LEGO BIG MORL 「全てがちゃんと噛み合った」/インタビュー1

■LEGO BIG MORL/Album『Re:Union』インタビュー

「全てがちゃんと噛み合った」

lego big morlが3枚目となるオリジナル・アルバム『Re:Union』を12月7日にリリースする。1stアルバム『Quartette Parade』で見せた4人の音だけで構築された圧倒的な衝動感と、2ndアルバム『Mother ship』で作り上げた“歌”を届けるための手法、その両方の長所が今作ではバランス良く引き出されている。
そう言った意味でも“Re:Union”(再結合、再会、融和などの意)であり、プロデューサーにレミオロメンの前田啓介を迎え、寝食を共にしながら過ごした合宿で、それぞれから生まれたアイディアを“Re:Union”させて作り上げていった一枚でもある。11月16日には初のライヴ音源を収録したミニ・アルバム『for Flowers』も発表し、現在、全国ツアー中と精力的な活動をしている彼ら。今作に至るまでの想いから現在の心境まで、カナタタケヒロ(Vo&G.)、タナカヒロキ(G.)、ヤマモトシンタロウ(Ba.)、アサカワヒロ(Dr.)の4人にたっぷりと語ってもらった。
(取材・文/瀧本幸恵)

――1年3ヶ月ぶりとなるオリジナル・アルバム『Re:Union』が完成しました。まずは、今の率直な想いを聞かせてください。

カナタ:早く聴いてもらいたくて、ホンマにわくわくしてます。というのも、今回は熱量がすごく高くて。そういう熱量までも音源に落とし込めたと思っているんです。あと、自分たち的に新しい挑戦をしていて。「雨のタクシー」では新しいジャンルに…いわゆるアーバンなんちゃらですよ(笑)、そういう曲にも挑戦できたし、「Fo(u)r rockstars」のようなこれまでのlegoらしさを出した曲もできた。いろんなことを追求できて、今までのlegoと新しい、ポップを融合した“新lego big morl”になったんじゃないかと思います。

ヒロキ:追求できたっていうのはホンマにそうで。
プラスα、昔やってたような瞬発力で動く、決定するっていうことまで取り戻せた。煮詰める、こねくり回すみたいなことは、ある意味、得意なんですけど、それに昔の瞬発力だけでやっていたときの感じを合宿だったり、レコーディングだったりでできたので、その二つができたことが強いなと。そこが、今回は4人でできたこととして新しいって感じです。

ヤマモト:1曲1曲に対する自信がむっちゃある曲たちが入ってます。4人それぞれが今までできなかったことに挑戦していったので、「こんなこともできるんですよ、lego big morl」みたいな領域まで、今回は行けたと思います。

アサカワ:プロデュースをレミオロメンの前田(啓介)さんにお願いしたんですが、合宿からずっと一緒に居てくれて。前田さんのお陰でいろんなジャッジも早くなりましたし、やっぱり前田さんはベーシストなんで、リズム隊にとってはすごく勉強になりました。合宿もレコーディングの雰囲気も良くって、それがこの『Re:Union』には入っているので、今までと違う感じを聴いてくれる人も感じ取ってもらえるんじゃないかと思います。

――少し話を戻しますが、昨年の9月に2ndアルバム『Mother ship』が発売されて、その後に行われたツアーのSHIBUYA-AX公演(12月)を観させていただいたとき、個人的な感想なんですけど、皆さんのエネルギーがそれぞれいろんな方向に向いてる気がしたんです。でも、その次に観させていただいた今年5月のライヴでは、それが一つの方向に向かっている感じがして。その間に、何かこのアルバムに向けて想いが動き出すようなことがあったのかな?と思ったのですが。

ヤマモト:そのAX終わりぐらいから、アルバムに向けての曲作りは始めていたんですけど、確かに、あんまり4人が噛み合っていなかったというか、それこそバンドの雰囲気がよくないこともあって。
そのまま1月、2月と過ぎて行く中で、「Flowers」(5月1日配信限定リリース)の破片とかはあったんですけど、3月には震災もあったりして、ホンマにどうしようかってなって感じになって。でも、とりあえず音源を出そうってことで動き始めて、「Flowers」を形にしました。その辺りから、バンドの雰囲気も戻ってきて、アルバムに向けてようやく動き出せたかなっていう感じはありましたね。

――「Flowers」は、震災があっての想いを感じる曲だと思いましたが、その前から制作されていたものだったんですね。

ヒロキ:1月の時点で基になるものはできてました。震災があって、僕も一部歌詞を書き変えたところはあったんですけど、元々あったものに状況が重なったというほうが大きいですね。

――では、震災とは関係なく曲作りが始まっていたということで、制作に向かうきっかけみたいなものは何かあったんですか?

