
■QUATTRO A-Side Single『反逆のマーチ / ダークホース / 誰も知らない / Mad Pierrot』インタビュー(1/2)
何色の音も「9mmのロック」になる理由
9mm Parabellum Bulletが“9mmの日”=9月9日にリリースする新作のクアトロA-Sideシングル『反逆のマーチ/ダークホース/誰も知らない/Mad Pierrot』はそのタイトルの通り、9mm史上初の“クアトロA-Sideシングル”。滝 善充作曲の「反逆のマーチ」、中村和彦作曲の「ダークホース」、菅原卓郎作曲の「誰も知らない」、かみじょうちひろ作詞・作曲による「Mad Pierrot」……といった具合に、4人がそれぞれ楽曲制作に取り組むことで、四者四様のキャラクターが炸裂した今作は同時に、あらゆる音楽性を“9mmのロック”として轟かせる“演奏こそ最大のアイデンティティ”な彼らの在り方を明確に表している。10月からは強豪対バンゲストを迎えた(オープニングアクトは「9mm Parabellum Bullet(Acoustic Set)」!)全国ツアー【カオスの百年TOUR 2015)を開催する9mmの“今”を、菅原卓郎に訊いた。
(取材・文/高橋智樹)
普通のシングル出すよりはバカバカしさというか、面白味があるなあと思って
――まずは“クアトロA-Sideシングル”って何ですか?っていう話なんですけど。
菅原卓郎(以下、菅原):まあ、よくわからないですよね(笑)。「シングルを出そうよ」っていう話の前の段階で、「今年の頭から3ヶ月間を作曲期間にしよう」って決めて、4人ともそれぞれ曲を書いてたんですよ。とは言っても、4人でバッとスタジオに入って書く、っていう感じじゃなくて。ほとんど完全な曲だって言えるような状態でもいいし、弾き語りみたいな状態でもいいから、アイデアを全員出すようにしようって。それで曲が出そろった結果、シングルを出すんだったらどれがいいかな?って選ぶ時に――その中から一回は「じゃあこれとこれで2曲入りにしよう」って話もしてたんだけど、スタッフが「こちらで揉んで、もう一回相談します」って言って。それで、その次の打合せで事務所に集まったら、「クアトロA-Sideで」って言われて、「はて?」っていう(笑)。「どれもいい曲だし、4曲A面っていうことにしましょう」ってなったらしくて。俺たちも、まあ普通のシングル出すよりはバカバカしさというか、面白味があるなあと思って。
――4曲とも振り幅は大きいんだけど、最終的に着地するのはロックど真ん中で。その音楽的な“入口”のレンジの広さと、それを受け止める“9mmのロック”のスケールの大きさが表れた一枚ですよね。
菅原:確かに。誰が書いた曲か言われなくてもわかるけど、9mmっていうバンドがやってる音なんだな、っていう。
――見事に四者四様、メンバーそれぞれのキャラクターが出た曲になっていて。最初の「反逆のマーチ」は、名前を伏せても誰の作曲かわかると思いますね。「これ滝くんの曲でしょ?」って。
菅原:わかると思う。どれか一個わかれば、あとは消去法で全部わかる(笑)。
――ラテンのリズムに、特徴的な音色のメインフレーズが絡むイントロという。
菅原:そうですね。いつもの滝印っていうか(笑)。「これ、シンセじゃなくてバンドでやるんだ?」っていう。
――「ダークホース」のソリッドなロック感は和彦くんの曲だなっていうのもすぐわかるし。
菅原:エイトビートで、こういうロックンロールのスタンダードな曲は、もう何曲あったっていいんだ、って和彦は前から言ってたし。今までも「Cold Edge」だったり、「ロックだな」っていう感じの曲は和彦が書いてたりしますからね。よりキャラクターが出てますよね、疾走感っていうか。
――卓郎くん作曲の「誰も知らない」は、サウンドのエッジ感もある一方で、歌のスケール感で聴かせるという側面もあって。9mm的には新しいと思ったんですけど。
菅原:このギターはもう、ライブでやってる編成っていうか。普通レコーディングでは何本かギターのトラックを重ねるんですけど、この曲は滝のギターソロで1本重ねてるぐらいで。シンプルな状態にしたいなと思って。それがやっぱり、歌が聴こえやすいっていうところにつながってると思うし。普段聴いてる音楽もギターを重ねてるものに限らないし、むしろスカスカなほうが好きだなと思って。それは9mmでも全然できるはずだし、やってみようと思って。(エンジニアの)日下(貴世志)さんもそういうのは得意だから、ナイスミックスをしてくれましたね。
――今年始めにソロ弾き語りツアーをやったことのフィードバックは、この曲にはある?
