監視カメラを設置してから、少しだけ気持ちが落ち着いた。
自分の空間を“見張っている”という感覚が、安心を与えてくれる。
…はずだった。
けれど、ある夜を境に、私はその安心を失うことになる。

その日、私はいつもより早くベッドに入った。
仕事が忙しく、体力も限界に近かった。
久しぶりにぐっすり眠れる…はずだった。

午前2時すぎ。
スマホが「ピコン」と小さく鳴った。
眠い目をこすりながら通知を見ると、監視カメラアプリからのアラートだった。

「動体検知:リビングに動きあり」
私は飛び起き、スマホの画面を開いた。



映像には、照明を落としたリビングが映っていた。
誰もいない。
…はずなのに、カメラが反応している。

再生ボタンを押すと、画面の右端にある“カーテン”がわずかに揺れているのが見えた。
窓は閉まっていたはず。
エアコンも切っていた。
なのに、なぜ?