イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
撮影/千太郎

■イ・ホンギ(from FTISLAND)/1st Solo Album『AM302』インタビュー(1/2)

FTISLANDの音楽性とは絶対にカブッちゃダメなんじゃないかな?と思った

FTISLANDのヴォーカリストであるイ・ホンギが、初のソロアルバムをリリース。タイトルは、日本盤が『AM302』、韓国盤は『FM302』。ホンギの誕生日である3月2日にちなんだ数字を取り入れた架空のラジオ局から、多岐にわたるジャンルの音楽を発信する、というコンセプトに基づいて名付けられたという。取材時にはまだアルバムが完成していなかったため、全貌を掴み切れない部分もあったのだが、チャレンジしたかった方向性や制作のプロセス、ソロとバンドとの関係性への想いなど、軸となる考えを探ることはできた。『FTISLAND 5th Anniversary Autumn Tour 2015 “Where's my PUPPY?” 』の日本武道館でのファイナル、という大舞台を終えてほどないタイミングで行われたこのインタビュー。ホンギは、どんな質問にも率直に包み隠さず答え、ざっくばらんに想いを語ってくれた。
(取材・文/大前多恵)

自分には何ができるのか?

――初のソロアルバム、まだ完成前のバージョンではありますが、聴かせていただきました。音楽的にいろんな挑戦をされているな、という印象です。まずは、制作の経緯を教えてください。

ホンギ:正直に言うと、事務所のスタッフから「ソロアルバムを出してみない?」と持ち掛けられたのがきっかけではあるんです。そこから「じゃあ、自分には何ができるのか?」と考えながら、いろんなジャンルに挑戦してみることができたな、と感じていて。いい経験をしたなと思います。

――FTISLANDとして曲をつくったり、歌ったりする時と、ソロとでは……?

ホンギ:(質問にカブせる勢いで)やっぱり、全然違いますよね! 1stアルバムだったから、FTISLANDの音楽性とは絶対にカブッちゃダメなんじゃないかな?と思ったんです。だから、メロディーのラインも楽器の音も、違うものにしよう、と考えて。リアルなサウンドをそもそも使っちゃダメなのかな?と思ったから、リズムは特にそうで、リアル・ドラムは使わないように気を付けてつくったんですね。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
撮影/千太郎

――ギターを練習している、と以前お話されていましたけども、今回はギターなどではなく、基本的に打ち込みでつくられたのですか?

ホンギ:いや、楽器も弾くには弾いたんですけども、一応、メインのサウンドをシンセ・サウンドにした、ということですね。その分リアル・サウンドはちょっとボリュームを小さくしたんです。生の音も入っているけど、記憶に残るメロディーラインは、シンセのサウンドにしました。どんな曲でも、やっぱりリアル・サウンドがないとダメなんですよ。

――では、生音と打ち込みとのバランスをちょっと変えた、という感じですか?

ホンギ:そうですね。

――タイトルは、日本盤が『AM302』で、韓国盤が『FM302』。ホンギさん自身をラジオ局に見立て、様々な音楽をお届けする、というコンセプトだそうですね?

ホンギ:はい。僕、最近ラジオのタトゥーを入れたんですけど、それに込めたのと意味は同じです。ラジオでは、本当にいろんな音楽を聴けるじゃないですか? だから、ラジオみたいにいろんなジャンルの音楽が入っていて、どこでも聴けるような作品になりたい、という想いから、ラジオというコンセプトにしました。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
撮影/千太郎

――日本盤のオリジナルは3曲あって、リードトラック「モノローグ」ば、別れを歌ったロックナンバー。どんな想いを込めてつくった曲なのですか?

ホンギ:これは、曲の雰囲気をメインにしてつくった曲ですね。自分の想い出を100%出したわけではなく、こういう雰囲気の曲だと絶対にこういうストーリーが似合うな、と思って。3月にデモができて、Aメロをまずはつくって、その後で編曲していきましたね。

――日本盤のリード曲にするんだ、と最初から決めてつくり始めたのでしょうか?

ホンギ:いや、違いますね。でも、日本の事務所のスタッフがこの曲を聴いて、「これをリードトラックにしたい」とけっこう早めに決めて言ってくれたので、その心づもりでつくり進めていきました。

「歌が上手い!」ということを見せたい

――日本盤では特にご自身のどういう面をアピールしたいと思っていますか? 

ホンギ:日本盤も韓国盤も、リードトラックは悲しい歌なんですけど、ただ「歌が上手い!」ということを見せたいな、と(笑)。

――(笑)。歌唱力があって、いろんな表現ができるんだ、という?