菅原:曲自体には関係ないかな。昨年ぐらいに、思いついた時にiPhoneで録ったりしたものの中から拾い上げていったものだったんで。弾き語りはどっちかっていうと、「ああ、自分はこういう声してたんだ」とか……9mmの曲をいっぱいやってたんですけど、「9mmの曲ってこういう感じだったんだ」って再発見した感じですかね。あと、「普段、俺は嵐のようなところで歌ってたんだなあ」って(笑)。
――こんな嵐の中で歌ってる人、そうそういないですからね。
菅原:弾き語りはすごく自由だな、歌が伸びるなあって。でもこれって、嵐の中に帰っても、ちょっとずつ同じような音域の音が出てるから声が隠れちゃってるだけで、俺は自由なまんまのはずだな、って思って、実際にやったら「ああ、全然いいじゃん」って。ひとりで歌ってるかのような。嵐が嵐じゃなくなったみたいな感じはありましたね。
――それで、最後の「Mad Pierrot」はかみじょうくんの作詞・作曲ですけど。かみじょうくんがいきなり歌詞まで書いてきたんですか?
菅原:かみじょうくんが書いてきて、「こんな感じなんだけど」って見せてくれて。意味が通じづらいところとか気になったところを、みんなで相談したぐらいかな。あとはもう、かみじょうワールドです。かみじょうサーカステント(笑)。最初から、曲だけの段階から「Mad Pierrot」っていうタイトルがついてて、「Mad Pierrotだからマッドピエロな歌詞にするんだ」っていう話で持ってきた歌詞でしたね。
――こういうロックンロールの曲も、9mmは昔から作ってますよね。
菅原:そうですね。でもこの曲はツーバスがすごいですからね。ドンドドンドドンドドンド……って、逆にロックンロールにするのが難しいぐらいにツーバスを入れちゃってると思うんですけど。そこはやっぱりかみじょう節なんですよねえ。トライアルな気持ちなんでしょうね。

出し抜こうっていうか……「あわよくば」状態っていうか(笑)
――4人それぞれのキャラクターだけじゃなくて、それぞれの根っこにあるものが出てきたようなシングルになったし。何より、この4曲がひとつのバンドの音楽として成立してるのが、改めてすごいなぁと。
菅原:そうですね。オアシスみたいなバンドだったら“曲”っていう感じじゃないですか。あの曲はあの人たちが歌えばいい、曲がバンドのアイデンティティっていう。9mmもバンドだから当然そうではあるんだけど、9mmが何をやった時に「ああ、9mmだね」って一番感じるって言ったら、やっぱり演奏だと思うんですよね、音色と演奏というか。そこに、9mmが成立してる理由がかなり大きくあると思うので。だから、どんな曲をやっても「ああ、このバンドがやってるんだなぁ」って思えるし。こうして曲を並べて、要素を書き出していくといろいろあるんだけど、自分たちではあまり気にしてないっていうか。そこがやっぱり、周りからは「いろんな要素をどんどん取り込んでる」ように見えるんだろうけど、俺たちは安心してるっていうか。「俺たちが演奏すれば大丈夫でしょ!」って思ってるんで。
――実際、【カオスの百年 vol.11】でこの4曲を初披露したのを拝見したんですけど、初めて聴くはずのお客さんががっつり盛り上がっていて。その“演奏が最大のアイデンティティ”っていうのは、お客さんにもしっかり共有されてるなあっていうのを感じました。
菅原:前は、“新曲のリリース前”とか“新曲を初めて演奏する”とかいう時に、「でもなあ、リアクション薄いからなあ」って気にしてたし、それに対して逆ギレみたいな気分で「ちくしょう、盛り上がるようにしてやる!」みたいな感じだったんですけど。今はそうじゃなくて、俺たちの演奏を聴いてくれてるっていうことがしっかりわかってるんで、ちゃんと届くように、響くようにやろうっていう。それがライブもいい結果につながるっていう。集中して演奏することで、逆に盛り上がりますよね。
――なるほどね。演奏のスキルはどんどん上がっていくし、お互いのこともより深くわかっていくから、バンドのアイデンティティはどんどん太く強くなっていって。
菅原:で、何を入れても大丈夫になっていくっていう。
――そうそう。それで、最終的には“9mmのロック”になっていくっていう。その“演奏が最大のアイデンティティ”な姿勢って、9mmは昔からずっとそうですよね。誰かがロックスターになりたいわけでもなく。
菅原:うん……いや、みんななりたいんだと思う。言わないだけで(笑)。
――(笑)。でも、メンバーのカリスマ性で音楽よりも前に出ようとは思わないでしょ?
