GACKT主宰の“楽”園祭エンターテインメント 「本気で遊び、本気で学ぶ」 不変のモットー/レポート

■神威♂楽園deオタチナ祭
2018.10.25(THU) at 東京・豊洲PIT
(※画像6点)

GACKT主宰の『神威♂楽園deオタチナ祭』のファイナル公演が10月25日(木)、東京・豊洲PITで行われた。第94期となる今年は、愛知・福岡・大阪・東京を巡り計8公演を開催。
GACKTに憧れている“性”徒会長・神威楽斗が束ねるセレブな学園という設定で、F9と呼ばれる先輩たちと、音楽ありダンスありゲームありで繰り広げる破廉恥な楽園祭エンターテインメント。観客も制服着用のドレスコードが設けられ、“性”徒として参加。4時間にわたる祭の模様を独占レポートする。

会場に足を踏み入れると、ロビーには会長及び性徒会役員を務めるF9諸先輩方のパネルが設置。性徒たちは写真撮影に湧いていた。講堂に見立てたステージでまず入学式を執り行う。
「第94回、新入生の皆さん、ご入学おめでたきー!」との呼び掛けに、「ありがたきー!」と声を揃える性徒たち。こういった楽園特有の言葉遣いも用い、隅々までショーの世界観を徹底していく。

校歌斉唱、校長のご挨拶の後、理事長のご子息としてついに会長・神威楽斗が登場。大歓声に包まれながらフロアの後方から入場し、GACKTの「君が追いかけた夢」に乗せて悠々とステージへと向かった。登壇すると左手を台に付き胸を張ってたっぷりに間を取った後、新入生へ向けて「ごきげんよう!」と挨拶。「心と体をアツアツのチンチンにしたい」「由緒正しい破廉恥な伝統」「モットーは、本気で遊び、本気で学ぶ。
命を懸けてすべての物事に取り組む。本気でなければ真の喜びを手に入れられない」などなど、さすが「GACKTに憧れている」だけあって、信条が一致している。

「“オタチナ祭”の開会を宣言します!」という発声に続き、ミス・ミスター神威楽園の発表へ。事前に募集した写真を元にした審査で選ばれた性徒たちが登壇。ミス・ミスター・ヘルボー部も併せて発表され、会長にたすきをかけてもらう儀式を執り行った。

印象的だったのは、ミスター神威楽園に選ばれたちびっこ・ゆうとくんとのやり取り。
しゃがんでたすきを掛ける会長に、何やらおもちゃを手渡したゆうとくん。それをまた無言で返す会長……という微笑ましい場面に爆笑が起きていた。
GACKT主宰の“楽”園祭エンターテインメント 「本気で遊び、本気で学ぶ」 不変のモットー/レポート

続いて、F9メンバーの紹介。YOU先輩、TAKUMI先輩、Sato先輩、ばる先輩、隼人先輩、天然先輩、ユースケ先輩、ラッサン先輩、マドカ先輩がずらりと並んで登壇。ブロマイド売り上げ競争が導入され、優勝メンバーへの金一封と、それを予想した性徒との写真撮影が終演後に行われるという。各分校でしのぎを削ってきた先輩たちだが、ラストを飾るこの豊洲分校では隼人先輩が360枚で優勝。
1人で240枚も購入した熱心なファンの存在が決め手になったようだった。F9メンバーがネクタイをはずし、音楽がスタートすると、華やかにダンスパフォーマンス。いよいよショーの本格スタートである。

しんのす先輩がBOXに届いた質問に答えていくコーナーを経て、ジャージに着替えたF9が再登場。今年はGACKTが20年前にリリースした2ndシングル「Vanilla」をテーマに、トークやゲームを展開していく。そこでスクリーンに映し出されたのは、20年前のTAKUMI先輩の雑誌インタビュー記事。
ギター愛を熱く語っていた記事をメンバーにいじられていると、再び会長が登壇。「チャンバラゼロ」という、平均台の上で戦って落ちたら負け、という対戦コーナーがスタートした。

GACKT主宰の“楽”園祭エンターテインメント 「本気で遊び、本気で学ぶ」 不変のモットー/レポート

メンバーは台の上でまずお互いをディスり合い、その後で剣を交える。TAKUMI先輩×マドカ先輩(※マドカが勝ち)の後、はぎちゃん先輩と会長が対戦。会長は姿勢よく立ち、ゆっくりと刀を下ろしてビシッビシッと2振り。はぎちゃんはのたうちまわっていた。


