SEと聞くと、どうしても理系とか、男性というイメージが強いかもしれません。しかし、クライアントのニーズと開発者へのリクエストをつなぐパイプ役として、ときに板挟みの中で、女性が力を発揮しやすい調整能力が求められるのを感じています。
また「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」の3つ、「QCD」が富士通に求められる要素です。それぞれをバランスよく保つための感覚も、女性ならではの力を発揮しやすい部分だと思っています。

SEは、とかくパソコンの前に座ってシステム開発するイメージが持たれがちですが、それだけではありません。実際に私が文系的なセンスが活かせたと思うのは、プロジェクトのサブリーダーとしてお客様への報告用文書の作成や実際に報告を行っていた時かと感じています。特に富士通のSEはパソコンに向かって開発するだけではなく、お客様から要望をヒアリングしたり、開発者と課題解決に向けた協議をしたりと、人と関わる仕事が大変多いです。システムがいくら技術的に優れていても、使う人がきちんと理解できなければ、いい製品とはいえない。理系出身でもともとSEとしての素地がある人には、「何がわからないのかわからない」ことがあるかもしれませんが、私にはお客さまの「わからない」部分がわかります。そこは文系出身の強み(笑)
私が担当している官公庁のシステムのエンドユーザーは公務員であり、いうなれば、その先にいる国民のみなさんです。老若男女含めて「富士通はいい製品を作っている」と思っていただくために、文系出身だったり、女性だったり、ともするとネガティブに取られかねない要素が強みに変わります。
■産休取得に好意的な雰囲気

私が入社した時、配属職場の女性の割合は5%程度でした。しかし、一番近い女性の先輩が育休中で、当時から結婚、出産、育児がキャリアの障壁になるような風土はありませんでした。もちろん、数が少ないので、誰もが産休や育休を深く理解しているという感じではありませんでしたが、決して産休や育休が取りにくい雰囲気はありませんでした。
私は、プロジェクトのサブリーダーを任されたあと、その経験を踏まえて、既存システムの保守運用業務を担うようになりました。保守運用は、トラブルがあったときにシステムが止まらないように、また止まってしまったときにはすぐに復旧できるように、事前にトラブルになるようなタネがないかを探し出すなど、緊張感が必要とされる業務でした。26歳から28歳になる頃までの数年は、振り返ってみるとハードな働き方をしていたかもしれません。その後、28歳で結婚をし、29歳で出産をしました。
妊娠したことを報告したとき、産休取得に好意的な雰囲気だったのを今でも昨日のことのように覚えています。そのくせ、私は実のところ、育休後の復職は決めていなかったのです(笑)。何せ、出産は人生初。産後、どのようになるのかが全くわからなかったので、自分の人生マップはニュートラルな白紙でした。実際に出産してみたら、子どもが可愛くて愛おしくて、子どもといる時間の幸せをしみじみと感じたのです。しかし一方で、富士通に入れたのだからココで仕事を辞めたらもったいないという思いも持っていました。そこで、一度は復職してみようと思ったのです。