ASH DA HERO 「HYDEさんに勝てる要素が今の俺には何もないって悔しかった」/インタビュー

■ASH DA HERO/Major 1st Mini Album『THIS IS A HERO』インタビュー(2/4)

――インタビュー1より

スタイリッシュになれるかもしれないけどゴメンだし(笑)

――ASHくんは色々なシーンと関わりがあったわけですけど、ステージで共演して、これは負けた!と思ったミュージシャンは?

ASH:ちょっと生意気かもしれませんが、そこまで、“コイツやべー!”ってなった人はほぼいないです。対バンじゃなくてライブを見にいって、“こんなすごい人がいるのか”って思ったのは、G-FREAK FACTORYのボーカルの茂木(洋晃)さん。
彼を見るまでは、いろんな先輩にお世話になったし、リスペクトしてたけど、心の中では自分のほうがカッコいい、自分を最高だと思っていたのが、茂木さんを見たときに、斜め上からがツンとやられた気がしたんです。当時の僕は、人に舐められたくないから、舐められる前にひれ伏せさせてやる、みたいな気持ちでやっていて、いろんなものに噛み付けばいいと思っていたんです。プライドが高くて負けたくなかったから、やられるヤツにはなりたくねえって思ってたし、格好も、頭ツンツンに立てて、目の周りと唇を真っ黒に塗って、その姿で電車に乗って、周りからへんな目で見られることに快感を覚えたり(笑)。カキ氷屋で大量に緑色のシロップを入手して、クラブで「今日、俺、毒霧吐こうと思ってんすよ」「お前やばいね」みたいな(笑)。それが茂木さんは、Tシャツ一丁、DICKIESのぶかぶかのパンツ、長い髪を無造作に束ねて、言ってることが攻撃的じゃない。「俺たちのファンなんてこのフロアに一人もいないかもしれないけど、みんなに出会えたことを感謝していて、その気持ちを30分のステージにこめてるんだ」って、そんな感じのMCを聞いて、感銘を受けましたね。同世代でこんなヤツがいるんだったら辞めようかなって、自分がバンドマン生活を辞めるきっかけの一つになったのは、SiMのMAHくん。今のメンバーじゃなくて、レゲエっぽいサウンドをやっていた頃で、知り合いを通じてイベントで見て、これは勝てないって思っちゃった。彼らがインディーズで人気になる、まだ全然前の話ですね。

――なるほど。ステージで見るASHくんはすごく自信にあふれてるし、頼もしいなって思うし、何かしら爪跡を残す存在感を放っていると思いますよ。

ASH:ありがとうございます。
本番当日はASHのスイッチを入れてるから、周りには緊張しているそぶりも見せないし、緊張していないんだけど、本当はすごくビクビクしているし、前日なんて、ほとんど眠れないんですよ。どんな大舞台だろうと、平日の小さなライブハウスの短い時間のブッキングイベントだろうと、ステージに懸ける想いや残したいものは一緒なので。

ASH DA HERO 「HYDEさんに勝てる要素が今の俺には何もないって悔しかった」/インタビュー

――大舞台と言えば、昨年はVAMPSとの対バンがありましたね。

ASH:こんなことを言うのもおこがましいけど、完敗だったな、HYDEさんに勝てる要素が今の俺には何もないって、悔しかったですね。

――悔しいとは、頼もしい発言ですね。

ASH:いやいや、自分にはその姿勢でしか立ち向かえないっていうか。その姿勢が唯一の勝算だと思っているので。えらぶってもしょうがないし、カッコつけてもしょうがないし、HYDEさんに寄せてってもしょうがないし。本来の自分のよさでHYDEさんと戦うってなったときに、HYDEさんはほぼすべてのものを兼ね備えているボーカリストなので、勝算があるとすれば、闘志とか気合いとか、そういったものしかない。絶対に負けたくない、みたいな気持ちでしか勝てないと思いました。

