メジャーデビューワンマンを祝う、唯一のライブ会場として選んだのは第二の故郷とも言うべき大阪。貴重なワンマンライブということもあって、会場には全国各地から集結したオーディエンスで埋め尽くされた。客電が突如消え、斜幕の奥にうっすらTOCの姿が見えると、会場からは大きな歓声が沸き起こる。そしてライブスタートとともに、デビューシングル「過呼吸」のCDやMVのアートワークでも登場した色とりどりの熱帯魚が斜幕をスクリーンにして大きく映し出される。ゆらゆらと泳ぐ熱帯魚がTOCの周りを優雅に泳ぎ、妖艶な風景が作り出される。恋に溺れる様を描いたリリック、艶のあるメロディーで魅せつつ、大サビ前で斜幕が振り落とされると、開演早々から会場の空気を一気に熱くさせた。
1曲目からしっかりと世界観を作り出したかと思えば、次曲「Bird」からテンション高めの楽曲でオーディエンスを盛り立てる。バックDJである、DJ松永(Creepy Nuts)はアッパーなサウンドを打ち鳴らし、TOCは雄々しい叫びでオーディエンスを煽っていく。
ステージ中盤には2FACE」を披露。TOC自らが選んだ女性オーディエンスをステージに上げ、「君だけのために歌うね…」と見つめあって歌い上げる至極のライブソングだ。
そして続く「Daydream」、DJ松永とのプレイが久々ということもあって選んだ楽曲では、開放感ある楽曲に会場が大きく揺れ、次曲「ミスターキャッチー」ではポップなメロの中に高速のラップを叩き込んだ、HIP HOPの旨みを存分に詰め込んだ楽曲で、フロア全体を巻き込んでいく。
MCでは、ソロでメジャーデビューが決定したとき、「日本一キャッチーなラップ」を掲げることを決意したと告白。TOCといえば、HilcrhymeでのMCの姿をイメージする人が多いだろう。ジャパニーズヒップホップの中でも、特にキャッチーでPOPのど真ん中をいくスタイルを貫く彼らの楽曲は、J-POPシーンの中でもしっかりとした地位を築き上げてきた。その反面、ディープなHIP HOPシーンからはセルアウトしたアーティスト、そんなイメージを持たれていたことも事実だ。そんな中で、ソロでデビューすることを決意した彼。HIP HOPに込める愛、音楽に対する覚悟を証明するため、時間をかけてその存在感を強めてききた。そして、今回のメジャーフィールドへの新たな挑戦。アーティストとして更なる高みを目指す彼の言葉から、力強い決意を感じることができた。
ライブはその後もダイアナ・ロスのカバー曲「I'm Coming Out」、仲間の絆を熱く歌う「X9X」と色彩豊かな楽曲陣で盛り上がっていく。
ライブ後半、「今日は本当に楽しい。最高のメジャーデビューをありがとう」と改めてファンに感謝の言葉を告げる。そして「人生2度目のメジャーデビュー、葛藤も多かったし、いろいろとあった。けど、今はフラットな気持ちでマイクを握れている。(ソロデビューは)覚悟が必要で、すべてを失う可能性もあった。でも、道は間違ってなかった。出会いや別れ、たくさん経験していろんな思いがあってここに立っている。過去を振り返らず、昇華してエンターテインメントにしていきたい」と、ソロデビューに向けて決意を新たに誓う。
そして「Atonement」でその決意を声に替え、全身から振り絞るように歌い上げると、「TSUMETAI-NICHIYOBI」「PEEKABOO」ではミドルナンバーでしっとりと声を聴かせ、“TOC”が持つ魅力を存分に打ち出していく。そしてラスト「HATE」、オーディエンスと一体となって踊れる楽曲でフロアの熱を最大級に高め、ステージが終了。
アンコールでは、うれしいニュースも飛び込んだ。
≪セットリスト≫
1. 過呼吸
2. Bird
3. JIMOTO
4. BirthDay
5. 2FACE
6. Daydream
7. ミスターキャッチャー
8. I’m Coming Out
9. X9X
10. CUT'S IN THE KITCHEN(routine)
11. DISOBEY
12. Ray
13. Atonement
14. TSUMETAI-NICHIYOBI
15. PEEKABOO
16. JENGA
17. HATE
<ENCORE>
1. Shepherd
2. 過呼吸
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