嵐の活動休止発表から一夜明けた28日、メンバーの櫻井翔が自身がキャスターを務める『news zero』(月曜~木曜 午後11:00~、金曜 午後11:30~)に生出演し、2020年末で活動休止を発表した同グループについて語った。

番組冒頭、有働由美子キャスターに「どこまで聞いていいんですか?」と聞かれた櫻井は「どこまでも聞いてください。
なんでも話します」と返答、有働の質問に答える形でインタビューを行った。

櫻井翔インタビュー全文


――まず昨日の活動休止会見の裏側について、長い話し合いを続けてきての昨日でしたが、会見の前、メンバーはどういう気持ちで、どういうことを話し合っていましたか?

櫻井:まず当日の昼に大野に連絡しました。「何かあったら必ず僕がフォローするので、安心して会見に臨んでほしい」と。彼からは「ありがとう」という返事をもらいました。そして会見の30分ほど前に4人と、「これでいよいよキックオフとなる。2020年12月31日までしっかり肩を組んで、今まで以上に一致団結して頑張っていきましょう」という話をしました。僕たちコンサートやは歌番組に出演するときに、メンバーそれぞれがお互いの目を見て、それぞれと握手して「行こう!」ってやるんですけど、会見の前にも同じように、出る直前に、それぞれがそれぞれに握手して、「行こう!」と。

――でもその握手は、コンサート前のいつもの握手とはまた違ったと思うんですが、皆さんの表情や櫻井さん自身の気持ちはどのようなものだったんですか?

櫻井:我々としては、今回の経緯と今の気持ちをお伝えすることでしかないので、コンサートの時の握手と意味が違うかと言うと、同じような「さあ行くぞ」といった思いでの握手だったと思います。

――事前にファンの方々向けに動画とコメントが発表されてからの会見でしたが、会見では5人が考えていることを全部話せたという感じですか?

櫻井:話せました。僕が会見中に思っていたのは、ファンの方一人ひとりの気持ちと、私たちの周りにいるスタッフの思いを考えると、この日が来なければといいなあと思っていたのと同時に、2018年6月に決断したことですので、やっとお伝えできるというような複雑な心境ではありました。

――改めて確認させていただきたいんですが、最初、大野さんから休みたいとあったとのことですが、皆さんには事務所を辞めたいっていうように話されたんですか?

櫻井:一番最初はそうですけど、事務所を辞めたいということではなくて、彼も会見で言ってましたけど、嵐から離れて自由な生活をしてみたい、そのためには事務所を辞めなくてはならないのではないかという話が2017年6月にありました。そしてこれはもっと後の話になりますが、事務所の人も含む話し合いの中で、スタッフから「休むっていうのはどうか?」という話がありました。
大野はすごく驚いていて、そんなことが許されると思っていなかった、そんなことが許されるんですか?と。それで事務所の人からメンバーに伝わって、本人がそう言うなら、休んだら?と。

――その前には解散ということもちらついたりはしたんですか? よく嵐の皆さんは5人で一つとおっしゃるじゃないですか?

櫻井:2017年6月の段階ではちらつきはしましたけど、なんとかそれを回避して、みんなが納得するところに着地させなければならない、そしておそらくそれは自分の役割だろうと思っていました。

――全員が納得する着地点を時間がいくらかかっても話し合うというのは、最初に大野さんから話があった時からどういうふうにそこを目指して、どんな話し合いをされてきたんですか?

櫻井:僕個人の思いとして申し上げると、5人で歌ってきたので、大野抜きで嵐を名乗り、嵐の歌を届けるのは考えられなかったです。一人でも欠けたら嵐ではない、嵐とは名乗れないというのは5人まったく一緒の思いでした。なので、どうにか嵐を守り抜くために、僕がみんなの思いの真ん中というか、全員がきちんと納得できるところを探さなくてはならないんだろうなと思いました。そのあと、冷静にメンバー全員の話を聞いたんですけど、今日わかりましたって言える話ではないと。ちょっと時間をかけて、もう一回話そうと。自分では冷静だったつもりだったんですけど、僕も混乱してたんですかね、朝目覚めたら、こんなこと普段は絶対ないんですけど、ホテルのベッドの下の床で、ああ自分もけっこう衝撃を受けていたのもかなあと思いましたね。ただ、そういう話があった後も、じゃあ明日ねって別れるグループではないので、普段通りの話をして、普段通りの楽しい雰囲気の中で、また話そうねって。それが2017年6月のことでしたね。

――そのあと大野さんと一対一では話はされたんですか?

