ」をエモーショナルに歌いあげ、全13曲、約1時間30分のフリーライブを無事に完走した。

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撮影/岡田貴之

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撮影/岡田貴之

終演後には、防波堤から約1500発の花火が打ち上げられた。霧雨のなかで開く花火にはこれまでに見たことのない煌めきがあった。aikoは最後に「来月、再来月、来年と、夏の思い出を振り返ったときに、aikoのライブに行って、途中で雨降ってきて、寒かったけど、aiko、アホなことばっかり言ってたなって覚えててくれたら嬉しいです。今日のライブのこと、絶対に覚えててほしいなと思います」と呼びかけたが、あの日、あの場所にいた3万6千人のお客さんは、この日のことをきっと一生忘れることはないだろう。

aikoはこの日、観衆一人ひとりに新たな夏の思い出をくれた。少々大げさなではあるが、彼女の楽曲とともに思い出を積み重ねていくこと。それが、Live=人生を生きるということなのではないか、と考えながら帰路につき、今もまた、今年の夏の思い出を振り返っては、「あたしの向こう」を口ずさんで心を弾ませたりしている。
(取材・文/永堀アツオ)

aikoがくれた新たな夏の思い出 3年ぶり野外フリーライブに36000人が集合/ライブレポート
撮影/岡田貴之

≪セットリスト≫
1. 夢見る隙間
2. Loveletter
3. ボーイフレンド
4. オレンジな満月
5. キラキラ
6. 夢のダンス
7. KissHug
8. メドレー
beat~彼の落書き~あなたの唄~恋のスーパーボール~カブトムシ~エロティカ・セブン~運命~花火
9. どろぼう
10. be master of life
11. 鏡
12. あたしの向こう
13. シアワセ

≪リリース情報≫
33rd Single
『夢見る隙間』
2015.04.29リリース
PCCA-15018 / ¥1,200(税抜)
※初回限定仕様盤:カラートレイ&初回限定ブックレット
[収録曲]
1. 夢見る隙間」
2. 未来を拾いに」
3. さよなランド」
4. 夢見る隙間(instrumental)

≪関連リンク≫
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