
「マスター・モデル・ビルダーコンテスト」が東京・お台場の「レゴランド(R)・ディスカバリー・センター東京」で、7月8日に開催された。国内での開催は3年ぶり(東京での開催は6年ぶり)となる。
「マスター・モデル・ビルダー」とは世界18カ所にある、ブロック玩具「LEGO(R)」の屋内型テーマパーク「レゴランド(R)・ディスカバリー・センター」に在籍するレゴ(R)職人をいう。それぞれの施設にマスター・モデル・ビルダーは1人(国内は、東京と大阪の2名)。ファンにとって憧れの職業だ。
コンテストの開催は、今年4月に東京の初代マスター・モデル・ビルダーである大澤よしひろさんが卒業したため。コンテスト会場ではレゴランド(R)・ディスカバリー・センター東京の2代目マスター・モデル・ビルダーの座をかけ、出場者たちがアツい闘いを繰り広げた。
マスター・モデル・ビルダーという特殊な職業に必要な資質とは、どのようなものなのか。大澤さんと新チャンピオンに話を聞き、合わせてコンテストの様子をレポートしたい。
大澤よしひろさんに聞く、マスター・モデル・ビルダーに必要なことは?

審査中の大澤さん
マスター・モデル・ビルダーの主な仕事とは、施設内にある3歳〜10歳の子供を対象にしたレゴ(R)教室「クリエイティブワークショップ」でつくる作品を考え、教室では実際に子供たちに教える。さらに施設内の装飾や、季節のイベントに応じた大がかりな作品などを手掛けている。
今回のコンテストで優勝するとマスター・モデル・ビルダーとして認められ、レゴランド(R)・ディスカバリー・センター東京の運営元企業の社員として就職する。2012年のコンテストに参加した大澤さんは、今回は選考する側だ。会場は慌ただしくコンテストの準備が進む中、大澤さんにマスター・モデル・ビルダーに必要なことを伺った。
まずマスター・モデル・ビルダーに向いているのは、造形する能力が高いだけでなく、「レゴ(R)の楽しさを誰かに伝えたいと思う人」だという。レゴ(R)教室では子供とやりとりする力が必要となる。
レゴ(R)教室で印象に残っていることを聞くと「僕が入った頃から来ていて、僕が辞めるまで来ていた子がいました。初めて会った時には5歳か6歳。今は中学生です」と大澤さん。この後のコンテストでも、会場で子供たちにサインをねだられていた。レゴ(R)が好きな子供たちの憧れの存在であったことが分かる。
さらに、訪れる子供や大人たちに驚きや感動を与える造形を手掛けるためには、常に新しい作品に挑戦したいというモチベーションも必須だろう。大澤さんは「作品を完成させるたびに、次に挑戦したくなるものが見つかる」という。
コンテストで競われる内容は

コンテストは予選が15名の参加者で競われる。出題されるテーマは2つ。決勝戦は予選で勝ち抜いた3名が1つのテーマで作品をつくる。今回のコンテストに出題するテーマとブロックのパーツを選んだのは大澤さんだ。
「今回は公平な審査を期すために、出題に使われるパーツは参加者全てが同じものを使うようにしました。過去2回のコンテストでは、パーツが入ったケースから各自取りに行くスタイルだったので、できる作品の大きさや使うパーツが違いました」
コンテストの攻略方法は「パーツをどう使うかを判断すること」がポイントだそうだ。

作品は回しながら、全体的に細部まで確認される
審査員としてチェックするポイントは、
・造形力
・表現力
・作品のバランス
これらの項目に加えて
・出されたテーマに沿った作品であるか
・作品のクオリティー
・パーツの使い方
・子供とのやりとり
・作品の意外性や躍動感、ストーリー性
などが加点される。
大澤さんは書類審査の段階で、参加者の応募作品は「まだ見ていない」という。選考に関わるのはこれからだ。今回のコンテストについて、「テーマが同じでも表現のしかたは人それぞれ。見るまでどんな作品ができるかは分かりません。だからこそ楽しみです」と話す。
日本には2人しかいないマスター・モデル・ビルダーの1人を決めるため、会場の緊張も高まる。
マスター・モデル・ビルダーを目指せ!
会場には日本国内だけでなく、台湾やブラジルからの参加者も集った。国際色豊かなメンバーから世界各国にレゴ(R)ファンがいることが想像できた。
このコンテストの特徴となるのが、造形力に加えて子供とのコミュニケーション力が求められる点だ。審査員には大澤さんら関係者に加えて、10名の子供が招かれている。

コンテストが開始すると、作業机の前にある柵が取り払われ、コンテストの挑戦者たちはキッズ審査員と見学に来た子供たちに囲まれた。競技中に詰めかけて子供が押して作業台が動いたり、パーツが落ちるなんていう場面も。大澤さん曰く、コンテストでは「子供の意見も全てを聞いていると、時間が間に合わない。その場その場で判断が求められる」という。
コンテストの予選の課題は「かっこいいもの」「かわいいもの」の2テーマ。制限時間はそれぞれ30分だ。
予選1回目の「かっこいいもの」では、制作中に作戦を参加者に聞くと、「基本的なパーツが多く、特徴を出していくのが難しい」「色がカラフルなので、子供の好きな色を取り入れたい」と、忙しく手を動かしながらも答えてくれた。
15名が作ったのは「怪獣」や「ドラゴン」「ロボット」のほか、透明なパーツを使い浮かぶ演出をした「宇宙船」、中には「火山」や、名古屋出身の出場者による「しゃちほこ」も見られた。
予選2回目の「かわいいもの」では、テーマが発表されると「かわいいという感覚が分からない」と戸惑う男性の参加者や、「どのパーツをつけると良いかな?」と、女子のキッズ審査員を味方につけて手伝ってもらう女性参加者もいた。
作られた作品は「鳥」「ペンギン」「ウミガメ」などの動物や、ポップなパーツを菓子に見立てた「お菓子の家」、「スヤスヤと眠るドラゴン」「羊とその飼い主」といった作品の背景が伝わるものまで様々だ。

