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炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた

「バキバキ」と聞いて、どんな意味を思い浮かべるだろうか?

さまざまな辞書を引いてみると、おおまかに(1)連続して折れたりする様子(2)身体がこわばる様子 の2種類の意味があるとされている。
しかし最近、わりと何にでも「バキバキ」と付けているようなのだ。

この説を裏付けるためにTwitterを調べてみると、
「バキバキに踊る」「バキバキに鮮度が良い」「目がバキバキ」「心がバキバキ」「バキバキのメイク」「バキバキかっこいい」
など、明らかに辞書に書かれている意味と違う使い方をしているものばかり。ついにはサントリーから、「バキバキ強刺激。」というキャッチコピーのついた強炭酸水が発売される。
しかし、なんとなくニュアンスが伝わってくるものがあるのも事実。

そもそも、「バキバキ」とは日本語的にどういう性質を持つ言葉で、語源は何なのだろうか? また、いつから使われているのだろうか? 国語学者の金田一秀穂氏に話を聞きつつ、最近の「バキバキ」の使われ方についても分析してもらった。
炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた
写真:タカオカ邦彦
金田一秀穂

杏林大学 客員教授

杏林大学 教員紹介ページ


誰でも作れる不思議な言葉「オノマトペ」




金田一先生
「バキバキ」という言葉は擬態語ですね。「オノマトペ※」とも言いますが、なにかの様子を表す時にうまく言えないものを表現した言葉です。
例えば「歩く」といってもいろいろありますよね。「のろのろ歩く」とか「のしのし歩く」とかね。

擬態語を使うことで、細かく言い分けることができる。もちろん「徒歩」や「闊歩」とか漢語を使うこともできますが、聞いてわかりにくいですよね。

※擬態語のほかに、擬音語、擬声語を総称したもの



茶柱
どんな性質を持つ言葉なのでしょうか?



金田一先生
擬態語を含むオノマトペというのは不思議な言葉で、誰でも作れてしまうんですね。「歩く」という言葉は誰が作ったかわからないけど、意味は誰にでも伝わる。「のろのろ歩く」となると、どういう状態なのか正確にわからないけど、それを聞いた人は身体的に意味が判ってしまう。

まとめると、
(1)誰でも作れる
(2)身体的である
(3)細かく言い分けられる
それが擬態語です。「バキバキ」もそのひとつですね。



最初の「バキバキ」は違う意味だった可能性も?




金田一先生
古事記の頃から既に、誰かがオノマトペを使い始めて、それを良いねと思って他の人達も使い始めるわけです。例えばきらめくとかね。「きらめく」は「きらきら」から派生している。それがいつのまにか「きらめく」という普通の言葉になってしまう。

まだ一部でしか使われていない言葉は多いんですよね。例えば電子レンジのことを「チンする」と言ったりするでしょう? リモコンのことを「ピッピ」って言ったりするじゃないですか。でも「ピッピ」はまだ一部の家庭で言われているレベルに止まってるから、もうちょっと一般的になれば、どう変化するかわからないけど新しい言葉になるんでしょうね。

だから「バキバキ」もそうなるかもしれない。「バキバキ」から「バキる」になったとしたら、とても“らしい”変化ですね。




茶柱
古事記の時から既にオノマトペというのは存在していたんですね……。



金田一先生
日本語には多いんですよ。ただ、人によってはオノマトペを使うことを安っぽいと言う人もいるんですね。使うとちょっと子供っぽくなっちゃうから。
子供はオノマトペが好きじゃないですか。それは彼らが語彙を知らないということもあるんだけど、直感的に判断できるからなんですよね。

あと、これは理由がよくわからないけど、女の人はわりとオノマトペを使うことが多い。最近で有名な言葉だと「ぴえん」。 なんとなく「ぴえん」の意味が伝わるから、流行語として使われているわけですよね。でもそのうち消えますよ、たぶんね(笑)。




