なぜこの企業は輝いているのか? 事業を伸ばすその裏側にあるものとは? 輝く企業のそのワケをキラリと光る経営者に直撃しました。今回は、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ 取締役の秋田智一さんにお話を伺いました。
■目に見えない「電気」のコストにメスを入れる
アイ・グリッド・ソリューションズは、企業のコスト削減コンサルをしていた組織が前身です。電気は不思議なもので、どの企業でも購入して使用しているにも関わらず、目に見えないという特質からか、コスト意識が低くなりがちです。実際、私たちが提案するまで、多くの企業が電力会社から提示された価格そのままに購入し続けることが当たり前のこととされていました。
コピー用紙は目に見えるから、両面使うとか、紙の質を下げて安いものにするとか、コスト削減にみなさん取り組んでいるのに、それよりも遥かに莫大で、継続して購入する電気に対しては、コスト意識が希薄でした。電気の契約プランは電力が自由化する以前から、交渉できるものであったにも関わらず、そのことを知らない方が多かったのです。電気は見えない。だから減らそうという意識も働きにくい。浪費しているという意識も持ちにくいものでした。
■電気のダイエットには「見える化」が必要
ダイエットして体重を減らそうと思ったとき、多くの人は、体重計で体重を測ったり、カラダの各部位のサイズを測ったりすると思います。そのような数値化と記録がなければ、いくら食事量を減らしても、運動量を増やしても、痩せたかどうかわかりにくいですよね。電気も同じです。その企業にとって、電気はどこに必要で、どこが使いすぎで、どの時間帯にどれぐらい使わなくてはならないのか、また使わなくていいのか。全体でどれぐらいの量を使用していて、使用量が多い時間帯と少ない時間帯は、どこにあるのか? それらのことを把握することが「電気のダイエット」の第一歩です。
弊社のエネルギーマネジメントシステム『見えタロー(R)』は、そのような必要性から誕生しました。また同じく弊社の手がけた『電力予報』サービスは、過去の電力データと、詳細な気象データから24時間先までの電力使用量を予測します。あらかじめ電力使用のピーク時間帯を知ることで、効率的なピークカット対策をすることができるのです。夏場の気温が高くなる時間帯は冷房装置を使用するから、どこの家庭、店舗、会社でも電気の使用量は増えがちです。
記憶に新しいところでは、東日本大震災が起きた年の夏、電力が足りない! という報道のもと、節電の掛け声でクーラーの使用を控えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。震災以降、弊社は、よりスマートな節電対応をとれるようデマンドレスポンスという仕組みを、東京電力と協力してつくりあげました。そのなかでエネルギーマネジメントシステムを効果的に利用しており、震災以前から実施してきた電気に対する取り組みを役立てることができたのです。
■エネルギーはいかに無駄なく環境に負荷をかけないかにシフト
日本のエネルギー政策は、1995年以前は、電力会社が発電・送配電・小売りのすべてを行ない、基本的には、エネルギー需要の最大のピークをまかなえるように、エネルギー供給体制や原材料の調達をどのように行うべきかという視点で取り組んでいました。しかし1995年に発電事業で新規参入ができるようになり、その後、小売でも規制緩和が進み、そして2016年には全面自由化となり家庭や商店でも電気が自由に買えるようになりました。
日本のエネルギーに対する考え方は、東日本大震災の前と後とで、やはり大きく変わっています。それまでのエネルギー政策は、最大の電力消費時に安定して供給が行えるよう備えることが第一義でしたが、震災によって、原発が停止したりするなか供給量が不足することで、節電意識が高まり、現在は、エネルギーの供給状況に応じて消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」が注目されています。デマンドレスポンスとは、需要が高まると予想されるピークに電力価格が高くなるように料金を設定したり、節電した分だけポイントを還元するなどのサービスを提供することによって、ピーク需要の低減やシフトを促進しようというものです。ここでも弊社の見える化や電力需要予測といった知見、またシステムが必要とされています。
■節約で生まれた余剰電力は売り物に!