コンテストの審査の様子
作品が出揃うと、審査が行われた。大澤さんによると今回の参会者は「レベルが高く、作るのも早い」。
この中から3名が選ばれた。最終選考のテーマは「行ってみたい所」。制限時間は45分となる。

コンテストを見学に来た人の中には出場者のレゴ(R)仲間という人もおり、「自分の好きなことを見てもらえる場だ。自分は出ないけれど頑張って欲しい」(酒井さん)と、自分のことのように応援する来場者の姿も見られた。老若男女の熱い視線を受けながら、白熱した決勝戦となった。

決勝戦で制作された作品 左から和泉ちひろさん作「お菓子の家」、舘岡文彬さん作「なんでもある世界」、佐藤慧介さん作「ハワイ」
見事優勝したのは、東京出身の24歳会社員の舘岡文彬(たておか ふみあき)さんだ。
2代目チャンピオン・舘岡さんが目指すもの

決勝戦で制作する舘岡さん
「レゴ(R)がずっと好きだったので、その職業に就くということが信じられません。子供の頃に忘れかけていた夢が、ポンと叶ってしまったという印象です」と話す舘岡さん。オフィシャルの大会の参加は初めてで、緊張したそうだ。
舘岡さんは社会人2年目。普段の仕事は印刷関係で、企画・営業を行なっている。遠方に住んでいるためコンテストの2日前の金曜日に東京にある実家に泊まり、面接とコンテストを受けたそうだ。
レゴ(R)仲間との交流の魅力とは

舘岡さんの予選課題「ロボット」と「ペンギン」
舘岡さんがレゴ(R)を作り始めたのは、小学生1年生か幼稚園年長。レゴ(R)に関するブログを10年以上続けていて、レゴ(R)仲間も多い。10年以上にわたって交流が続く友人もいるという。
「今日も友達が一人、応援に来てくれました(※前述の酒井さん)。彼とぼくとは同い年で、中学の時からの付き合いです」
レゴ(R)のコミュニティは、全国にあるそうで、またSNSなどを通じて、情報交換やときにはオフ会など交流が行われている。
舘岡さんは、ペンギンをモチーフにした作品づくりでレゴ(R)ファン界隈で知られる存在だ。レゴ(R)仲間との付き合いには、同じ大学や同じ職場と話す人たちとは違う魅力があるという。コンテストの参加者同士でも、すぐに打ち解けて話している様子が見られた。
「同じ趣味を持っていると話しやすいですね。好きなアイドルが同じだと会話が盛り上がることと一緒だと思います。今日も台湾の留学生の方とも仲良くなれました。各地でレゴ(R)イベントがあって、自分は英語があまり話せないですけれど、海外の人とも作品を見せ合っているうちに仲良くなれるんですよね」
最後にマスター・モデル・ビルダーにかける意気込みを聞いた。
「身が引き締まる思いです。しっかり務めていきたい。大きな作品を作るには経験値が不足していて、悩みも出てくると思うが、自分だからこそできる作品をつくりたいです。また大阪にも素晴らしいビルダーがいますが、彼女に負けない企画を出していければと思っています」

子どもも大人も楽しめる「レゴランド(R)・ディスカバリー・センター東京」を紹介!

「レゴランド(R)・ディスカバリー・センター東京」では、今回選出されたマスター・モデル・ビルダーなどといっしょに作品を組み立てられるクリエイティブワークショップを開催。家でつくるものとは一味違った作品のつくりかたを教えてもらえる。土日祝日はプログラミングクラスも実施。

「ミニランド」
「ミニランド」は東京の名所をレゴ(R)ブロックで再現したミニチュアサイズのジオラマ。160万個以上のレゴ(R)ブロックで精巧に形づくられている。時間の経過とともに夕方から夜へと明かりが変化して、きれいな夜景が映し出されるのは必見。ジオラマを眺めていると、まるで自分が大きくなったかのように錯覚しそうだ。

「キングダム・クエスト」
アトラクションも充実している。「キングダム・クエスト」はお姫様を救出するシューティングゲームで、中世の戦車に乗って、ガイコツ戦士や巨大トロールを撃ちまくる。冒険が終わると点数が出るので、家族や友だちと競争もできる。

「マーリン・アプレンティス」
「マーリン・アプレンティス」は、マーリンの魔法の部屋を旅するアトラクション。ペダルをこいで空高く舞い上がりながら、魔法の世界を飛び回れる。

「レゴ(R)レーサー:ビルド&テストゾーン」
「レゴ(R)レーサー:ビルド&テストゾーン」は、クルマを自由に作ったり、走らせたりできるレゴ(R)ブロックがたくさんあるエリア。スポーツカー、トラック、消防車など、想像力を働かせて自分だけのクルマを作れる。完成したらテストドライブ。テストトラックには100分の1秒の精度の本格的なストップウォッチも用意されている。
夏休みにどこへ行こうか迷っているなら、「レゴランド(R)・ディスカバリー・センター」へ行くと、子どもだけでなく大人も夢中になって1日を過ごせそうだ。
レゴランド(R)・ディスカバリー・センター東京
https://tokyo.legolanddiscoverycenter.jp/
(港区台場1-6-1デックス東京ビーチ アイランドモール)
・営業時間 10時~20時(土日祝は21時まで)
※最終入場は閉館の2時間前まで
・問い合わせ TEL:0800-100-5346
(平日9時半~16時、土日祝9時~15時)
【マーリン・エンターテイメンツ・ジャパン株式会社】