人事担当者のよくある悩みとして、面接だけで自社の社風に合うか、将来自社で活躍してくれるかを客観的に判断するのは非常に難しいという問題がある。また、応募者にとっても、面接の数十分だけで将来が決まってしまうのはなかなか厳しいものだ。
そんな両者の課題を解決する新卒採用ツールが、ミライセルフの「mitsucari適性検査(ミツカリ)」。2016年2月にリリースされて以来、すでに950社以上の企業が利用しているという。このミツカリの仕組みやマッチ度合いについて、ミライセルフの代表取締役 表孝憲氏に聞いた。
社会心理学に基づく適性検査で応募者とのマッチング度合いを診断
ミツカリの仕組みはこうだ。
まず、採用活動を行いたい企業が、特に自社に貢献している社員や採用を行なっている部門の社員、役員などの経営者層に「適性検査」を実施する。これは社会心理学に基づいて作られた72問の問題に答えていくものだ。回答の結果について、価値観・キャリアの志向性などを人工知能(AI)が細かく分析する。
そしてエントリーしてきた応募者にも同じ適性検査を受けてもらい、同じように結果を分析。社員の診断結果と比較して、将来の新たな会社の貢献者となってくれる社員や会社に合わない可能性のある社員を面接で見抜けるようにマッチング度合いを算出する。
社員個人や会社全体との比較だけでなく、開発部門や営業部門などの部門ごと、経営者層などの任意の組織との比較も可能である。応募者が希望する部門に合っているか、複数のチームがある場合にはどのチームとマッチング度合いが高いかなどが分かる。
すべて5択、感覚的に答えられる問題
この社会心理学に基づく適性検査では、どのような問題が出されるのだろうか。表氏は次のように話す。
「72問すべて5択の問題で、約10分間で答えられます。
内容は、楽観的だor心配性だ、競争のある環境で働きたい or 競争のない環境で働きたい、といった感覚的に答えられる問題になっています。パソコンだけでなくスマホでも回答できるので、通勤中などでも気軽に受けられます」
企業からのフィードバックを元に機械学習でマッチ度合いを改善
問題に答えた後は、AIが分析をするというが、どのような仕組みになっているのだろうか。
「応募者の方と企業側の方とで同様の適性検査を受けていただいた後、応募者の方が社風になじみやすいか、人間関係が良好になりやすいかを判定します。この判定の部分にAIを用いています。企業全体はもちろん、部署や個人などとのマッチ度合いも即座に判定可能です。
その際に、企業内での『合う』『合わない』という社内での感覚と、mitsucari適性検査のマッチ度合いはどうであるかというフィードバックを企業側からいただき、その情報を蓄積しています。そして機械学習を行うことによってマッチ度合いを改善していく仕組みになっています」
採用された人物の実際のマッチ度合いは?
ところで、自社の優秀な社員と同じような診断結果の出た応募者は、実際に会ってみても優秀な社員と似たような人物なのだろうか。
「人事担当者の方からは『近い』や『確かに分かる』という声をいただきます。また『社員のAさんを外交的にしたタイプ』などの類似した社員を提示する機能もあり、好評です」
表氏は、特にマッチ度合いが高かった事例を次のように話す。
「ある会社さんでは、面接では緊張して寡黙だった応募者でしたが、外向的な面接官とマッチ度合いが高かったため採用したところ、実際の営業では非常に外交的で、大いに活躍しているというケースがありました。
また店舗ごとのマッチ度合いを意識して、採用および配属を行った結果、離職率が20%程度も低下したというケースもあります。
マッチ度合いは『コミュニケーションのしやすさ』を表すもので、低かったらダメという数値ではありません。しかしながらマッチ度合いが高ければ、ストレスなく働くことができるためパフォーマンスを発揮しやすく、離職率低下だけでなく業績向上にもつながると考えられます」
取材協力
mitsucari適性検査
mitsucari適性検査は適性検査で社風や価値観を分析して人工知能で企業と応募者のカルチャーフィットを判定する採用支援サービス。
16年2月にサービスを開始し17年には経済産業省等主催「HR-Solution Contest」のファイナリスト選出。2017年末には登録企業950社を越えてきている。
(石原亜香利)
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