「デマンドレスポンス」が行われるようになると、節約により余剰となった電力を発電したことと同等にみなす「ネガワット」という考え方が生まれました。そして今、まさに「デマンドレスポンス」によって生まれた電力である「ネガワット」を電力会社が買い取ったり、市場で売買する「ネガワット取引」が行われようとしています。
無意識に使い、まるで収めることが当たり前の税金のように「コスト意識が希薄だった電気」が今や節約するだけでなく、「売り物」にもなる時代になったのです。
弊社は、企業のコスト削減という入り口から電気に向き合い、電気を入り口にエネルギーマネジメントはCO2削減に繋がる環境価値の創出であることに気づき、2008年「環境経営戦略総研」という社名に変更しました。その後、デマンドレスポンスや太陽光発電事業を始めるなど事業領域を拡げてきました。そして、2015年11月にアイ・グリッド・ソリューションズに社名を再び変更しました。グリッドとは電力の送配電網を意味する言葉ですが、当社が支援してきた企業の多くはその地域で住民の生活を支えているスーパーマーケットでした。そのことから、今後はさらに企業やその地域社会の問題を解決し地域でのつながり、すなわちグリッドを強化する提案をしていく企業であることを目指しています。その時代に即したコンサルティングをすること、その時代によってさまざまに影響を受ける経営、特に影響を受けやすい中小企業を支援していきたいという姿勢は、社名が変わってきた変遷はあっても、当社の創業以来の理念であり実は変わっていません。
■いよいよ家庭の電力も自由化! 電気はスーパーで「スマ電」を選ぶ時代に
今、アイ・グリッド・ソリューションズが提供する電気のブランド「スマ電」が多くの人に喜ばれています。これまでの電力を「スマ電」に切り替えるだけで、品質は変わることなく節約できる。そしてそのメリットをより多くの消費者のみなさんに感じていただきたく、弊社では「スマ電」をスーパーでも販売しています。生活に密着したスーパーで食材を選んで買うのと同じ感覚で毎日使う電気を買うのです。電力を切り替えるというと難しく感じるかもしれませんが、どこの会社から買うかが変わるだけで、買う中身は同じ。ご家庭の状況によっては2年間で30,000円以上も節約することが可能です。スーパーにとっても、いままでの物販とは違った新しいサービスの提供が可能となり地域の人に喜んでもらうことができます。提携先のスーパーは全国にその数をどんどん増やしている最中ですが、提携先によっては電気代が安くなるだけでなく、スーパーのポイントが加算されたりスマ電限定の割引が受けられたり、さらにお得な特典が用意されています。
安い電気に早めに変更すればするほどメリットは大きくなります。家計の見直しはまず電気選びから。これからはそれが生活者の当たり前になっていくと思っています。
取材協力:株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ
提供:伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社
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株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ取締役
エネルギー・プラットフォーム事業本部 本部長 秋田智一さん
エネルギー・プラットフォーム事業本部 本部長 秋田智一さん
■目に見えない「電気」のコストにメスを入れる
アイ・グリッド・ソリューションズは、企業のコスト削減コンサルをしていた組織が前身です。電気は不思議なもので、どの企業でも購入して使用しているにも関わらず、目に見えないという特質からか、コスト意識が低くなりがちです。実際、私たちが提案するまで、多くの企業が電力会社から提示された価格そのままに購入し続けることが当たり前のこととされていました。
コピー用紙は目に見えるから、両面使うとか、紙の質を下げて安いものにするとか、コスト削減にみなさん取り組んでいるのに、それよりも遥かに莫大で、継続して購入する電気に対しては、コスト意識が希薄でした。電気の契約プランは電力が自由化する以前から、交渉できるものであったにも関わらず、そのことを知らない方が多かったのです。電気は見えない。だから減らそうという意識も働きにくい。浪費しているという意識も持ちにくいものでした。
■電気のダイエットには「見える化」が必要
ダイエットして体重を減らそうと思ったとき、多くの人は、体重計で体重を測ったり、カラダの各部位のサイズを測ったりすると思います。そのような数値化と記録がなければ、いくら食事量を減らしても、運動量を増やしても、痩せたかどうかわかりにくいですよね。電気も同じです。その企業にとって、電気はどこに必要で、どこが使いすぎで、どの時間帯にどれぐらい使わなくてはならないのか、また使わなくていいのか。全体でどれぐらいの量を使用していて、使用量が多い時間帯と少ない時間帯は、どこにあるのか? それらのことを把握することが「電気のダイエット」の第一歩です。

弊社のエネルギーマネジメントシステム『見えタロー(R)』は、そのような必要性から誕生しました。また同じく弊社の手がけた『電力予報』サービスは、過去の電力データと、詳細な気象データから24時間先までの電力使用量を予測します。あらかじめ電力使用のピーク時間帯を知ることで、効率的なピークカット対策をすることができるのです。夏場の気温が高くなる時間帯は冷房装置を使用するから、どこの家庭、店舗、会社でも電気の使用量は増えがちです。
