
いつの間にか自宅などに、アシナガバチの巣が作られていることがあります。スズメバチの巣よりも危険性は少ないと認識して、アシナガバチの巣は放置しようとする人も多いかもしれません。しかし、アシナガバチは穏やかな性格とはうらはらに、巣の場所によっては人に危害を加えるおそれがあるのです。
この記事ではアシナガバチの巣や、放置してはいけない理由などを紹介します。家にあるアシナガバチの巣が本当に安全なのか判断してみましょう。
アシナガバチの巣は放置していてもいい? 駆除が必須ではない理由とは
アシナガバチの巣はスズメバチより危険性が低く、場所によっては放置してもよいとされています。それは、アシナガバチの温厚な性格と行動に大きく関係しているのです。

■アシナガバチは人を刺す蜂の中では大人しい
アシナガバチは近寄っただけで攻撃してくる凶暴なスズメバチと違い、大人しい性格をしています。とくに巣にいたずらや危害を加えたり、近づきすぎたりすることがなければ比較的安全な蜂の種類といえるでしょう。
しかし、そんなアシナガバチも攻撃的な性格になる時期があります。それは梅雨から初秋の時期に当たる6~9月です。この時期はできあがった巣や食料、女王蜂を守るための防衛本能が高まりやすく、幼虫の成長により蜂の量が急激に増えていきます。普段は大人しいアシナガバチも、この時期は気をつけなくてはなりません。
■アシナガバチは益虫とされることもある
蜂というと刺される危険性があるため駆除しなくてはと思いがちですが、実はそうともいいきれません。アシナガバチが発生している場所によっては、ありがたい益虫となるのです。アシナガバチは幼虫を育てるために、食料となる毛虫や蛾などを狩り与えています。
そのため、畑や菜園などに被害を及ぼす害虫を食べてくれる働きがあります。この場合はアシナガバチの巣を放置しておいてもよいでしょう。ただし、巣に近づきすぎると危険なので注意してください。
アシナガバチの巣の放置には危険がつきもの。危険な状況やその理由
性格が大人しいからといってアシナガバチの巣を放置しておいても、必ず安全とはいいきれません。温厚なアシナガバチも、ときおり牙をむいて襲い掛かってくることがあります。アシナガバチも巣の場所によっては、危険な害虫になることも頭に入れておきましょう。

■人通りの多い場所に作られた場合
アシナガバチの巣はいろいろなところで見受けられますが、多くは家の軒下やベランダ、庭木などに作られることが多いようです。また、基本的には外敵から巣を守るため、人目につきづらいところに作られています。しかし、ときに人がよく出入りする玄関近くやベランダなどで巣を発見することがあるのです。
このような場合は知らず知らずのうちに、蜂の巣に近づいてしまっていることが多いので、刺されてしまう危険性が十分にあるでしょう。もし人通りが多い場所でアシナガバチの巣を発見したら、放置せずにすぐに駆除することをおすすめします。
■毒性は十分強い
アシナガバチがもっている針にも、毒があります。アシナガバチは敵を攻撃する際に針を使って攻撃し、毒を人の体内に入れ込みます。スズメバチほど強い毒はもっていませんが、刺されれば当然痛みを感じるでしょう。
また、人によってはアレルギー症状が出てしまうことがあるため、注意が必要です。さらに、アシナガバチの種類によっては強い毒性をもつものもいるので、第一に刺されないよう注意しておきましょう。
■ヒメスズメバチがアシナガバチを食べにくることがある
アシナガバチの巣を安全とみなして放置していると、その他の被害に巻き込まれることがあります。その一例が、アシナガバチを食べるヒメスズメバチです。ヒメスズメバチはアシナガバチの幼虫が大好物で、エサを求めてアシナガバチの巣の周りにやってきます。
攻撃性の高いヒメスズメバチは近づけば、人を攻撃してきます。そのため、アシナガバチの巣があることで、その他の蜂に刺されるリスクは非常に高まるでしょう。不安に感じる方は巣の駆除に踏み切ってもいいかもしれません。
その蜂は本当にアシナガバチ? スズメバチとの違いについて
アシナガバチの巣は放置しておいてもとくに問題のないケースもありますが、スズメバチの巣だった場合にはすぐにでも駆除する必要があります。スズメバチとアシナガバチは大きな違いがあり、素人にも簡単に見分けることができます。