ホンギ:そうです。リードトラック以外の曲は、シンセポップのジャンルが多いですし。シンセポップを歌うのって、だいたいが女の子なんですよ。それに、韓国とか日本とか、アジアではそんなに流行っていないジャンルだけど、僕は好きだから、それをやって見せたかったし。韓国語や日本語だと、シンセポップの色が無くなっちゃう、と思ったので、歌詞はほとんどが英語ですね。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
撮影/千太郎

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
撮影/千太郎

――「Anywhere」はEDMっぽい感じかな、と思ったのですが?

ホンギ:あれもシンセポップですね。EDMはやっぱり、盛り上がらせる曲じゃないですか? そして、メロディーが少ない。でも、シンセポップは、サウンド的には洗練された雰囲気で、メロディーがある、という感じ。そこがEDMとは違うんですね。いろんな人がシンセを使っているけど、シンセポップというのは、シンセだけで曲をつくってメロディーを入れる、というスタイルなので、やっぱり特別なサウンドになります。サウンドに合わせてメロディーもちょっと軽くしないと、という感じもあるし。そういうことも全部含めて、今回はいろいろとやってみたんですよ。

――ただ盛り上がる音楽ではなくて、ちゃんと歌として伝えたいから、EDMではなくてシンセポップがいい、という意図もありますか?

ホンギ:サウンドと歌、メロディーで勝負したいな、と思ったので。そんなに深い意味はないんですけど(笑)、今回はそれをやってみたかったんです。

――韓国盤にも収録される「LOL」や「虜になります」は、ファンクなテイストで、ジャミロクワイあたりを彷彿とさせる感じもありましたが。

ホンギ:そういう雰囲気もありますけど、完全にあれもシンセポップですね。ジャミロクワイのようなアシッド・ジャズは、僕には難しくて理解できない、到底行けそうもないところです(笑)。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
撮影/千太郎

――(笑)。そもそも、日本盤と韓国盤でリード曲を変えたのは、なぜなんですか?

ホンギ:本当は中国盤もつくりたかったぐらいなんですよ。けっこう僕、最近中国で人気者なんだって(笑)。

――そうなんですね(笑)。

ホンギ:はい(笑)。だから「中国盤もつくろう」と言っていたんですけど、時間の関係で今回は難しくて。僕は、同じアルバムを、いろんな国で歌詞だけ変えたバージョンでリリースするのがちょっと恥ずかしい、という想いがあるんです。昔からFTISLANDでもそういうことはしてなかったですし、それに慣れているんじゃないかな? 一緒だと、皆さん買ってくれないですから(笑)。

――全く同じでは、つまらないですもんね。

ホンギ:そうそう。楽しみがなくなるし、持っている価値がない、と僕には思えちゃう。もちろん、ジャケットとかもちゃんと(日本盤、韓国盤で)違いますよ。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
AM302【初回限定盤】

絶対これ(ソロにおける創作活動)はFTISLANDの曲をつくる時の一部にもなっていく

――FTISLANDのメンバーの皆さんは、ホンギさんの今回のソロ活動に対して、何とおっしゃっていますか?

ホンギ:聴いて、いい曲は「いい」と言っていたし、「あ、これは俺は無理だな」と言っていたジャンルもあるし、いろいろ意見や感想をくれました。スンちゃん(ソン・スンヒョン/Gt, Vo)と(イ・)ジェジン(Ba, Vo)は、僕が曲を書く時に、楽器を弾いてくれたりして、助けてもくれたんですよ。

――そうだったんですね。彼らの意見を聞いて、つくり変えたところもあるんですか?

ホンギ:ありますね。僕は今レーベルをつくっていて、そこに5人ぐらいいる後輩と一緒に曲をつくったりもするんですね。例えば、Aのメロディーとサビのメロディーを含め、全体としては僕がつくったんだけど、Bのメロディーだけが他の人がつくった曲があったとしたら、FTISLANDのメンバーにはそれが分かるみたいで。ジェジンとスンちゃんが、曲を聴いてその場で言ったんですよ、「この真ん中の、Bのメロディー、誰がつくったの?」って。

――そんなに細かく聴き分けられるものなんですね。

ホンギ:ですよね? 「え、なんでそう思うの?」と訊いたら、「いや、ここだけちょっとおかしくない?」って。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
AM302【通常盤】

――それはすごい!