記憶に新しいところでは、東日本大震災が起きた年の夏、電力が足りない! という報道のもと、節電の掛け声でクーラーの使用を控えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。震災以降、弊社は、よりスマートな節電対応をとれるようデマンドレスポンスという仕組みを、東京電力と協力してつくりあげました。そのなかでエネルギーマネジメントシステムを効果的に利用しており、震災以前から実施してきた電気に対する取り組みを役立てることができたのです。
■エネルギーはいかに無駄なく環境に負荷をかけないかにシフト
日本のエネルギー政策は、1995年以前は、電力会社が発電・送配電・小売りのすべてを行ない、基本的には、エネルギー需要の最大のピークをまかなえるように、エネルギー供給体制や原材料の調達をどのように行うべきかという視点で取り組んでいました。しかし1995年に発電事業で新規参入ができるようになり、その後、小売でも規制緩和が進み、そして2016年には全面自由化となり家庭や商店でも電気が自由に買えるようになりました。
日本のエネルギーに対する考え方は、東日本大震災の前と後とで、やはり大きく変わっています。それまでのエネルギー政策は、最大の電力消費時に安定して供給が行えるよう備えることが第一義でしたが、震災によって、原発が停止したりするなか供給量が不足することで、節電意識が高まり、現在は、エネルギーの供給状況に応じて消費パターンを変化させる「デマンドレスポンス」が注目されています。デマンドレスポンスとは、需要が高まると予想されるピークに電力価格が高くなるように料金を設定したり、節電した分だけポイントを還元するなどのサービスを提供することによって、ピーク需要の低減やシフトを促進しようというものです。ここでも弊社の見える化や電力需要予測といった知見、またシステムが必要とされています。
■節約で生まれた余剰電力は売り物に!

「デマンドレスポンス」が行われるようになると、節約により余剰となった電力を発電したことと同等にみなす「ネガワット」という考え方が生まれました。そして今、まさに「デマンドレスポンス」によって生まれた電力である「ネガワット」を電力会社が買い取ったり、市場で売買する「ネガワット取引」が行われようとしています。
無意識に使い、まるで収めることが当たり前の税金のように「コスト意識が希薄だった電気」が今や節約するだけでなく、「売り物」にもなる時代になったのです。
弊社は、企業のコスト削減という入り口から電気に向き合い、電気を入り口にエネルギーマネジメントはCO2削減に繋がる環境価値の創出であることに気づき、2008年「環境経営戦略総研」という社名に変更しました。その後、デマンドレスポンスや太陽光発電事業を始めるなど事業領域を拡げてきました。そして、2015年11月にアイ・グリッド・ソリューションズに社名を再び変更しました。グリッドとは電力の送配電網を意味する言葉ですが、当社が支援してきた企業の多くはその地域で住民の生活を支えているスーパーマーケットでした。そのことから、今後はさらに企業やその地域社会の問題を解決し地域でのつながり、すなわちグリッドを強化する提案をしていく企業であることを目指しています。その時代に即したコンサルティングをすること、その時代によってさまざまに影響を受ける経営、特に影響を受けやすい中小企業を支援していきたいという姿勢は、社名が変わってきた変遷はあっても、当社の創業以来の理念であり実は変わっていません。
■いよいよ家庭の電力も自由化! 電気はスーパーで「スマ電」を選ぶ時代に
今、アイ・グリッド・ソリューションズが提供する電気のブランド「スマ電」が多くの人に喜ばれています。これまでの電力を「スマ電」に切り替えるだけで、品質は変わることなく節約できる。そしてそのメリットをより多くの消費者のみなさんに感じていただきたく、弊社では「スマ電」をスーパーでも販売しています。生活に密着したスーパーで食材を選んで買うのと同じ感覚で毎日使う電気を買うのです。電力を切り替えるというと難しく感じるかもしれませんが、どこの会社から買うかが変わるだけで、買う中身は同じ。ご家庭の状況によっては2年間で30,000円以上も節約することが可能です。スーパーにとっても、いままでの物販とは違った新しいサービスの提供が可能となり地域の人に喜んでもらうことができます。提携先のスーパーは全国にその数をどんどん増やしている最中ですが、提携先によっては電気代が安くなるだけでなく、スーパーのポイントが加算されたりスマ電限定の割引が受けられたり、さらにお得な特典が用意されています。
安い電気に早めに変更すればするほどメリットは大きくなります。家計の見直しはまず電気選びから。これからはそれが生活者の当たり前になっていくと思っています。
取材協力:株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ
提供:伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社
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