DEZERT 「“今日”だけを丁寧に生きよう」 アルバム『TODAY』ツアーファイナル
撮影/西槇太一

11月18日(日)、DEZERTが『DEZERT LIVE TOUR 2018「What is “Today”?」TOUR FINAL』をZepp DiverCityで開催した。そのオフィシャルレポートをお届けする。


DEZERT LIVE TOUR 2018「What is “Today”?」TOUR FINAL


それはもう、真摯過ぎるくらいに。この夜のDEZERTがひとつの真理として導き出してみせた“今日”という概念は、揺るぎないほどの存在感と説得力を持った音像というかたちで、生々しいリアリティと共に我々へとダイレクトに伝えられることとなった。

DEZERTというバンドに関しては、フロントマン千秋の発する冴えた毒舌やら、何かと刺々しいバンドとしてのイメージが先行しがちなせいか、いまだ“取っつきにくい”と感じる人たちもそれなりに多いのかもしれない。だが、今夏に発表された最新アルバム『TODAY』でDEZERTが表現してみせたものとは、きっとどこかの誰かが思っているよりもずっと素直で、随分と真摯なものであったのではなかろうか。

DEZERT 「“今日”だけを丁寧に生きよう」 アルバム『TODAY』ツアーファイナル
撮影/西槇太一


そんな『TODAY』の発表後、彼らは8月から9月にわたり全国で『DEZERT LIVE TOUR 2018「What is “Today”?」』を展開し、今回のZepp DiverCity公演でファイナルを迎えた。

かくして、アルバム『TODAY』と同じように「沈黙」から始められた今回のライブでは、既存楽曲と新譜収録曲を絶妙に交錯させながらのセットリストで進行していき、途中にはDEZERTのライブでしばしば勃発する、千秋の即断即決による予定外楽曲「遺書。」が突如ブッ込まれたりしたほか、終始とても良い意味での緊張感が保たれた中でライブバンドDEZERTの持つ醍醐味がおおいに発揮されていたと感じる。

中でも、特に秀逸だったのは本編の最後にアルバム『TOADY』のタイトルチューンが、千秋から以下の言葉とあわせて観衆へと供された場面だ。少し長くなってはしまうものの、ここは非常に大事なところなのでMCからの書き起こしをしておくとしよう。

DEZERT 「“今日”だけを丁寧に生きよう」 アルバム『TODAY』ツアーファイナル
撮影/西槇太一


「今日、11月18日。ここにいることを僕は何としても誇りに思います。ありがとうございます。そして、ここにはほんとにいろんな人間がいると思いますが……何のために生きているのかわからないやつ。
居場所をずっと探してるやつ。自分を傷つけるやつ。他人を傷つけるやつ。それでも、ひとつ共通点があるとすればそれは“今日を”選べるということでしょう。だから、こうしてライブハウスに来たんだと思います。(中略)多分、僕たちは過去を嘆いて未来に脅えて生きていたと思います。だから、ワケ分かんない存在証明やら何やらをやっちゃうんでしょう。僕にとってはそれが偶然に歌うことだっただけですが、ひとつ君たちに言いたいことがあります。過去を捨てよう。そして、明日を忘れよう。“今日”だけを生きよう。丁寧に。
それを繰り返していこう。そうすればきっと、過去は歴史になり明日は希望になると信じて、僕はこれからも生きていきます」

DEZERT 「“今日”だけを丁寧に生きよう」 アルバム『TODAY』ツアーファイナル
撮影/西槇太一


<誰もがもがいてる 時に泣き疲れて 立ち止まることもいいさ 誰もが失って 時に泣き叫んで また今日から始めればいい>

<生きててよかった そう思える夜を探してく覚悟 気付いたよ そして初めて僕が踏みだす一歩>

DEZERT 「“今日”だけを丁寧に生きよう」 アルバム『TODAY』ツアーファイナル
撮影/西槇太一


意思のこもった音を体現する、頼もしいSORAのドラミング。絶妙な陰影をもって響く、Sacchanによる巧みなフィンガリングベース。その場の空気そのものを染めあげていくように、重厚かつ色鮮やかに奏でてみせるMiyakoのギターワーク。さらには、ひとつの真理と切々とした想いが託された詞世界を、敢えてシャウトを排しながらもエモーショナルに綴り上げてゆく千秋の歌……。

この『TODAY』を生み出すことにより、またこの『TODAY』を全国各地においてパフォーマンスし続けてきたことにより、間違いなくDEZERTはある種の悟りを開くことになったはずだ。というか、そう思わせるだけの圧倒的な貫録と真摯なたたずまいがこの場面を支配していたのである。

DEZERT 「“今日”だけを丁寧に生きよう」 アルバム『TODAY』ツアーファイナル
撮影/西槇太一


“今日”というその瞬間にこそ、全てを懸けることに一体どれほどの意味があり、どれほど計り知れない価値があるのか。その絶対的な真理を本当の意味で知ったのであろうDEZERTの姿が、いちロックバンドとして以前より一回りも二周りも大きく見えたのは必然とも言えたはずだ。“今日”だけを生きる。それも丁寧に。そうしていくことで、明日が希望になるのだとしたら、そんなにも素晴らしいことはない。

(取材・文/杉江由紀)

≪セットリスト≫
沈黙
「殺意」
蝶々
大塚ヘッドロック
蛙とバットと機関銃
浴室と矛盾とハンマー
肋骨少女
おやすみ
Hello
「擬死」
包丁の正しい使い方~終息編~
オレンジの詩
遺書
「変態」
「秘密」
「君の子宮を触る」
「ピクトグラムさん」
TODAY
<Encore>
普通じゃないIII
脳みそくん。
「切断」

≪ライブ情報≫
【くるくるまわる2018 ~今年はコシヒカリ入り2回転!~】
2018年12月15日(土)新潟CLUB RIVERST
2018年12月26日(水)渋谷CLUB QUATTRO

【DECEMBER'S CHILDREN】
2018年12月16日(日)マイナビBLITZ赤坂
出演:SPARTA LOCALS、the band apart、DJ後藤まりこ、DEZERT、眩暈SIREN、Suspended 4th
※開場時アクト出演あり

【MAVERICK DC GROUP PRESENTS JACK IN THE BOX 2018 ~LAST BUDOKAN~】
2018年12月27日(木)日本武道館
出演:DEZERT、シド、MUCC、ユナイト、MDC SUPER ALL STARS、他

【Is This The “FACT”?】TOUR 2019
出演:MUCC / DEZERT
2019年1月7日(月)福岡BEATSTATION
2019年1月8日(火)福岡BEATSTATION
2019年1月10日(木)大阪STUDIO PARTITA
2019年1月11日(金)大阪STUDIO PARTITA
2019年1月15日(火)恵比寿LIQUIDROOM
2019年1月16日(水)恵比寿LIQUIDROOM
2019年1月29日(火)恵比寿LIQUIDROOM
2019年1月30日(水)恵比寿LIQUIDROOM

■DEZERT オフィシャルサイト
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