ホンギ:僕、それを聞いてビックリしたんです。「ホントに分かるの!?」って。そうしたらジェジンたちが、「そう。ここだけ韓国っぽいの」と言っていて。「じゃあ、その前と後ろは?」とさらに訊いたら、「ここはけっこうポップな感じがするんだけど、やっぱり真ん中だけちょっと韓国っぽいなぁ。誰がつくったの?」って。「そこは後輩がつくったよ」と僕が答えたら、「変えたほうがいいよ」と言うから、「変える、変える!」って(笑)。そういうの、何曲かあったな。

――面白いですね。

ホンギ:そうなんですよ。そうやっていろんな人に聞かせて、「どう?」って意見を訊きながらつくっていきました。最近は今回みたいなシンセポップが自分の中で流行っていますね。あとはヒップホップ、エレクトロニカとか。そこにはバンドは完全にいないです(笑)。

――FTISLANDのバンドサウンドとは懸け離れた音楽性に挑戦すると、成長するでしょうし、グループにもフィードバックがあるでしょうね。

ホンギ:絶対、影響はありますよね。このソロアルバムは、個人的にももちろんいい経験なんだけど、正直に言うと、僕としては“絶対”ではなかったんですよ。「僕一人で歌うんだったら、何を歌えばいいんですか?」「そんなに他のジャンル、難しいんじゃないですか?」と最初は言っていたぐらいですから。でも、今回は新しいジャンルもやってみたし、それですごく勉強になったし、絶対これはFTの曲をつくる時の一部にもなっていくだろうし。このアルバムの活動をしっかりとやって、僕の名前がもうちょっと有名になるようにしたい。それでFTISLANDがもっと大きくなるようにする、と、メンバーにもファンの皆さんにも僕は約束しましたから。

イ・ホンギ(FTISLAND) 多ジャンルの音楽を発信する1stソロ作品『AM302』/インタビュー
AM302【Primadonna盤】

――カッコいいですね!

ホンギ:そう思うのも、分かりますよ(笑)。

――12月16日(水)・17日(木)にはパシフィコ横浜で、12月24日(木)・25日(金)にはグランキューブ大阪で、ソロライブも開催されます。どんな見せ方をしたいですか?

ホンギ:今、考えているところです。アルバムのコンセプト通り、ラジオのDJとしてステージに出ようかな、とか。僕自身の話としてではなく、ライブを観に来てくれた人たちのストーリーを受け取って、それに合わせて曲を歌う、というようなイメージです。

――FTISLANDのライブとは、また違ったスタイルになりそうですね。

ホンギ:全然違いますね(笑)。まだどうするか、詳しくは決まってはいないんですけども。

――バンドの一員としてではなく、一人でステージに立たないといけない、というのは大変だと思うのですが。

ホンギ:うん、それが心配ですね。一人で引っぱって行けるのか?という感じ。あ~……。

――楽しみにしています。

ホンギ:怖いですよ、僕は(笑)。

――インタビュー2へ

≪動画コメント≫


≪リリース情報≫
1st Solo Album
『AM302』
2015.12.09リリース

【初回限定盤】CD+DVD
WPZL-31135~36 / ¥4,000(税抜)
※豪華フォトブックレット44p / 歌詞カード16p / 三方背 / デジパック仕様
※特典応募用シリアルコード(1)封入

【通常盤】CD
WPCL-12288 / ¥2,500(税抜)
※初回プレス分のみ:特典応募用シリアルコード(2)封入

【Primadonna盤】CD+グッズ
WPCL-12290 / ¥5,000(税抜)
※FNC JAPAN ONLINE STORE限定発売
※ホンギデザインオリジナルCAP付き
※特典応募用シリアルコード(3)封入

[収録曲]
1. モノローグ
2. Anywhere
3. Let's Seize The Day
4. Kings For A Day
5. Be Your Doll
6. LOL(loudness of love)
7.雨が降ります
8. Miss X-Mas
<DVD> ※初回限定盤のみ収録
1. モノローグ〈Music Video〉
2. モノローグ〈Studio Session〉
3. モノローグ〈The Making Of -モノローグ-〉

≪ライブ情報≫
【イ・ホンギ(from FTISLAND)ファーストソロコンサート】
2015年12月16日(水)17日(木)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール
2015年12月24日(木)25日(金)大阪・グランキューブ大阪

FTISLAND オフィシャルサイト
FTISLAND 掲載記事一覧
エキサイトミュージック インタビュー掲載記事一覧
excite music official Twitter
excite music official Facebook
excite music official YouTube channel