flumpool 「夜は眠れるかい?」はこれまでと同じでは終わりと思って制作した/インタビュー

■flumpool/New Single『夜は眠れるかい?』インタビュー全文(2/4)

――インタビュー1より

シリアスなストーリーをflumpoolが歌うことができるのか?

――そして、2016年第一弾シングル『夜は眠れるかい?』がリリースされて。アグレッシブでハードで、かつてなくダークな面を押し出した曲ですよね。


一生:『亜人』の映画・TVシリーズの主題歌として書き下ろすにあたり、制作サイドの方たちとも打ち合わせをさせてもらいました。原作の漫画を読んで、僕は「flumpoolだと思われないような曲をつくらなきゃいけないな」と思ったんですよ。それぐらい振り切らないと、『亜人』にハマらない気がして。基本的にこれまではどこかに光がある曲ばかりでしたけど、今回はすごくシリアスでダークなロックの世界で、ずっと緊張感が続く感じというか。そういう曲は今までなかったし、新しいチャレンジをしようかな?と思って作ってみましたね。

――歌詞もこれまでのflumpoolにはないエッジィさが前面に出ていて、今までだったらきっと使わなかったであろう言葉も出て来ますよね。端的に言えば“クソみたいな”という表現ですとか。

隆太:そうですね、僕、日常でも言ったことなかったので。

一生:えっ? 一日に20回ぐらい言ってるだろ(笑)。

隆太:クソ? 空疎? イントネーションもわからなかったです(笑)。一生がさっき言った通り、これまでのflumpoolという考えでやっちゃうと、たぶん『亜人』ファンの方に「これは違うバンド(のほうがいい)でしょ」と言われてしまうと思ったし、監督とお話ししても「そういう爽やかな大人しい感じではないところを出してくれ」とおっしゃっていて。『亜人』は主人公が不死身なんですよね。
生きられるという意味ではポジティブなんですけど、死ねないというのはすごく苦しいことでもある。それに、痛みはあるから、逃げ場のない苦しみを一生味わわされる。そんな主人公にとっての救いの歌を書いてくれと言われたんですよ。でも最初は、それをどう描いたらいいのかわからなかったんですよね。殺されるかもしれないとか、周りの人間に裏切られて……とか、そういうシリアスなストーリーをflumpoolが歌うことができるのか?無理なんじゃないかな?と。これはどうにかしないとと焦って。これまで自分たちが書いて来なかった言葉を書いたり、書いては来たつもりでも、それをもう一段階深く掘り下げて書いたりしないといけない。これまでと同じノウハウで同じような感じでやったら終わりだな、誰に対しても失礼だなという気持でつくっていたので、ピリピリしていましたね。

――掘り下げたてみたら、こういった生々しい言葉が出て来たわけですね?

隆太:そうですね。これまでは、苦しいことがあっても前を向いて行こうぜというのが基本的な考え方だったんですよね。でも、友情や愛情があるとしても、今回描くのは100人の友達がいてその100人と仲良くすればいいという世界じゃないなと。その中でも、それほど親しい友達じゃないという子もいるだろうしということですよね。
そこに対してflumpoolはこれまであまりメスを入れて来なかったんです。でも今回は「捨てなきゃいけない友情ってあるんじゃないの?」っていう部分に目を向けた。100人が助けを求めていて、じゃあ誰の手を取るの?と言う時、自分の手は2つしかないし、助けられるのは二人かも知れないけど、1つずつの手ではそんなに思い切り引っ張れないじゃないですか? じゃあ一人に対して2つの手で捕まえて行く、あとは見捨てる……その線引きをflumpoolはしてこなかったと思うんですよ。でもこの曲では、希薄な愛情や友情は要らないんじゃないか? クソくらえだ!みたいなことを歌っていて。人に対して表向きに言うことではないと思うんですけど、そういう人に言えない感情って、誰しも1つや2つあるじゃないですか? 今回はそれをちゃんと掘り下げなきゃなと思っていました。まあ、一生の曲が良かったので、上手く言葉も出て来たんですけどね。今回は、(尼川)元気(Ba)も「曲を作る!」と言って、バンド内での『亜人』用の曲コンペに参加してたんですよ。

一生:元気はいろんなところで「俺、4曲作りました」みたいなこと言ってますけど、4曲のうち3曲はAメロだけとか、ぶっちゃけて言うとそのぐらいですからね。サビの一部だけがある曲とか。

隆太:一部(笑)。

一生:そう、一部だけ。僕の作業部屋に来て一緒に作ったり、「イントロができたから」とか言って持って来て、オケだけ作ったり。
実際に曲として完成したのは1曲だけ! ……俺が言いたいのはそういうことです。

隆太:それをあいつは大袈裟に(笑)。盛ってるよな。

一生:たぶん自分の中で美化し過ぎて、「4曲完全に仕上がった」みたいなモードに入ってるから、彼は。

隆太:あははは(笑)

――でも、元気さんは今、曲作りに対してすごく意欲的なんですよね。

一生:そうですね、それはもう素晴らしいことなんですけども。

隆太:アルバムには元気の曲も入ってますからね。

flumpool 「夜は眠れるかい?」はこれまでと同じでは終わりと思って制作した/インタビュー
夜は眠れるかい?【初回盤】

ギターのイントロが一番初めにできたというのは大きいかもしれない

――そちらも楽しみですね。この曲は冒頭の気怠いフレーズから、硬質な刻みまで、ギターの音色が多彩なのも印象的です。ギターのサウンドを前面に押し出したのは意識的に?