ヤマモト:これまで4人だけで話し合うってことをしてなかったんですけど、そのみんながちょっと下を向いてしまっていたときに、4人だけで飲みに行ったりもしました。スタッフさんとも「ホンマにお前らこれからどうしていくねん」みたいな話もして。それで、とにかく曲を出さないと何も進まれへんっていうのを、もちろんわかっていたんですけど改めて確認して。

――具体的にはどんな話をしたんですか?

カナタ:それぞれ何を目指してるかみたいなところは話し合いました。ホンマに簡単な話で言うたら、「今、何がブームなん?」みたいなこととかも。昔は、俺らそういうのが話さなくても統一されてて。
目指す形がこんなアーティストみたいな感じとか。でも、それだけじゃ物足りなくなって、2ndくらいから自分らの土俵を作り出したんですけど、自分らで作り出したがゆえに正解がなく、1曲1曲に対して判断もできないような状況も多々でてきてしまって。そんな中で、「Flowers」を作って。だから、すごく時間もかかったし、大変だった。何ヶ月も「これでええんかな?」って迷ってたし。レコーディングが怖いっていうか、レコーディングして出来上がって、ようやく「ああ、こういう曲か」ってわかったくらいで。ホンマいろいろ曲も作ってたし、それこそデモなんて100曲近く作ってたけど、それだけ作っても物足りないように感じる。そんな中で、前田さんと出会って。

――今回、なぜ前田さんにプロデュースをお願いすることにしたんですか?

カナタ:前田さんにお願いする前に僕ら二人(カナタ、ヒロキ)で、デモ作りのために山梨へ合宿に行ったんです。そこで、これは行けるかなって思う曲が何曲か出来て帰ってきたんですけど、その時にご飯屋さんに行ったら、たまたま前田さんがおって。「デモが作れたから聞いてくださいよ、何なら一緒にやってください」みたいな感じで話してたら、スタッフからも話してくれてたみたいで3日後くらいに前田さんから「ちょっと今から来て」って呼び出されて(笑)。で、行ったら速攻で作業に入ることになって。


――実際に一緒に作業をしてみてどうでしたか?

ヒロキ:面白いことが多いです。辛いことより、楽しいことのほうが全然多い。

ヤマモト:それこそ合宿中は前田さんがムードメーカーになってくれました。楽曲の制作進行があんまりよくないときとか、4人だけだと「もうちょっとやったらできるかも」とかジャッジが難しいときがあるんですけど、前田さんはそういうのをスパスパっとやってくれる。「もう今日はここで終えて、温泉行って、また朝からやろう!」とか(笑)。

――アサカワさんは、先ほどリズム隊として勉強になったともおっしゃってましたが。

アサカワ:今回はドラムが難しい曲があって。僕がそういうことを相談すると、「このバンドの曲を聴いてみて」とか、すごくわかりやすい曲を提示してくれるんです。あと、前田さんは朝が早いんですが、合宿中は僕が朝早く起きたりすると、一緒にドライブしようって誘ってくれて。その間に、ドラムの話だったり、前田さんのベースの話だったりをして。息抜きというか、ホッとする時間も作ってくれて、そこから作業に入ると、「今朝話したああいうリズムからやってみて」とかもできて。一日一日がすごく濃くて、音楽漬けで楽しかったですね。


――音楽だけではなく、気持ちも含めたバンド全体のプロデュースをしてくださったんですね。そうやって山梨の合宿から始まり、前田さんが加わって、千葉での合宿を経て、徐々にこのアルバムの形ができてくるんですね。

