1月30日に『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第4話が放送された。(関連)
「家売るオンナの逆襲」北川景子は松田翔太になびかないと思う。仲村トオルに頑張る嫁感が実は凄い4話
家売るオンナ DVD-BOX/バップ

今回、このドラマが取り上げた社会的テーマはずばり「働き方」である。


「自分のために生きる老後」と「身の丈は大事」


4月から始まる働き方改革に向け、勤務時間の見直しを図る新宿営業所。残業を減らすことと売り上げを上げることの板挟みにされ、課長の屋代大(仲村トオル)は苦しんでいる。
新人の鍵村洋一(草川拓弥)を筆頭に定時で帰りたい社員がいる一方、「残業代が稼げなくなる」とこぼす社員もいる。足立聡(千葉雄大)に至っては、あからさまに不満を抱いている。
「僕は努力してもっと家を売りたいんです。お客様にも喜んでもらいたいし、自分もそれを張り合いに頑張りたいんです! 早く帰りたい人がとっとと帰るのはいいけど、もっと頑張りたい人が頑張れないようにするのは、やっぱりおかしいと思います」

話は会社員の範疇にとどまらない。フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)は、フリーになった理由を足立に明かした。
「僕は家を売る仕事を嫌いになりたくないから、フリーランスでいるんだ。好きなときに働いて、休むときは休む。遊ぶときは遊ぶ。そういう不動産屋がいてもいいと思ってさ」

働き方で揺れるのはテーコー不動産の社員だけではない。定年を間近に控えた山路功夫(佐野史郎)・朱美夫妻が娘と娘婿の満島夫妻を連れて来店した。娘夫婦の新宅を探すことが目的なのだが、功夫と娘婿・健太郎(田村健太郎)がいちいち対象的だった。

功夫 家はその男のステータスそのものだ。だから、今の自分の実力よりちょっと上の家を買ったほうが仕事にも張り合いが出るんだよ、健太郎君。
健太郎 でも、僕、この前、インドの工場長への栄転断ったんで、この先偉くなることないと思うんですよね。
功夫 健太郎君、インドの工場長は重要ポストじゃないか。なぜ断ったんだ!? 君はそれでいいのかね? 上を目指さないで何のために働いてるんだ!
健太郎 偉くなって責任とか取るの嫌じゃないですか。
功夫 はぁっ!?

はっきり言って、どちらの言い分も一理ある。若さがあり、愛社精神もある庭野聖司(工藤阿須加)の独白が問題を端的に表している。
「ガムシャラにならなければ見えない世界がある。だから、自分ももっと頑張らなきゃとも思います。でも、頑張りすぎて自分をすり減らしてしまうくらいなら、たくさん休みをとって楽しく生きるのもいいかなあと……。だから、要するによくわかりません!」

同感だ。よくわからない。
どちらにもいい面と悪い面があるからだ。

三軒家万智(北川景子)が用意した落とし所は、正論だった。山路夫妻と娘夫婦を連れて内見に行った三軒家。家を見て、娘たちより山路夫妻のほうが夢中になっている。
「今日は山路功夫様、朱美様ご夫妻に住み替えをご提案したくご案内いたしました」(三軒家)
娘夫婦に援助するはずだった3000万円をそのまま自分のために使い、新たな家を購入することを功夫にすすめるのだ。しかも、階下には喫茶店スペースまである。朱美は喫茶店をやりたいと言っていた。功夫が住み替えを決断したときの奥さんの嬉しそうな顔と言ったら!

何十年もバリバリ働いて得た3000万円を、ギクシャクしてまで娘に援助することはない。一番いいのは、自分のために使うこと。老後くらい好きに生きるべきだ。

一方の娘夫婦に三軒家が用意したのは「身の丈は大事」というメッセージだった。三軒家は団地物件を満島夫妻に紹介した。
フルリノベーションし、若者ウケするオシャレな内装になっている。それでいて、都心のマンションとは比較にならない1500万円というリーズナブルな価格だ。
「お父様のように汗水垂らして努力をし、成長し続けるという時代もありましたが、これから先、経済がいつまでも成長し続けるというのは幻想です。満島様ご夫妻は厳しい競争の中で家族を顧みる余裕もなかったお父様世代とは違い、ささやかながら穏やかで心優しい幸せをこの家で実現していただきたく存じますが、いかがでしょうか!」


満島夫妻が購入を決断する直前で、留守堂の横槍が入った。留守堂は、この部屋の番号は「345」だと夫妻に指摘する。すると、かつての健太郎の浮気相手「ミヨコ」を思い出させると妻の花(北原里英)がゴネ始めたのだ。っていうか、きたりえと345のセットだと、どうしたって「さしこ(指原莉乃)」を思い出してしまうのだが……。指原を嫌がる北原。それだけでもう笑う。

兎にも角にも、留守堂のちょっかいは執拗だ。三軒家に勝つためなら、人だって利用する。「一戦交えたい」と意味深な言葉で足立を誘い出し、三軒家ならびに顧客の情報を聞き出す留守堂。
足立は足立で、留守堂に出会ってから明らかに営業成績が落ちてるし……。

次回、どうやら三軒家と留守堂の過去が明らかになりそうだ。予告によると、三軒家と留守堂は同級生だったよう。どこかの学校の教室で2人きりになり、三軒家に「僕は今もあなたを愛してます」と告げる留守堂。この1シーンだけで、色々な予想がつく。「留守堂は三軒家の元彼だったのか?」「ずっと思い慕ってきたのか?」などなど。

ただ、三軒家は絶対に留守堂にはなびかないと思う。それには伏線がある。序盤、三軒家と足立の間でこんなやり取りがあった。

足立 三軒家さんって、なんでテーコー不動産に戻ってきたんですか?
三軒家 愛しているからです。
足立 会社を? 三軒家さんからそんな答えが返ってくるなんて思わなかったな。
三軒家 課長です。

足立 は?
三軒家 課長を愛しているからです。

屋代課長のために朝晩全力で美味しい料理を作ったり(2話)、「私と一緒に帰宅すればいい」と強く出たり(3話)、「夫の愚痴は聞きます」(4話)と宣言したり、愛情表現がうまくできないながらも、三軒家の“頑張る嫁感”は実は凄い。課長への揺るぎない愛が随所に出てきて、ニヤけてしまうのだ。だから、なびかないはずだ。
(寺西ジャジューカ)

『家売るオンナの逆襲』
脚本:大石静
主題歌:斉藤和義「アレ」(スピードスターレコーズ)
音楽:得田真裕
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:小田玲奈、柳内久仁子(AXON)
協力プロデューサー:水野葉子
演出:猪股隆一、久保田充 他
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
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