手術中にミスを犯した医師に、手術を代わるのと引き換えに高額な金を要求する医師。患者の命は助けるが、デキの悪い医師には手を貸さないダークヒーロー。

日曜劇場「ブラックペアン」第1話
日曜劇場「ブラックペアン」が4月22日からスタートした(TBS系夜9時〜)。第1話の平均視聴率は13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だが、新潟地区では24.0%を記録したようで、地域差はあるものの好調な滑り出しだ。
主人公・渡海征司郎をつとめるのは二宮和也。口癖は「じゃま」。オープニング映像でも公式HPにもニノの笑顔がなく、何かを秘めた表情が気になる。
第1話では、ライバルの帝華大学病院の西崎啓介(市川猿之助)と高階権太(小泉孝太郎)が東城大学を視察に訪れた。どこから情報が漏れたのか、神の手を持つ佐伯清剛教授(内野聖陽)の手術日だった。
世界でたった一人しかできない手術「佐伯式」をモニタリングした。
画面に黒い鉗子が映ると「あれが佐伯教授のブラックペアン……。」西崎の言葉に無言で頷いた高階(小泉孝太郎)。敵も一目置く「ブラックペアン」。ドラマのタイトルにも使われている術具は、佐伯の手術の終わりに使われるもので、事実上手術の成功を意味する。
別室で手術のモニタリングしていた関係者たちも、ブラックペアンの登場には思わず起立して拍手をおくった。
なんだそれ。言われた患者側は混乱しないのか……。
手術中に、佐伯の受け持つ他の患者の容体が急変、そっちの対処に急行する佐伯に替わり、横川正医師(岡田浩暉)が執刀することになる。モニターで佐伯に指示を仰ぎながら、言われたまま手を動かす。ありえないくらいに血液が噴出した。
原因はモニターの角度。死角ができていたのだ。
横山らがあたふたする間、淡々と準備をすすめていたのが主任看護師の猫田麻里(趣里)。クーリー鈎を雑に広げて「けっ!」と言葉にならない捨てゼリフを吐いた。デキの悪い医師を軽蔑するような態度は、器械だしの経験がある主任ナースならではだろう。時間の無駄、と言わんばかりに、別の看護師に器具の準備を頼んで、その隙に電話をしに抜けていた。
「一千万でもみ消してやる」とんでもない額を請求する渡海
混乱する現場で、助手が「あっあの人、呼びますか?」。この一言で静まり返ったオペ室。「あいつはダメだ……」怯えた横川。「でも、助けられるのはあの人しかいません!」、「あんな男に関わったらどうなるかわかってるだろ…」。
手術室の扉が開いて登場したのが渡海征司郎(二宮和也)。顔面の大半をおおうマスクをつけ、両手をあげていた。
放送開始から約12分、ここでようやく二宮が登場した。第一声は「じゃま」だった。
目もとしか露出していないのに、横山医師への呆れ具合がびしびし伝わってくる。
「問題はその指示を鵜呑みにして器具を見ずにオペを続けた執刀医にある。
ダークヒーロー登場だ。
醒めた目で、時折強弱をつけた言葉で責めた。視線をそらさず近づき、肌が触れる寸前まで接近していいる。声を荒げて罵倒するでもなく、睨みつけるでもない。じっと目を見つめて、冷静に見下す言葉と重ねる渡海。
目ん玉が飛び出そうなくらい目を開いて怯える横川。さらに畳み掛ける渡海。「辞表書けよ、お前の退職金一千万でもみ消してやる」。
金銭感覚が狂ってるにもほどがある。
一方、視察に来ていた高階はのちに東城大に講師として送り込まれてきた。アメリカの最新医療器具・スナイプの導入をすすめていた。これがあれば佐伯式が他の医師でも安全にできると謳っていたが、手術は成功したとは言えなかった。
患者をめぐって高階と渡海が対立したが、患者と心のつながりを覚えた研修医の世良雅志(竹内涼真)が、患者を助けたい一心で、「いくら払えば助けてくれるんですか!」と渡海に懇願した。無事に助けた渡海が一言、「1億な、払い終えるまでお前は俺のために一生ここで働け」。
渡海はどうしてそこまで高額なお金を要求するのか。
さて、一千万の約束をした横山医師は市民病院へ異動。岡田浩暉の出演はもうないのだろうか。物語では医師がどんどん辞めていくとあったが、この調子では医師役を演じる俳優が足りなくなりそう。
第2話のあらすじによれば、あのスナイプが再び登場するようで、高階のスナイプか、佐伯・渡海の腕か、争いは続きそう。
渡海と佐伯の関係性もまだ明らかにならず、どうやらいまのところ渡海の味方は猫田だけのようだ。
日曜劇場「ブラックペアン」第2話は今夜9時放送。
(柚月裕実)
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