続いて「画伯ゼロ」コーナーは、“神威♂楽園のパブロ・ピカソ”との異名を持つ隼人先輩がキャンバスに描いた摩訶不思議な絵を見て、何が描かれているかを当てる、というゲーム。会長はこのコーナーで隼人の奇想天外な画力に触れ「天才って狂気と紙一重じゃない? 楽屋にいる隼人を見ると怖くなっちゃって……」と苦笑。その真剣に怯えた口ぶりが笑いを誘っていた。

また、「来年のイベントまでに本気で20枚ぐらい描いて、パブロ・ピカト展をすれば?」といった提案も。セーラームーン、ばいきんまんといった親しみのあるキャラクターがなぜかホラーじみた仕上がりになっていくのを見て、会場からも「え~!?」の声が上がっていた。

ゲームコーナーの締め括りとして、“おきばらなかった”先輩が罰ゲームを受けるのだが、この日はばる先輩が選ばれた。開脚マシーンに拘束されながら、会長がミキサーで作った魔のバニラシェイクを飲まされつつ、「Vanilla」を歌いきる、という地獄のような罰ゲームで幕を閉じた。

上品なクラシック音楽が流れる15分の休憩を挟み、楽性ショック堂(学生食堂)や購買部から性徒たちが自席に戻ると、第二部へ。メインイベントである軽音楽部のコピーバンド登場である。「お手持ちの破廉恥ライトをご用意ください」とのアナウンスに続き幕が左右に開くと、1曲目は「ちょっとだけKISS ME」を披露。会長がヴォーカル、ギターはTAKUMI先輩、YOU先輩、ベースはSato先輩、ドラムはばる先輩が務め、全編コミカルな設定ではあるものの本気の歌と演奏を繰り広げていく。

掛け声にもこの楽園ならではのルールがあって、「僕の名前を呼ぶときは、『会長、ピュ!』と、ハートをつけて叫んでください」と胸元からハートマークを飛ばすジェスチャーと共に語り掛け、「みんなの心を鷲掴みにしたい」とジャケットをはだけてみせる会長。性徒と一体となって作り上げていくこの祭りは、ここからさらに濃密な内容になっていく。
GACKT主宰の“楽”園祭エンターテインメント 「本気で遊び、本気で学ぶ」 不変のモットー/レポート

続く「ウルトラメドレー」は、様々なヒット曲をB'zの「ウルトラソウル」に繋げてしまう荒業を楽しむ、というもの。楽園祭の人気企画だが、今年は9曲を盛り込む気合の入れようだ。「破廉恥ライトの色を紫に変えてください」と会長自ら呼びかけて、ノリ方のレクチャー(眉間にしわを寄せて跳び、左手を突き上げるのだそう)、「よろ・ティク・ヴィ!」という前々回の楽園祭から追加された新挨拶を確かめて、「最後はとびきりの愛を乗せた笑顔で、よろしくお願いします!」との掛け声から「ウルトラメドレー」のスタート。

白いバレエチュチュ姿のダンサーたちが組み体操などを繰り広げる中、B'zの「LOVE PHANTOM」、米米CLUBの「浪漫飛行」、Mr.Childrenの「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」、TRFの「EZ DO DANCE」、CHAGE and ASKAの「SAY YES」、そしてTHE虎舞竜の「ロード」はイントロのハーモニカを会長が吹き、歌に入ることなく<ウルトラソウル!>へと繋げる暴挙に。KANの「愛は勝つ」、西城秀樹の「ヤングマン」、最後はB'zの「恋心 ~KOI-GOKORO~」で締め括った。1曲1曲をいつかフルでじっくりと聴いてみたい、という欲求も湧いて来つつ、抱腹絶倒のこのメドレー・エンターテインメントは、歌唱力と笑いのセンスを兼ね備えた会長ならではの企画だ、と改めて感じた。