櫻井:話しました。
じゃあこういう形での活動はどう?とかって、いろいろと話をしたんですけど、彼の意志は固まっているなというふうに感じました。その後、大野も他のメンバーとそれぞれ話してますし、その間に僕も他のそれぞれのメンバーと何度も話しています。

――メンバーが家に来ての話し合いもあったとおっしゃっていましたが。

櫻井:お店選ぶの難しいんだよなぁ、嵐が来る時。トイレへの動線どうしようとか、個室は?とか、松潤来るのか、どうしよ~とか(笑)。

――その話し合いは、普段通りに話し合っていかれた感じなんですか?

櫻井:ずっと和やかにというだけではないです。かといって、ぴりついたかと言ったら、そうでもないです。我々もいい年齢の大人なので、嵐の将来のことを決めるのに、真摯に5人で話し続けたつもりです。

――その話し合う過程で、5人の関係が変わったり、新しいものになったりはしましたか?

櫻井:間のことはもう抜け落ちちゃっているんですけど、すべてが決まった2018年6月から、より絆が太くなっているな、強くなっているなっていうのは感じますね。

――本当に皆さん、しっかり、1mmの差異もなく話されたからこそ、昨日の会見で、同じ気持ちで話していらっしゃるなって改めて思ったんですけど。会見の中で出た、無責任じゃないですか?って質問が物議をかもしていますけど、(その質問を受けた時)櫻井さんの表情がきりっとしたように思いましたが。

櫻井:私たちが一番伝えたかった“誠意”の部分に関してお話しているので、自分の中の温度が上がったっていうのはあるかもしれないです。
ただ、あのご質問をいただいたおかげで、結果として、我々の思いの丈を温度を乗せて伝えることができた。なので、他にもいろいろな角度から質問していただけて、自分たちの気持ちをお伝えすることができてよかったです。

――改めて、大野さんについて。

櫻井:大野っていうのは、すごく才能が豊かな人なんですね。踊りも上手いですし、歌も上手いですし、絵だって上手いし、文脈に関係ないですけど、字も上手い。才能豊かな人だから、他のところに行く可能性を秘めている人なんですよ。それが20年、我々と共に歩んでくれた。だから休んでいいんじゃないかなって僕は思っています。

――櫻井さんは『zero』の中でも、活動をする上で、互いをリスペクトするって言葉を何度か言ってましたが、一人の方の思いを全員がリスペクトして休止するっていう決断はなかなかできることでもないと思うんですけど。

櫻井:リーダーである大野の思いを他の4人が受け入れた、ということではなく、メンバーの一人である大野の思いを5人全員で(話し合うことで)なんとか一つの着地点にたどり着くことができた、というのが正確なニュアンスかなと思っています。

――そういう感じに、みんなの気持ちが最終的には一つのところに落ちたっていう。

櫻井:そうです。
事実リーダーなんですけど、グループ内の最高権力者であるリーダーの鶴の一声で決まった、というようなニュアンスでは決してないです。

――何か問題が起きた時に、全員が納得するまで話し合うっていうのは、じつはなかなかできそうでできないことじゃないかなって思うんですけど、それが嵐の皆さんができるのはなんでなんでしょうね。

櫻井:信頼し、尊敬し、尊重し合って来た仲間だったこと、自分以外の4人がそういう人たちが集まっていたということ。だから、「あの4人だったから」ということでしかないと思うんですよね。

――グループ内って、どうしても何人かに別れたり、誰が真ん中だと(揉めることが)ありますけど、嵐はどうなんですか?

櫻井:僕たちは、いわゆるセンターがいないグループなんですね。デビュー当時から、シングルのジャケットなんかでも、毎回センターが変わっていて。当時から、誰がセンターになっても違和感のないグループっていうのをスタッフ含めて目指していたところで。そういった意味では、他のメンバーの活躍に嫉妬するような人が一人もいないっていうのはあるかもしれないです。センターが決まった時に、“そこに行きたいな”っていうより、“いいよいいよ、今行っておきなよ”って人たちだと思います。

――これまで、揉め事は一個も無しですか?