菅原:そうですね。お互いに「負けない!」とは思ってるとは思うけど。出し抜こうっていうか……「あわよくば」状態っていうか(笑)。でも、音楽より自分のほうがでかいとは思ってないんじゃないですかね。
――そして、10月からは強豪ラインナップとの対バンツアー【カオスの百年TOUR 2015】に流れ込んでいくわけですけど。全公演オープニングアクトが9mm Parabellum Bullet(Acoustic Set)という。
菅原:オープニングが俺たちのアコースティックなんで、SPECIAL OTHERSに「SPECIAL OTHERS ACOUSTICでオファーしていいっすか?」って(笑)。でも、「アコースティックでツアーとか、いつかしたいね」ってずっと言ってたんですよ。前に【MTV Unplugged】でやった時もすごく評判よかったし。でも、アコースティックだけでツアーを回るっていうタイミングがなかなかなかったので。「じゃあ、今年はこれを『カオスの百年』にしてしまおう」って。で、やっぱり対バンしたいから、各地に対バンを呼んで、っていう。
――最後に、前作の5thアルバム『Dawning』からもう2年経っているので、みなさんそろそろ次のアルバムを待ち侘びている頃だと思うんですけども?
菅原:はい(笑)。アルバムもこういう感じで、みんなで曲を持ち寄って作りたいなと思っていて。みんなたくさん曲を書いてきたから、それをこれから選ばなきゃな、っていう感じですね。でも、まだツアー中も曲を書くと思うので。このクアトロA-Sideシングルみたいな感じで作曲を続けるモードで、それをアルバムにしたいなあと思ってますね。
――インタビュー2へ
≪動画コメント≫
≪リリース情報≫
QUATTRO A-Side Single
『反逆のマーチ / ダークホース / 誰も知らない / Mad Pierrot』
2015.09.09リリース
【完全生産限定Special Edition】(CD+DVD+GOODS)
UPCH-89239 / ¥4,800(税抜)
【通常盤】(CD+DVD)
UPCH-80409 / ¥1,800(税抜)
[収録曲]
1.反逆のマーチ
2.ダークホース
3.誰も知らない
4.Mad Pierrot
<DVD>
●カオスの百年 vol.11 @ZeppNamba 2015.6.19
1.反逆のマーチ
2.ダークホース
3.誰も知らない
4.Mad Pierrot
≪ライブ情報≫
【9mm Parabellum Bullet presents『カオスの百年TOUR 2015』】
10/08(木) 仙台Rensa
GUEST BAND:MEANING
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/10(土) 北海道Zepp Sapporo
GUEST BAND:UNISON SQUARE GARDEN
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/14(水) 新潟 LOTS
GUEST BAND:androp
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/16(金) 名古屋Zepp Nagoya
GUEST BAND:BLUE ENCOUNT
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/18(日) 福岡Zepp Fukuoka
GUEST BAND:SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/20(火) 広島 CLUB QUATTRO
GUEST BAND:Nothing’s Carved In Stone
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/23(金) 東京Zepp Tokyo
GUEST BAND:TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/24(土) 東京Zepp Tokyo
GUEST BAND:the band apart
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/28(水) 高松 Olive Hall
GUEST BAND:NAMBA69
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
10/30(金) 大阪なんばHatch
GUEST BAND:アルカラ
Opening Act:9mm Parabellum Bullet (Acoustic Set)
チケット:前売¥4,500(税込/Drink代別)※全公演共通
≪関連リンク≫
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