GACKT主宰の“楽”園祭エンターテインメント 「本気で遊び、本気で学ぶ」 不変のモットー/レポート

「3か月前の出来事です。学食でコーシーを飲んでいたら、女子性徒が『会長、会長! どんなアニメにハマるんですか?』」と尋ねられた、と語り出し、「日本のほとんどのアニメの制作会社を持ってるからさ~」というセレブならではの返答など、声色を変えながら再現劇をしてみせる会長。こういった一人芝居がこの後、各曲の前に繰り広げられていくことになるのだが、この時の一人対話劇は『東京喰種トーキョーグール』の主題歌「unravel」への前振りになっていた。「ファルセット縛りで行きたい」との言葉通り、まるで女性のような高らかな美声で歌唱していく会長。マイクスタンドを雄々しく握ったかと思えば、揺らめかせる手の指先は柔らかく美しい。「行くぜ~!」という掛け声だけは地声で、他はすべてファルセットで通し、息継ぎもセクシー。メンバーの演奏もハードで耽美。すべてにおいて“魅せる”1曲だった。

続く「HOT STEADY HIGH DESIRE,GO!!」は、曲タイトルから想像してみていただきたいのだが、4曲のごった煮。各曲のフリ付けを性徒へ面白おかしくレクチャーし、先輩ダンサーも加わり賑やかにパフォーマンス。具体的には、L'Arc~en~Cielの「READY STEADY GO」で始まり、すぐにLUNA SEAの「DESIRE」に切り替わると、その演奏に乗せてT.M.Revolutionの「HOT LIMIT」「HIGH PRESSURE」を織り込みながら、「READY STEADY GO」に戻る、というカオスとなっていた。会場は刻々と切り替わる曲に合わせて忙しく破廉恥ライトを振ったり、「ラヴ、会長」のアクションを交えたりしながら、一体感を作り出していた。

この後に控えていたのは、『進撃の巨人』主題歌「紅蓮の弓矢」。「今手に握っているのは巨人を倒すブレード。激しさの中で、愛する人の名を呼んでください。Say!と言ったら会長!(ハート)」などと会長はレクチャーし、「Aメロでは心を一つに統一して大地を揺るがしたい」とも。「普段のストレスをすべて足に込めながら蹴る、蹴る、蹴る! 右足を踏む!」とも指導した。

「Bメロでは恒例の『与作』です」とヘッドバンギングをしながら体を振る動作をユーモラスに伝え、「奇行種に襲われているかのように、君たちの愛する人を助けたいという想いで! 心の準備はよろしいか~!」と呼び掛けて、ついに披露。破廉恥ライトで真っ赤にフロアが染められる中、ピンスポットにメンバーは照らされて、荘厳なコーラスの後に激しい演奏と歌が炸裂。圧倒的な歌唱力と声量に気圧され、その世界に引き込まれていく。サビでは、スピーカーに足を乗せて歌う会長の姿が勇ましく見えた。

半袖白シャツに着替え、ダンサー陣に混ざりセンターに立った会長は、憧れのGACKTの「舞哈BABY!!-WooHa-」を披露。自ら手に破廉恥ライトを持って、太鼓のバチのようにキビキビと振り回しながら、歌い踊ってパフォーマンス。会場は沸きに沸いていた。

暗転の後、黒いファーのコートを性服の上に羽織った会長が一人佇み、時空は楽園祭前夜へ。「楽園祭前って大変だな~。なんで性徒会長ってこんな大変なんだろう……?」と問わず語りをする会長。「あ! また校門の前で待っている女の子がいる」と気付くと、避けて帰るべきかどうか迷った後、「どうしたんだい?」と問い掛けるのだった(※これら、すべて一人芝居である)。

「あの曲を歌ってほしい」という女の子のリクエストに応じる形で、届けたのはレミオロメンのあの名曲。会長を映し出すスクリーンには雪が舞い降り、「ほらみて、粉雪だよ」との言葉を機に曲がスタート。マイクスタンドを握り、遠ざけた体を激しく前のめりに振りながらイントロを終えると、Aメロの歌い出しからはしっとりと艶やかな声を響かせた。ファルセットでピュアさを滲ませたかと思えば、大サビでは力を込め直して渾身の熱唱。<空に返すから>と歌い終える最後の声を長く伸ばし、さらに注意を惹きつけると、静けさの中で歌い終えた。

GACKT主宰の“楽”園祭エンターテインメント 「本気で遊び、本気で学ぶ」 不変のモットー/レポート

続けて、「またここに来ちゃったな……覚えてるかな?」との会長の語りで、舞台が脳裏で転換。「君の場所まで、この歌、届くのかな?」という問い掛けから、次の曲は喪(うしな)った恋人へ捧げるために歌うのだ、と想像する。届けたのは、尾崎豊の「I LOVE YOU」。ところどころグッと力強くアクセントを付けながら、随所でタメを効かせ、とても丁寧に繊細に歌っていく。聴き入っていた会場からは特大の拍手が。会長の歌の底力に引き込まれた2曲だった。