櫻井:ないですね。問題定義みたいなレベルで言えばありますけど、たいていそれを言うのは僕ですけど(笑)。そういうことをやったときも、“たしかにそういうこともあるかもしれないね”って聞き入れてくれるのがあの4人ですから。
“何、そんなのいいよ”って人が一人もいない。

――本当に同じ分量で、同じ熱量でやってきた感じなんですね。

櫻井:そうですね。我々は年齢が近くて、中学生の頃からずっと一緒にいて、共有している思い出の量がものすごく多いんですよ。幼馴染み的要素もあるのかなぁとは思うんですけどね。

――アイドルをずっと続けてこられて、30代後半になった時の活動に関してはどういうふうに考えてらしたんですか?

櫻井:それは僕が30になったあたりに他の4人に話したんですけど、今はありがたいことにキャーキャーいってもらってるけど、いつかそうはなくなるかもしれない。いつか国立やドームではできなくなるかもしれない。なら、その準備を今から始めておきたいし、のちに年を重ねた時に、成熟した大人のグループになっていきたいねって話はしましたね。

――え!? 人気絶頂だから、そんなことを思う必要もないくらいの走り方でしょう。

櫻井:そう思ってはいないですけど、仮に絶頂だとしたら、山の頂の先には下る景色しかないですからね。そのための備えをっていうことです。

――休止の2020年12月31日まで2年ありますけど、その間の嵐っていうのは、どういう嵐で、どんなことを実現したいと思っていますか?

櫻井:温かみを感じられる線香花火のようなものから、どでかい打ち上げ花火のようなものまで、可能性の是非まで含めて、日々考えています。
なのでその間、少しでも、一人でも多くのファンの方に喜んでいただけることを考えて、準備しているという感じですかね。

――2021年からの櫻井さんはどういうイメージがありますか。

櫻井:嵐のことで頭がいっぱいなので、あまりイメージはできていないですけど、2021年以降、一時的にですけど、それぞれの活動になっていくので、そうなった時の準備をこのおよそ2年でそれぞれがしていかないといけないんだろうなという。

――それでは最後に伺います。ズバリ、嵐の復活はありますか?

櫻井:ありますよ、あります! いつかまた5人で揃ってパフォーマンスするということを頭の片隅に置きながら、2020年12月31日以降はそれぞれが活動していくことになると思います。

――ほっとされたファンの方もたくさんいらっしゃると思います。櫻井さんは個人的ないろいろなお仕事で具体的に思い描いていることはありますか?

櫻井:MCもそうですし、ドラマもそうですし、映画もそうですが、すべて大絶賛受け付けております!(笑)

――『zero』は続けていただけるんですか?

櫻井:もちろんですよ。こちらこそよろしくお願いします。

――こんなに前向きな活動休止って、なんか素敵ですね。みんなが納得して。

櫻井:ファンの方皆さんにすべて納得していただいているかというと、そうでもない部分もあると思いますけど、温かく、我々の決断を見守っていただいたというのは本当に心から感謝しています。

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嵐は27日、2020年12月31日をもってグループの活動を休止することをファンクラブサイトで発表。日本中に衝撃が走るなか、同日夜、大野智、櫻井翔、相葉雅紀、二宮和也、松本潤が5人そろって都内で緊急会見を行った。

2017年6月中旬頃、大野が他のメンバー4人を集め、「2020年を区切りに、ここで一度嵐をたたみ、それぞれの道を歩んでもいいのではないか」と提案。大野の思いをきっかけに、メンバー全員、個別、そしてジャニーズ事務所スタッフを交えながら幾度となく話し合いを重ねたという。

グループ解散、事務所退所に関しては、4人が引き止めたが「自由に生活がしたい」という大野の気持ちを尊重して、グループ活動休止の決断に至ったという。

活動休止までの約2年という期間は「最後まで嵐が嵐らしくあるために、できる限り皆様と嵐が過ごすことができる時間を作り、感謝の気持ちをお伝えする場を設けたいという思いから」と話した。
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