茶柱
消える言葉もあれば、生き残る言葉もあり……。



金田一先生
そうですね。古事記の時から、いやもっと以前、日本語を僕らが使い始めた時からオノマトペは作られてたんじゃないでしょうか。
でも、それは文字に残らないんですよ。みんな喋っているから意味は分かっているんだけど、文字にするとやっぱりカッコ悪い。だって「ぴえん」って書いてある本なんてなかないですよね(笑)。

「バキバキ」がいつから使われたかというのは、まぁ分からないですよね。 それは全然違う意味で誰かが使っていたかもしれない。例えば「馬に乗って歩いた様子」という意味として使われた言葉なのかもしれない。方言という可能性もあります。




茶柱
そうか! 今でこそ辞書には「バキバキ」の意味が書いてありますが、もしかしたら最初に「バキバキ」という言葉が使われた時はそういう意味ではなかったかもしれないのですね。




金田一先生
そうです。最初の意味は今となってはもうわからない。現在は、一般的に「バキバキ」は辞書に載っているような意味だということです。





茶柱
オノマトペって意味が時を経て変わっていったり、今この時にも新しいオノマトペが生まれていったりしているんですね。



金田一先生
どんどん生まれていってますね。それが、オノマトペの持つ自由さなんですよ。


最近の「バキバキ」の使われ方は誤用とは言えない




茶柱
では、最近の「バキバキ」の使われ方をいくつか一緒に見ていただきたいんですけれども……。


炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた



茶柱
「バキバキに踊る姿が好き」と表現しています。「キレキレの踊り」のような良い意味で使っているかと思うのですが、ちょっと私は引っかかりを感じてしまいました。



金田一先生
濁音っていうのは一般的に美しくはないんですよね。 それから「あかさたな……」は大きな感じ、「いきしちに……」や「おこそとの……」は小さい感じの印象を与えるという音の特徴があります。それが擬態語の意味を決定するうえで大きな要因ですね。

例えば石がゴロゴロしていると石がコロコロしているは印象が違うでしょう? ゴロゴロだとちょっと重いけどコロコロだと軽くなる。「バキバキ」っていうのは美しい感じではないけれども、尖っている感じはする。



炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた



茶柱
「目がバキバキ」という表現をしている人が何人か見受けられました。おそらく疲労感の表現だと思うのですが。



金田一先生
へー! あぁ、でもわかりますね。目やにがいっぱい出ちゃったのかな?



茶柱
「体がバキバキになる」とも言いますしね。



金田一先生
そうですね。「肩がバキバキ」っていうのは分かりますもんね。さっきのよりは共感しやすい。


炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた



茶柱
男性歌手のライブ演奏を聴いて「バキバキかっこいい」と表現しています。「すごく」のような使い方でしょうか?



金田一先生
歌っているのが男の人だからなんでしょうね。ちょっと低い声の感じ。

ここまで僕は勝手なこと言ってますけど、それぞれ書いてる人が、どう表現したらいいのかと考えたと思うんですよ。「カッコいい」だけとかじゃ、彼らの気持ちは表現しきれない。うまく自分の気持ちにそぐう言葉を探した時に、「バキバキだ」と思ったわけですね。
ただ、これは自己満足になりがちという欠点があるわけです。上手な人は普遍的な言葉を作れるんだけど、引っかかりを感じる言葉はちょっとその人の中で意味が閉じこもっちゃってる感がありますね。
演奏をその場で聴いていた他の人は、「バキバキかっこいい」に共感するかもしれないですね。




茶柱
受け手が共感できなかったとしても、一概に誤用だとは言えないなと思いました。



金田一先生
もちろん! オノマトペに誤用なんてないですから。



茶柱
ありがとうございます。思っていた以上に奥深い世界ですね……。オノマトペの場合、元々の意味と違った意味で使われることはよくあることなんですね。



金田一先生
意味が固定された言葉じゃないんですよね。だから変化しやすいし、新しくなりやすい。作れちゃうという点がそもそも普通の言葉にない性質ですから。
ただそれが、どこまで共感を集められるかということです。



手塚治虫も使っていた「バキバキ」


いつ頃から使い始めたか正確にはわからない「バキバキ」だが、古い新聞や書籍で使われていないか、200万冊以上を所蔵している東京都立中央図書館で調べてみることにした。
炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた
東京都立中央図書館。2021年6月1日から入替制・事前予約制で来館サービスを再開している