――昨年12月にリリースされたメジャーデビューミニアルバム『THIS IS A HERO』は、ASHくんのそういう姿勢の表れた、痛快な1枚だと思いました。

ASH:ありがとうございます。
まだほんの一部ですけど、ASH DA HEROの序章として、攻めのアルバムを作りたかったんです。今は、スタイリッシュで、テクニカルで、プログレッシブで、見た目もふんわりとしたお洒落な感じの音楽が主流で、チャートに入ってきていますよね。僕もそういう音楽は好きだし、世界的に見ても、ファッションは70's、サウンドは80'sのリバイバルで、それを現代っぽくやっているアーティストが支持されています。じゃあ僕が今、この世の中にぽんと放り出されたときに、自分の勝算は何なのかって考えたときに、スタイリッシュではないし、スタイリッシュになれるかもしれないけどゴメンだし、みたいな(笑)。だったらロックンロールで勝負しようって思ったんですよね。一発録りで演奏して、歌も一発勝負で録音して、そこにテクノロジーをあてがって、「生のバンド演奏 VS 生のボーカリストの生歌 VS テクノロジー」っていうこの三つ巴の三国志のような決戦をこのアルバムでバチッとやって、そこに強いメッセージをいっぱい散りばめたっていう。

ASH DA HERO 「HYDEさんに勝てる要素が今の俺には何もないって悔しかった」/インタビュー

――強い意志を感じましたよ。それに、ASHくんに、焚き付けられているような気がしました。<思い描いてるだけじゃ 何も始まらない>と歌うM-2「結局なんにもやれてない」にドキッとさせられる人は多いでしょうね。

ASH:この曲が引っかかる人っていうのは、“何かやっている”人。たぶん、何かを必死こいてやっている人に刺さるんだと思います。本当に何もない人は、こういう言葉はすり抜けていってしまう気がするんですよね。
この曲には、けっきょく何もやれてないなら、これから何だってできるんだぜっていうメッセージが裏側にあるんです。何もやれてないって思っちゃうってことは、何かをやろうと思っているんだろう、やれない日だってあるし、やれないことだってきっとあるだろうけど、やろうとする気持ちを忘れないでくれよっていうのが根底にある。M-3「反抗声明」も、<くそっくらえ>って言ってるけど、くそっくらえって思っちゃう自分の弱さにくそくらえだよねっていうのが一番伝えたいところです。

――ASHくんの反骨精神って、ネガティブじゃないっていうか、すごく愛情に満ちてるなって思っていて。それは、人間だからそういうこともあるよねって、ASHくんが自分の過去も振り返って認めているから、優しく思うののかもしれないですね。

ASH:認めているというか……きどったり、カッコつけるのが性に合わないんですよね(笑)。カッコよくなりたいからカッコつけるんですけど、カッコつかないんですよ。ステージで、カッコよくぐるっと回ろうと思うと、たいがいコケそうになったりとか(笑)。

ASH DA HERO 「HYDEさんに勝てる要素が今の俺には何もないって悔しかった」/インタビュー

――あー、『イナズマロック フェス』で、マイクのコードが足に絡まっちゃったりね(笑)。

ASH:そうそう(笑)。僕、そういうおっちょこちょいなところがあるから、“人間だもの”じゃないですけど、カッコつけてもしょうがないなっていう。だから、何かをやっている人とか、何かを見つけたいなって人の背中は押してあげられるような作品にはなったんじゃないかなと思います。


――なるほど。なんか……救われた気がしました(笑)。

ASH:よかったです(笑)。

――インタビュー3へ

≪ライブ情報≫
【“THIS IS A HERO SHOW” 東京公演】
■公演日:2016年2月19日(金)
■会場:渋谷WWW
■時間:18:30 OPEN / 19:00 START
■共演:Derailers
■チケット:前売り¥3,500 / 当日¥4,000
※当日券発売決定
■問い合わせ:渋谷WWW(TEL.03-5458-7685)

【@FM presents STAND UP!】
2016年3月13日(日)名古屋 ell.FITS ALL

【LOKA New Release Event「THE ORIGINS TOUR 2016」】
2016年3月21日(月)下北沢GARDEN

【CERBERUS PARADE東名阪ツアー】
2016年4月14日(木)大阪・梅田zeela
2016年4月15日(金)名古屋ell.FITS ALL
2016年4月17日(日)下北沢LIVE HOLIC

≪リリース情報≫
Debut Mini Album
『THIS IS A HERO』
2015.12.02リリース
CRCP-40439 / ¥1,667(税抜)
1. HERO IS BACK 2
2. 結局なんにもやれてない
3. 反抗声明
4. WAKE UP ROCK AND ROLL BAND
5. BABY GOOD NIGHT
6. THIS IS LOVE

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