一生:そうですね。ベースもそうなんですけど、チューニングも変えてドロップDを試してみたりして、サウンド面の重さは出したくて。それは今までにない感じだと思います。
Aメロのダーッと刻んでいるギターは敢えて機械的にしていますし、何かを愚痴ってるかのような歌の感じを含めて、人間味のないような感じで作っています。あと、この曲は、歌のメロディーよりも、ギターのイントロが一番初めにできたというのは大きいかもしれない。

――イントロが曲の世界観を規定したという?

一生:そうですね。イントロが頭に浮かんで、それをすぐ形にして。そこから作って行った感じですね。最初の打ち合わせの時にサイレンの音がイメージとしてあったので、落ちサビではサイレンの音を使ったりもしています。

――Aメロを歪んだ歌声で表現するアイディアはどなたが?

隆太:それも、一生が。

一生:「今までにない感じで歌って」とは(隆太に)言いましたね。

――サビでは喉を狭くして出すような声が特徴的ですし、今回はいろいろな歌唱方法にチャレンジされていますよね?

隆太:そうですね。“flumpoolじゃない”と思わせるというのがキーワードとしてあったので、いろいろと試行錯誤しました。最初は歌で違う人に聞こえさせるのなんて、「無理だな」と思ったんですけど、今回は“山村隆太を捨てる”というかね。ボーカルとしての新しい一面を求められたけど、最初は自分でもどうなるかわからなかったですね。
最終的に『亜人』っぽいというか、冷酷な主人公が小声で叫んでいるような感じに持って行けたので、それが曲ともすごく合ったし、良かったかなと。

――結果的にこの曲はflumpoolの幅をさらに広げ、進化形を見せる形になったのでは?

隆太:こういうラウド系、ハードな感じはどうなんでしょうね? 受け入れられるのかな? でも結局、僕らはこういうのも好きなんですよ。コンセプトディスク『FOUR ROOMS』で表現したような穏やかな曲調は原点にあるものだと思うし、こういうゴリゴリとしたすごくバンド臭い、カッコいい感じも好きで、そういう自分たちも確かにいるので。これまで仲良くしていた友達に、「俺、実はこういう趣味あんねん」と、自分の秘めた一面を見せるような感覚ですね。そうやって“見せる”ということ自体、一歩先に行く感じはあると思うんです。表向きの自分たちもこういう裏側も、どちらも知ってもらうことで、よりお互いが分かり合えるというか。そんな感覚になれたらいいなと思うんですけどね。

――インタビュー3へ

≪リリース情報≫
New Single
『夜は眠れるかい?』
2016.02.10リリース

【初回盤】(CD+DVD)
AZZS-41 / ¥1,700(税抜)

【通常盤】(CD)
AZCS-2060 / ¥1,200(税抜)
flumpool 「夜は眠れるかい?」はこれまでと同じでは終わりと思って制作した/インタビュー
夜は眠れるかい?【通常盤】


[収録曲]
1. 夜は眠れるかい?
2. 君が笑えば ~Just like happiness~
3. MOMENT
※以下、通常盤のみ収録
4. 夜は眠れるかい?(Instrumental)
5. 君が笑えば ~Just like happiness~(Instrumental)
<DVD> ※初回盤のみ収録
「LIMITED TOUR 2015 R→LOOF PLAN ~大人の屋根裏計画~」
Zepp DiverCity Tokyo公演の模様をスペシャルセレクションで収録

≪ライブ情報≫
【flumpool 7th tour 2016「WHAT ABOUT EGGS?」】
4月2日(土) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
4月3日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
4月10日(日) 福島・郡山市民文化センター 大ホール
4月16日(土) 石川・本多の森ホール
4月17日(日) 新潟・新潟県民会館
4月23日(土) 広島・広島上野学園ホール
4月24日(日) 広島・広島上野学園ホール
4月29日(金・祝) 神奈川・神奈川県民ホール
4月30日(土) 神奈川・神奈川県民ホール
5月5日(木・祝) 大阪・フェスティバルホール
5月6日(金) 大阪・フェスティバルホール
5月15日(日) 静岡・静岡市民文化会館 大ホール
5月21日(土) 北海道・ニトリ文化ホール
5月28日(土) 香川・アルファあなぶきホール 大ホール
5月29日(日) 愛媛・松山市民会館 大ホール
6月5日(日) 宮城・仙台サンプラザホール
6月11日(土) 愛知・名古屋センチュリーホール
6月12日(日) 愛知・名古屋センチュリーホール
6月18日(土) 大阪・グランキューブ大阪メインホール
6月19日(日) 大阪・グランキューブ大阪メインホール
6月25日(土) 東京・東京国際フォーラム ホールA
6月26日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA

flumpool オフィシャルサイト
flumpool 掲載記事一覧
エキサイトミュージック インタビュー掲載記事一覧
excite music official Twitter
excite music official Facebook
excite music official YouTube channel
編集部おすすめ