■アシナガバチの蜂の巣はシャワーヘッドのような形
まず大きな違いといえるのは、巣の形です。スズメバチの巣は、丸いボールに筒をつけたような形をしています。しだいにこの筒の部分がなくなり、丸く大きくなっていくのが特徴です。大きいもので60cmほどになってしまいます。
反対に、アシナガバチの巣は大きくなっても約15cmと小ぶりです。また、蜂の巣としてイメージされることの多いシャワーヘッドのような形をしており、いくつもの巣穴が露出しているのが特徴です。そのため、アシナガバチがどれくらいいるのかの判断もしやすいかもしれません。このように巣の形状は明らかに違うので、種類の判別はしやすいのです。
■アシナガバチはその名の通り足が長い
アシナガバチとスズメバチは、見た目にも大きな違いがあります。1番の違いは足の長さでしょう。他の種類に比べて足が長いアシナガバチは、足を伸ばしたままふわふわとゆったりとした飛び方をしているのが特徴的です。
反対にスズメバチは足を縮め、真っすぐ一直線に飛びます。また、時速4kmほどとかなりスピードがあります。足の状態や飛び方による大きな違いがあるので、見た目でもすぐに蜂の種類を見分けることができるでしょう。
アシナガバチの巣を見つけたら
身近なところでアシナガバチの巣を発見したときには、そのままにしておくだけでなく、いろんな対処方法があります。巣の危険性に合わせて、どんな方法を取るべきか考えましょう。

■巣や蜂に近づかない
アシナガバチやその巣を発見したら、興味本位などで近づいてはいけません。普段はあまり攻撃してこないアシナガバチでも、巣に危険が近づけば防衛本能から刺すなどの攻撃をしてきます。とくに1~2mほどの範囲は攻撃されやすいので、注意しましょう。
また、巣の近くで叫んだり、手などを振り回したりすれば敵とみなされるおそれがあります。アシナガバチの巣を放置すると決めても、近づいて蜂を刺激しないことが大切です。
■役所に相談する
公園や多くの人が行き来する場所にアシナガバチの巣ができたときは、役所に相談するというのもひとつの手です。地域によっては、防護服を貸し出してくれるところもあるでしょう。
また、アシナガバチではなくスズメバチの巣が作られた場合、危険性が高いと判断され役所経由で駆除してくれることも多いようです。補助金が出る可能性もあるので、一度相談をしてみてはいかがでしょうか。
■業者に相談する
自分で駆除する自信がない、どうやって駆除すればよいかわからないという方は、業者に依頼することをおすすめします。蜂の駆除をおこなっている業者は蜂の知識も豊富で、正確な方法で住人に危険がないように駆除してくれます。
業者によっては、再び巣を作られないようにアフターフォローまでおこなってくれることもあるようです。また、業者を選ぶ際にははじめから1社に絞るのではなく、複数社から見積もりを取りましょう。各社が提案する予算や駆除方法、アフターフォローなどの確認をおこなってから決めると、自分に合った業者に依頼することができるかもしれません。
まとめ
畑や菜園などにあるアシナガバチの巣は放置すれば、害虫を食べてくれる益虫となります。しかし、人通りが多いところにある巣は人を襲う危険性があるため、早急に駆除することが大切です。状況や場所によって、駆除するかしないかを判断しましょう。また、アシナガバチではなくスズメバチだった場合は、より速やかな駆除が必要です。 もし自分で駆除する自信がない場合は、業者に依頼して駆除することをおすすめします。地域によっては補助金制度を設けていることもあるので、1度問い合わせてみるとよいかもしれません。アシナガバチも危険と判断したら、しっかりした駆除をおこない、再発防止に努めましょう。

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