ヒロキ:骨組みになる曲が揃っていって、仮の曲順で並べて聴いて、みんなでを統一して。ちょっと足りないのはこんなんやなってなると、また別の曲が生まれたりして。そんな感じで制作は進んで行きましたね。

――今回、全体を通して、歌詞の世界観と曲がすごくリンクしている気がしました。バンドとして表現したい世界観が統一されていたのかなと感じたのですが。

ヒロキ:合宿で曲の破片なりができることが多かったので、そのときにすでに4人と前田さんが揃ってるから、0から1になる段階での共有ができた。環境がそうさせたのかなとも思います。

――特に今回は、リアルにlego big morlが今感じてることが歌詞になってると思いました。

ヒロキ:ホンマにそういうことしか書いてないですね。フィクション的なことも好きですけど、今回は無い。
日常のことやったり、俯瞰で地球を見てるようなことだったり、小さいことから大きいことまで、全部描きました。それが、それぞれ聴く人の日常にもリンクしているようにもなったと思います。合宿中に次々と曲が出来上がっていくなかで、言葉が無いっていう状態がアカンなって思って、なるべく追いつくように歌詞を書いていたんです。瞬発力が必要だった。だから、そうやって出てくる言葉はリアルだし、なるべくしてなったというところもありますね。

――その歌詞を歌うカナタさんはどう感じましたか?

カナタ:何より今回は歌いやすかったですね。何も考えずにその感情になれる。状況が目に浮かぶ。歌入れもテイクを重ねるってことがそんなに無くて、歌い心地がいいからニュアンスもつけやすい。歌いきったと思うことが多かったですね。

――アルバムタイトルの『Re:Union』には、どんな想いがこめられてるんですか?

ヒロキ:「タイトルどうする?」ってなったときに、“Re”っていうのが候補に出ていて、reunionを始め、replay、reborn、reboot、Reだけとかいろいろあったんですけど、reunionって言葉が、調べると意味が一番あったんです。大まかに言うと“一つになる”なんですけど、再結合やったり、再融合やったり、いろんな意味があって、その意味のどれもが今の僕ら4人であったり、日本の状況だったり、環境だったりとリンクしてるなって思えて。一番相応しいと思ってつけました。

――アルバム最後の曲名も「Re:Union」ですよね。この曲は寒さの中に温かさが感じられるというか、クリスマスっぽいもあるなと思いました。

ヒロキ:この曲は、キンタと二人だけで行った山梨での合宿で出来た曲です。まず、キンタがポロポロってギターを弾いてる中でサビが出来て。その場で「なんか仮の歌詞できない?」って言われて、僕もパーっと歌詞を書いて。そのフラットな感じが良くって、歌詞もメロディもそのときのままなんです。その合宿の後、前田さんにも聴いてもらって「いいね、これ」って引っかかってもらえて。それで、みんなで行った合宿の最初に、「この曲が核になるから」って言って手をつけました。その後、他の曲も出来てきて、曲順を考えるってなったときも、どうしてもこの曲が最後だなって思えて。それで、曲タイトルも、この曲ならアルバムタイトルを背負わせてもいいって感じて「Re:Union」にしました。今まで、曲タイトルをアルバムタイトルにしたことは無かったんですけど、そのくらいこの曲には自信がありました。

カナタ:今のこの時代と言うか、すべてを担ってる歌やなと思うし、この歌を届けたいっていう想いが、聴いていて伝わると思います。バラードなんですけど、すごく温かみがあるんですよね。土臭さみたいのもあって。山梨の自然の中で作れたので、それがその温かさとかに繋がってるのかなって思ってます。

アサカワ:最初、シンプルなリズムだったので、どんな感じになるかあまり想像できなかったんですけど、ヒロキが歌詞を書いてきて、それが乗ったものを聴いたとき、すごく歌詞が入ってくるなって思ったんです。それで、アルバムのレコーディングを終えて、全曲通して聴いてみても、最後に「Re:Union」が流れると、歌詞に込められた想いがすごく伝わってきて。やっぱりこの曲はいい曲になったんだって実感しました。作っていくなかで、可能性がどんどん広がっていくのを感じましたね。

≪リリース情報≫
Album
『Re:Union』
2011.12.07リリース

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