
■柳原陽一郎/『オルケスタ・リブレ plays 三文オペラ』インタビュー(3/4)
――インタビュー2より
『三文オペラ』は教えてくれるよね。人は強靭でなければいけない、明るくなければいけないって
──2018年は3年ぶりの『三文オペラ』で始まると。
柳原:そうですね。その前にライブがいくつかありますけど、やっぱり『三文オペラ』は大仕事な感じなので。そのあとは新しいアルバムの制作に入る予定です。それはそれで大仕事なんですけど。
──新作はどんな感じのものになりそうですか。
柳原:ここ数年、日本の古い歌に興味があって。そういう歌ばっかり作っているので、なんだろう……、そんな感じのアルバムになりそうですね。といっても、そもそも今のテイストでやったことはないんですけど、昔っから(笑)。
──昔の日本の歌に興味を持ったのには、何か理由でも?
柳原:……こっ恥かしくなっちゃったんですよね、日本で流布されてるようなポップスとかが。なんか目先を変えるとかじゃなくて、もともと何だったんだろうっていうことが気になりだして。もともと歌謡曲ってなんだったんだろう、もともと流行歌ってなんだったんだろうってことを、考えるようになったんですね。

──ここ最近、よりそう思うようになった?
柳原:そうそう。
──そういう人もいてほしいですよね。
柳原:でしょ? あとウイットやペーソスの効いたポップソングもあっていいでしょ。国や世界に対しての皮肉を込めたような曲を歌う、例えばボブ・ディランやエルビス・コステロやレイ・デイビスみたいな人が、なんで日本にいないんだろって思ったり。でも日本にそういう歴史がないんじゃなくて、昔はお上に楯突くような歌がいっぱいあったんですよ。そんなことを言ってしまうと、「そういう歌を歌ったら、反体制の歌手に見られない?」「楽曲の幅がなくならない?」「人はそんなことより、好きだとかお星様の歌とか、そういうのを聴きたいんだよ」っていう人もいてね。そういう考え方もあるんでしょうけど、僕は歌いたい歌を歌うのが商売なんで。
──自分のスタイルではない。
柳原:そうね、僕のような人間は自分にとって一番リアリティのあることを歌うしかないわけで。

──だからでしょうか、最近の歌に対して「弱者やダメな人に対しての目線が優しいですね」というコメントが多いそうですが。
柳原:意識はしてないですね……。ただ人から、国から、会社から、世間から抑圧されていたりする人に対して共感はしますよね。……そう、裏目に出てる人とかね。裏目に出てて、もう少しでそのことに気がつきそうなのに気づけなくて、それでいい結果が出せない人とか。僕もそうだけど、今これを読んで「じゃ、私は大丈夫」と思ってる人、案外「あなたもそうですよ」っていうことは言っておきたい(笑)。
──正しい意味で、嘘のないリアルな歌なのかもしれないですね。
柳原:なんかね、歌い散らかすやり方もあるし、今だって歌い散らかしてはいるんだけど。無責任は嫌だと思うようになったのかもしれない。
──その目線は『三文オペラ』にも通じるような気がします。
柳原:『三文オペラ』に出てくる人間達は弱者ではないけどね。メッキー・メッサーにしたって乞食達にしたって、したたかで強靱な連中だから。でも、そこが魅力的なんだと思う。こんなこと言うと怒られちゃうかもしれないけど、もしかしたら悩んでるような人は弱者じゃないのかもしれないね。本当に困ってる人は笑って立ち上がるんだよ、そんな気がする。そういうことを『三文オペラ』は教えてくれるよね。人は強靭でなければいけない、明るくなければいけないって。そこも含めて『三文オペラ』はすごく魅力があるというか。
――マイ旬へ
≪公演情報≫
『オルケスタ・リブレ plays 三文オペラ』
2018年2月1日(木)2日(金)牛込箪笥区民ホール
18:15開場 / 19:00開演
出演:オルケスタ・リブレ、柳原陽一郎(歌)、神田京子(講談)、松角洋平(芝居)
チケット:
前売り¥4,000、当日¥4,500(共に税込・全席自由)
e+ http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002245790P0050001P006001P0030001
Confetti(カンフェティ)
https://s.confetti-web.com/detail.php?tid=42940
問い合わせ:studiohanai@gmail.com(hanai studio)
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