しっとりとしたムードに浸ったのも束の間。バルト(ばる先輩)が登場し、「ここに来ると……」と会長の語りの真似から始まった一人芝居に笑いが起きた。THE BLUE HEARTSならぬTHE BA・LUE HEARTSというパンクバンドで「はじめてのフィリピンパブ」(「はじめてのチュウ」の替え歌)を披露。歌詞は度を超えて破廉恥なので割愛するが、幅広ターバンに美しい鎖骨を露わにした黒ロングTシャツ姿の寡黙なギタリストのガーシー(性徒会長)だった。

バルトは「俺たちがバルーハーツです! ファイナルだぜ!」と元気がいいが、「俺の名前を呼んでみろ!」と呼び掛けても性徒たちは「ガーシー!」と答えるばかり。ツアーを通じ、ずっとつれなくされ慣れていたバルトは、2枚重ねしていたTシャツを1枚まくりあげ、裏にプリントされていたガーシーの顔の下からトーク。その捨て身の芸に、クールなガーシーも堪え切れず背中を向けて肩を震わせて笑っていた。

「TRAIN-TRAIN」の替え歌「咥える咥える」をはちゃめちゃにパフォーマンスし終えると、スクリーンには緊急告知が。ボーカリストがバルトの実兄に変わり、新生バルーハーツ始動!とのアナウンスに笑いが起きていた。

ここでついにX JAPANの完全コピーバンドSuper EXcellent highschool students in JAPAN、略してSEX JAPANが登場。「PROLOGUE(~WORLD ANTHEM)」が鳴り響く中、順にコールされて出てくるメンバーは、いでたちも完コピ。YOU先輩はPATA、TAKUMI先輩はピンクの髪のHIDE、Sato先輩はTAIJI、そして会長は金髪ロングヘアで素肌にジャケットをまとったYOSHIKI姿でドラムにスタンバイ。ボーカルのToshI?がクリスタル・ヴォイスを駆使し、「紅」のバンド演奏に乗せてハイスピード版「魂のルフラン」を歌い上げる。高速ギターソロもユニゾンもドラムソロも完全コピーするハイ・クオリティーぶりである。

「お前たち、裸の付き合いしようか!」という“ToshI?”のシャウトに続き、会長がジャケットを脱いで立ち上がると、「X」へと雪崩れ込む。緻密なプレイだけでなく、手をクロスさせるフォルム、顔の角度もYOSHIKIを髣髴とさせる会長の本気に感動を覚えた。性徒たちも熱く盛り上がり、ジャンプを繰り返す。終盤、マイクを向けられたTAKUMI先輩は「豊洲ファイナルだぞ! 跳べ跳べ跳べ跳べ~! 悔い残すなよ!」とシャウト。怒涛のプレイを繰り広げた後、会長は再びジャケットをまとい、赤いバラを投げた。全身全霊、大人のコピーバンド・エンターテインメントを存分に見せてもらった。

21時40分に幕が閉じ、その時点でかなり盛りだくさんな内容だったのだが、再びジャージ姿で登場した会長と生徒会役員の先輩陣は、DA PUMPの「USA」ならぬ「KSK」を本気でパフォーマンス。しっかりと歌い、キレのあるダンスを繰り出す会長は、先ほどまであの全身全霊のドラミングを見えていた人と同一人物とは信じられないほどパワフルだ。

右手を挙げてクイッと顎を上げた時、割れんばかりの大歓声が会長に注がれた。「気を付けて帰るんだぞ!」「かしこまり~!」「みんなで一緒に、よろ・ティク・ヴィ~!」のやり取りで締め括り、祭は終了。忘れられないシーンの数々を脳裏に焼き付けた、あまりに濃密な4時間だった。
(取材・文/大前多恵)

≪セットリスト≫
1. ちょっとだけKISS ME
2. ウルトラメドレー
3. unravel
4. HOT STEADY HIGH DISIRE,GO!!
5. 紅蓮の弓矢
6. 舞哈BABY!!-WooHa-
7. 粉雪
8. I LOVE YOU
9. ばる一人芝居~はじめてのフィリピンパブ~(はじめてのチュウ)
10. 咥える咥える(TRAIN-TRAIN)
11. 魂のルフラン
12. X
<ENCORE>
1. KSK(USA)

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