手始めに朝日新聞、読売新聞、毎日新聞を調べたところ、1989年11月18日発行の朝日新聞朝刊で使用された記録が最も古かった。千葉の地方面の記事で「不法投棄やめて! 住民たまらず監視 千葉市の団地で粗大ゴミ戦争」という見出しだ。収集車がゴミを押しつぶす際のオノマトペとして、「バキバキキュキューゥ」と書かれている。

都立中央図書館の蔵書では、手塚治虫の作品『オズマ隊長』にて確認できた。『オズマ隊長』はサンケイ新聞(現・産経新聞)で1961年8月13日~1964年10月9日まで連載されていた“SF絵物語”。「放射能ヤドカリ」というエピソードで、ヤドカリの怪物が船を払いのけ、船が家に激突した際のオノマトペとして書かれていた。

『痴人の愛』等で有名な小説家・谷崎潤一郎の『お才と巳之介』(1915年)も全文検索でヒットしたのだが、実際に書籍で確認したところ「パキパキ」だった……。
ぬか喜びだとわかった時は、さすがに肩を落としてしまった。いや、100年も前から「パキパキ」が使われているというのもすごいのだが。
もっと古い書籍にも「バキバキ」は使われていると思われるので、引き続き調査したい。

味もボトルも「バキバキ」の強炭酸水発売


そして2021年6月29日に、「バキバキ強刺激。」というキャッチコピーのついた炭酸水が発売する。サントリーの「THE STRONG 天然水スパークリング」だ。
炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた

コピーのとおり、サントリー天然水最強レベルのガス圧を使用した強炭酸タイプ。実際に飲んでみると、すぐに喉に突き刺さる強い刺激を感じた。無数の気泡で喉の奥を押されているような感覚が続いたかと思えば、スッキリと消える後味のキレもある。比較のために別のブランドの炭酸水も飲んでみたが、「THE STRONG 天然水スパークリング」のほうが刺激の強さがあったように感じた。

「バキバキ」の強刺激は味にとどまらない。同社は強い刺激がほしい炭酸水ユーザーの声にこたえて刺激の体感を高めるため、味わいだけではなく触覚などの“五感”にも着目。触覚に刺激を与える、「バキバキ」としか形容しようがないボトルを開発した。
炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた
通称「バキバキボトル」。削りだされた“バキバキした”氷がモチーフという

通常の形のペットボトルは、炭酸水が入るとガス圧で膨らみ、より丸みを帯びた形状になってしまう。尖った形状を維持できるボトルが国内の炭酸飲料にこれまで存在しなかったことから、同社の国内外グループの知見と技術を結集、通常の新容器の約5倍の試作を重ねて完成させたという。

炭酸水の爽快感をより感じるには、開栓音も重要だ。天ぷらを揚げる音を聞いて食欲がかき立てられるように、炭酸の圧力で勢いよくキャップが開く音がすると、飲んだ時の爽快感への期待が膨らむ。「THE STRONG 天然水スパークリング」は、爽快な開栓音が鳴るようなキャップの仕様になっている(一部製造工場では不採用)。実際に開栓してみると、「プシュゥ」ではなく「バシュ!」という、炭酸の強さを感じさせる音が鳴る(やはりオノマトペは便利だ)。

金田一氏も「バキバキ」の音感について「尖っている感じ」と話していたし、「バキバキ強刺激。」というコピーは多くの共感を生みそうだ。「バキる」が炭酸水を飲むという意味で使われる日がくるかも?

THE STRONG 天然水スパークリング商品情報

炭酸水にまで? 「バキバキ」何にでも付けようになってる説を金田一秀穂先生に聞いてみた

炭酸の飲み心地だけではなく、五感に着目した新しい強炭酸水「THE STRONG 天然水スパークリング」。
全国のコンビニやスーパーで2021年6月29日から発売。
510mlペットボトル/税抜価格100円
1,050mlペットボトル/税抜価格160円
「THE STRONG 天然水スパークリング」詳細をチェック

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