
2013年秋から2014年初めにかけて大英博物館で開催され、大好評を博した展覧会「Shunga: Sex and Pleasure in Japanese Art(春画 日本美術の性とたのしみ)」。その凱旋展ともいえる日本で初めての本格的な春画の展覧会が開催されます。
2015年9月19日~12月23日、永青文庫で開催される「春画展」。

春画とは、枕絵や笑い絵ともいわれ、性交場面などを描いた風俗画のことで、江戸時代に流行した浮世絵に多く見られます。エロチックな表現であるともに、ユーモアや粋が凝らされていて、菱川師宣、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎といった一流の絵師たちが、美人画や役者絵、風景画と同じように、春画のジャンルでも才能をおしみなく発揮したのでした。
さてこの「春画展」、内容がまあやっぱり大人向けというか刺激的なものを含むということで、会場を貸してくれる美術館・博物館がなかなか見つからず、開催までの道のりは難航したそうですが、そこに救世主のように颯爽と登場したのが、細川護熙元総理が理事長をつとめる美術館の永青文庫で、無事に開催に至ったのでした。

前期(9月19日~11月1日)に約60点、後期(11月3日~12月23日)に約60点で、計133点展示されます。
以下、刺激的な絵がありますので、閲覧注意!! (ご了解の上、ご覧ください)


この春画展の日本での開催までの経緯を見てもそうですが、日本の美術はしばしば外国人の目で発見される運命にあるようです。明治時代に来日したアーネスト・フェノロサしかり(廃仏毀釈で仏教美術が破壊されているなか、その貴重さを訴えて保護し、日本の古美術の価値を日本人に気づかせた)、ジャポニズムのムーブメントしかり(19世紀後半から20世紀初頭、ヨーロッパで日本の美術工芸品が大人気となった)。近現代のマンガやアニメーションにしてもそう。海外で高く評価されたりブームになって、それが日本に逆輸入されてはじめて、「おお、そんなにスゴいのか」と価値におっとり気づくのが、日本人の習性なのかもしれません。
さて春画に話を戻すと、上記のように展覧会としては日本初なんですが、春画に関する書籍や雑誌ではすでにいろいろと出版されていますから、予習として、たとえば『別冊太陽 錦絵春画』などを見ておくと、さらに理解が深まることでしょう。

●「春画展」ウェブサイト
(平林享子)